「にこにこばかりもしてられない。」
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「子供ができた」といったら、 夫は喜ばなかった。
上から順に 「げげー!」 「うそー!」 「マジ?」 という反応だった。
これが、私には、ずっとトゲになって刺さっていた。
育児雑誌にでてくる「自慢のうちのパパ」みたいに 「ありがとう!バンザーイ!」なんてやられるのもカンベンだが、 妊娠の報告に、「あーあ。」と目の前で言われるのも、嫌なもんだ。
だから、私は「夫は自分の子供をかわいいと思っていない」と考えていた。 尋ねてみたこともある。 「子供は欲しくなかった?」 夫の答えは「別に欲しいとは思わなかった。」
紛れもなく夫との子なのに、 「私の子供」だとしか考えられない私がいた。
ついこのあいだ、機会があって、 子供のいる男友達に聞いてみた。 「妊娠したのがわかったとき、げげっていう?」
すんなり答えが返ってきた。 「言うよ。」
誰でもそうなのか。何だよ男って。と思っていたら、彼が言う。
「だって、まず、照れくさい。 それから、自分の責任を考える。子供か、俺が頑張らねばな、とかね。」 「嬉しいとか思わないの?」 「思うけど言わない。それよりもその次に起こる事を考える。 あなたのダンナは、現場主義だから、 起こったことに嬉しい!じゃなくて、次に打つ手を考えてるだけだろうね。 子供をかわいく思っていないはずがない。」 「そう?」 「ほんとにイヤならおろせって言う。」
あ。 言われてない。
そうか。 生むのも、生まないのも、私が決めていいということだったんだ。 夫は、どちらの選択も私に与えて、 私の決めた結果を受け容れてくれたんじゃないのか。
まったく、気がついてなかった。
夫は子供ができたことに「げげー!」と言ったわけではなかった。 「子供はいなくてもよかった」というのも、 「子供がいてよかった」というのも、 夫には、同じ意味を持つのだろう。
トゲが抜けた。
私の子供だけど、 私だけの子供じゃない。
初めて、そう思った。 最初の子供を妊娠してから、ずいぶんかかった。
夫は、案外懐が広いのかもしれないと、そのとき初めて思った。
男っつーのはわからねぇ。
でも、こんな、ちょっとしたきっかけで、男が見える時がある。 子供を生んだ、ほんの、特典。
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