KALEIDOSCOPE

Written by Sumiha
 
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  ひとやすみ・3


2003年10月31日(金)
 



体が疲れているのに眠れません。昨日の日記を更新する前は(二十三時前後に更新)立って眠れるほど眠かったんですが。布団の中でごろごろすること二時間強。睡魔は枕もとに立ってくれません(変な言いかただな)。機を逃してしまうと眠れなくなるようです。あくびだけ出ても。鬱だ。そろそろ午前三時。寝たい。

オーフェンの最新刊についてめいっぱい語り尽くしたかったんですがそんな気分でもなくなってしまいました。どうにもこうにも。にっちもさっちも。気力を昼間に使い果たし何をする気にもなれず。はう。完全に目が冴えてしまいました。どうしろと。気力があれば夜中だし静かだし邪魔は入らないしで小説を書く絶好のチャンスなのですけれども。いろいろ理不尽。

昨日の続きの小説はもう手元で完成してます。あとは載せるだけってこれ昨日も書きましたな。てぇことでさくさく小説に行きましょう。明日以降戯言無しで機械的に小説を載せていくかもしれませんです。ぼくもうつかれたよパトラッシュ。BGM無し。





What is your wish?
2



 ぽかん、と口を開け驚き以外の表情を失った彼を見て満足する。
「なんてね。別にお菓子をもらいに来たんじゃないの。これ、できたから」
 右手に持っていた箱を差し出す。ひとかかえはある大きめで薄い箱一つと、片手で持てる、小さく、やはり薄い箱一つの合計二つを。
 あたしは体力にあまり自信が無く、体格も良いと言えない。ここまで持って来るのは苦労した。中身は重くない。重くはないが、長時間持っていれば手が疲れてくる。大小、極端に大きさの違う箱だから尚更に。
 勢いで受け取った彼にどうぞと片手で促す。
「ずいぶん前に約束したでしょ。開けていいわよ」
「……はあ」
 気の抜けた返事にこっそり笑う。まだ驚きから立ち直れないらしい。当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。訪ねる時は必ず事前に電話をかける。今日は何の連絡も入れていない。行くから、という簡潔な一言メールさえ無しだ。来る予定のない(はずの)人物からの訪問によほどビックリしたようだ。
 そう言えばさっきの音は何だったんだろう。まあ訊くのは感想を聞いてからでいいか。
 レゾは大きい箱を脇に持ち、小さい箱を開けた。長い指で中身を取り出す。
 中身――すっと出てきたそれ――は、額縁だった。一ヶ月以上前にレゾからもらったのだ。
 もちろん額縁をただ返しに来た訳ではない。用があるのは額縁の中である。
 基調は青で、寒色が全体的に使われている。主役は真中に位置し海上でしなやかにその身を躍らせているイルカ二頭だ。
 絵ではない。否、一応絵ではある。だが普通、ばらばらに分解したり、糊で固定しない限り何度でも組み立てられるこれを、絵画とは言わない。一般的にはジグソーパズルと呼ばれている。完成させたらあげるとこれまた一ヶ月以上前に言っていたパズルだ。
「ラッセンのパズル」
 正解を言ってコートに両手を突っ込む。手袋をしてこなかったから(パズルが滑って持てないため)冷たいのだ。まだ冬到来とは言えない気温でもすぐ冷たくなる。冷え性なのだ。
 海の青か、イルカか。パズルに見入っていたレゾの視線を受けとめる。
「完成させたらあげるって言ってたでしょ。昨日、休講だったから一日かけて仕上げたの」
 レゾはなにも言わない。あちゃ、ひょっとしてタイミング悪い訪問だったかと内心で後悔する。これはすぐ退散したほうが良さそうだ。
 顔には全く出さず笑顔を維持する。喜んだ顔を見たかったけれど……仕方ない。なにも言わず来てしまったのだ、あたしが悪い。
 見上げつづけられなくて目線を落とす。正直に言えば。目を見て、話せそうになかった。
「それに一目惚れして、衝動買いしたの。だからあなたにあげたくて。でもあげたいって思うだけで他になにも考えてなかったのよ。言われるまで気付かなかったんだから考え無しよね」
 描かれている二頭のイルカのようになれたら。そんな願いも込めて。
 ひとめ見て気に入ったパズルだった。レゾも気に入ってくれると、思った。
 実際は――彼がなにも言わないから、どうだかわからない。
 レゾにはあたしの表情が見えないはず。前髪の影に隠れて。結い上げなくて良かった。沈んだ顔を見せたくない。声を明るく装うだけで精一杯だ。
「今日は、それ渡しに来ただけなの。家にいるのは聞いてたし、ちょっとの時間だから電話しなくてもいいかなって思ったんだけど、」
 邪魔だった? 迷惑だった? とは流石に言えない。言葉を切り一旦口を閉じた。
 手の冷たさがやけに気になる。ポケットに入れたまま握り締めても一向に体温を取り戻してくれない。イヤな汗をにじませ更に手を冷やす。
 気持ちを落ちつける為に一呼吸の間を置く。
「もう帰るわ。下に車、待たせてるから」
 一歩、さがる。
 それじゃあ、また、メールするから。
 口の中に留めるように言い、踵を返した。



――続く。


まだ続く。こんなところで切るのはやはりキリのいい場所が他に無いからです。まだ半分にも行ってません。……ながい。

Next is "暗雲到来?".あーらしをーおーこしてー♪(古)
 



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 廻れ廻れ独楽のように  
 止まった時が命尽きる時  
 廻れ舞えよ自動人形 
 踊り疲れて止まるその日まで