「にこにこばかりもしてられない。」
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用事があって裏の美容室に行ったら、 ナミちゃんがちょこんとイスに座っていた。
マルを見て、ナミちゃん、大喜び。 「あらぁ!かわいいねぇ。おいでおいで。」
マル、ケープから出ているシワシワの小さいおばあさんの顔にビビル。
「コワイ?怖くないよぅ、ナミちゃんだよぅ。ナミちゃん、79歳だよぅ!」
声がでかい。 耳が遠いのだそうだ。 足も弱いので、予約が入ると車で先生本人が迎えに行って 店につれてきてカットして、また送っていく。
「ナーミーちゃん。ナミちゃん怖くないよぅ。」 ひきつるマルに、ナミちゃん、歌を歌ってくれた。
「♪ナ〜ミちゃんたらギッチョンチョンで、パ〜イのパ〜イのパ〜イィ!」
余計にこわばるマルを抱き上げて、 ナミちゃんのそばに立つ。
ナミちゃんがごそごそとケープのしたから手を出した。
外側に曲がった指。 爪も曲がってる。 シワだらけで、枯れてて、たくさんのシミのついた小さな手。 マルの頭をなでようと、手を伸ばす。 開いたままうまく握れないてのひら。
マルは怖がってしまった。
マルを怖がらせたと、ナミちゃんが手を引っ込めようとする。
「おばあちゃん、さわらせて。」 ナミちゃんの手を握る。 ナミちゃんの、冷たいシワだらけの手の甲をもう片方の手で何度もさする。 「おばあちゃん、働きもんの手だね。」
おばあちゃんの手を、嬉しそうになでている私を、マルがじっと見てる。 ナミちゃんがマルに笑いかける。 マルも、照れながら笑い返す。
「おばあちゃん、私もおばあちゃんみたいな働きもんになれますように。」 といって、ナミちゃんの手を離した。
ナミちゃんは、 私のことをなでてくれた。
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