世界基準 - 2003年12月16日(火) サッカーの天皇杯で、市立船橋が魅せた。 横浜FMに2点を先制されたものの、その後追いつき、PK戦にまでもつれ込んだ。「もしかして・・・」と思わせる展開だったが、高校王者がJ1王者に勝つ事ができなかった。 しかし、市船の躍進をただの「まぐれ」で片付けるわけにはいかない。今回の市船の活躍は、以前に比べユース年代の技術面、メンタル面のレベルが高くなった事を結果として出した、と言える。 前市船の監督だった布さんは若い世代の育成に人一倍力を注いでいる人である。自分の高校だけに限らず、地元の子供たちにもサッカー教室を開いたりと、その手腕は高く評価されていた。現在はジュニア世代の日本代表監督を務めており、日本サッカー界において欠かすことのできない人となった。市船サッカーの基盤は布さんが築き、その結果高校サッカーのトップに君臨するようになった。技術面向上に関して、布さんの貢献度は計り知れない。 もう一つ、メンタル面のレベルアップに驚かされる。メンタル面に関して言えば、現在の高校生トップクラスの選手達はもはやJリーガーと対等に張り合うまでになった。それくらいの選手ともなると、もはや自分がJリーガーになるのは単なる通過点と考えているのだと思う。要するに、ものさしが「世界基準」となっているのだ。 僕が中学、高校の時はまだ日本サッカーがW杯を現実視するほどのレベルにはなく 、周りのサッカー少年の目標は冬の選手権に出場し、国立の舞台に立つ事、そして最高の夢はJリーガーになる事。こんな感じだった。しかし今は違う。高校生トップクラスの選手達の目標は、Jリーガーになるのは当たり前で、早い時期に日本代表に選ばれ、W杯に出場し、そこで世界にアピールし、ヨーロッパのクラブに移籍し、活躍する。日本サッカーの発展は、高校生のモチベーションの位置付けをも飛躍的にアップさせたのだ。 そう考えると、高校サッカー界トップの市船の選手達がJリーガー達にビビるはずがない。むしろ本気で勝つつもりで試合に臨んでいたに違いない。だから負けた瞬間は本気で悔しがったに違いない。 若い世代の才能溢れる選手達は皆、「世界基準」で日々ボールを蹴っている。日本サッカー界には、その選手達の才能を巧く育む環境体制を確立させることが求められている。 -
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