リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演。
原作はフィリップ・K・ディック 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
××年前、通りかかった三省堂の店頭でこの本が平積みになっていた。 今思えば「ブレードランナー」の原作、ということでキャンペーン中だったのだろうが、その時私は全く映画のことは知らなかった。 ただ、題名が面白いし当時海外のSF小説にやたら凝っていたのでふと買う気になっただけである。
そして読破したものの、なんだか良くわからんなぁ、という感じであった。 設定は面白いし、段々主人公が自分がアンドロイドなのか人間なのか自信が無くなっていく過程などは良く書かれていたと思うのだけど。 なんていうか、救いが無かったからかなあ。 暗い小説、というイメージが焼きついている。
おかげで「ブレードランナー」もなかなか見る気がせず、ずいぶんたってからビデオでようやく見たくらい。 でも、原作とかなり違うなあ、くらいの感想しか持たなかったので良く覚えていない。
先日、図書館で「ブレードランナー・ディレクターズカット版」を見つけた。 まあ無料ならもう一回見ても良かろう、と借りてきてみた。 BJは初めて見るというので私の解説つき。 やはり原作を読んでいないと良くわからない点が色々あると思ったので。
改めて見てみると、結構面白い。 今見ても大して古さを感じないところはすごい。特にSF映画って、「なんじゃこりゃ〜」という特撮とか、妙な衣装や装置が出てきがちなのに。
リドリー・スコットらしい暗い夜の映像、日本語や漢字がやたらに出てくる背景はまるで「ブラック・レイン」。 そうか。この監督、アジアのこういうゴチャゴチャした雰囲気がきっと異国情緒があって好きなんだな。ネオンサインいっぱいで、人があふれている狭い路地とか。 そういえばうちの娘もアメリカ育ちでネオンなんて見たことが無かったので、東京で夜連れ出したら銀座通りなんかにびっしり灯ったネオンと看板を見て 「わー、フェスティバルみたいね、ママ。」 と喜んでいたっけ。ああいう感覚にも近いのかも。
字幕も出ずに屋台のおじさんが日本語で喋ったり、街の雑踏には英語、中国語、日本語が入り乱れて飛び交っていたり。 日本語だけ耳に飛び込んでくるのでなんだか妙な感じ。
原作よりも暗さが少なく、アクションが多くて娯楽作品になってたと思う。 やっぱり別物だな〜。原作と映画って。
まあ面白かったんだけど、ちょっと物足りなかった。 原作読むことをおすすめ。
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