a fish called datsu -だつという名の魚-
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2001年05月13日(日) 水仙の子供たち

 昨日遅くに、兄の所からうちに電話があった。何とはなしに内容が聞こえる。そこで「子供は早い方がいいよ」と母が言うので、ああ、子作りを急かしてるんだなと思っていた。
 そして今日、母が花見をしようとうるさいので、行きたくなかったけど、これも母の日のプレゼントの一つだと思って近所の山に登った。北海道の桜はいつも咲くのが遅いが、今年の桜は例年よりも遅い。そして桜よりも水仙やツツジの方が満開だった。そこの水仙は一つどころに隙間無く植えられていて、そんなに密集したところだと花も息苦しかろうと感じた。もし私がワーズワースだったら、この水仙で詩を詠むよりも植え替えをしただろう。
 私が適当に歩いていると、母が「こんなに一生懸命咲いているのに、見ないなんて失礼だよ」という。私が子供の頃から、母はこんな感じでアウトドアを強制するような所があった事を思い出す。小学校の頃、休みの日に私が家で本を読んだり、テレビを見て過ごそうと思っていたら、「ほれ、ハイキングに行くよ」と有無を言わさず連れ出された。その時、くるみを採るのがが嫌で嫌で帰ると言ったら、「戦争が起きて、食べ物が食べられなくなったらどうするの」といわれた(そして、子供の頃はこういった不条理な脅しをよくされた)。今だったら、いい加減な脅しをするなと言うところだが、子供だったから、ただ泣くだけだった。
 私は”何でこんな所に連れて来るんだろう。それも突然”と訝しく思っていると、「お前はもうすぐで叔母さんになるんだよ」と言われた。昨日の電話の主は兄嫁のRさんで、最近妊娠が発覚したそうである。兄夫婦は2月に結婚したばかりなので、早いなと思った。「子供が出来てから結婚する人もいるじゃない」と言われて、それもそうだなと思った。「孫が出来るんだね。良かったじゃん。これで私も『孫の顔が見たい』って急かされずに済む」というと、母は「あんたみたいな人を急かしても、しょうがないでしょう」といった。私に対しては諦念を感じるのかも知れない。
 それを言いに母はこんな所に連れてきたのか。あのハイキングの時も、母は何かに苛立っていたり、言いたいことがあったのかも知れない。でも、私が何かをしたくないときには、それを強要しないで欲しいと心の中で確かに感じた。


だつ |MAIL
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