2005年02月19日(土) お見合いスピード結婚希望。 |
「それでね、新一。君には許婚がいるんだよ。」
「死んでこい、クソ親父。」
なんて会話がされたGW最終日――
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愛 は 突 然 に (仮)
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「ほらほら新ちゃん。そんな顔しないの。お見合いなんて、第一印象が大事なのよ?」
隣に立つ派手なピンクのパンツスーツを着た絶世の美女――母親の工藤有希子だ――が、きゃっきゃっと楽しそうに笑い続ける。 しかし、どんなに明るく言われたってこの、実に嫌そうな眉間のシワはとれないだろう。 なんてったって、そう。 さっきのセリフでも言っていたが、今日は。
お見合い。
そう。これからお見合いなのだ。
見合い――結婚の意志を持つ男女が、相手を知るために他人をなかだちとして会うこと。
――結婚の意志なんて無いのにお見合い。 意にそぐわぬ状態なだけに、この態度も仕方ないだろう。 それでもどうしても逃げられなかったんだ。
忘れられないGW最終日。 好きな人から誕生日を祝ってもらい、浮かれた気分で日付もとうに越えた頃帰ってきた家で。 入れ違いにロスからまた連絡も無しに帰ってきた両親によって、幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた。
「新一も18になったことだし、そろそろ向こうともきちんと挨拶をしておこうと思ってね。取り合えずお見合いをすることになったんだよ。」
「ふざけんな。誰がそんなものに付き合うか。」
目の前のソファで悠々と座っている狸を睨んでみても、やっぱり効果なんて無い。
――この時、父、優作は、「あぁ、睨んでくる顔も可愛いねぇ…vv」なんて思い、狸の厚い面の皮の下ででれでれと鼻の下を伸ばしていたのだが、それは新一の与り知らぬ事である。
「なに。結婚はお互いに波長が合わなければ難しいものだ。許婚だからって無理に結婚させようとは思わないよ。取り合えず一度会ってくれれば…」
「とか何とか言って、思うままにオレで遊ぶのがいつもだろうが!オレはそんな茶番に付き合う気はこれっぽっちもねぇぞ!!」
だって、自分には好きな人がいるのに――
「…それなら仕方が無いね。”初めてのお見合い記念v”と言うことで新一にあげようと思っていたホームズの初版本は新一は要らないようだから…」
ピクッ
「燃やす…」
「ちょっと待った―――――――――!!!」
――あの悪夢から1週間。
何度も何度も夜空を見上げながら想い人に謝り続け。
それでも初版本の誘惑には勝てず。
結婚は義務ではないと言うことを自分に言い訳し続けて、お見合い当日を迎えた。
「それでね、新ちゃん。向こうのご両親は、揃って私と優作の親友でとっても仲がいいのよ。だけど、父親の方はかなり前に亡くなっていて、母子家庭で育っているの。勇作は来てないけど不用意な発言は気をつけてね?」
ホテルの地下駐車場から最上階のレストランへ向かうエレベーターへと移動しても、まだ有希子は喋り続けている。 それでも、別の事に意識を飛ばしている自分には、右から左へ通り抜けていくだけの言葉の羅列にしか過ぎなかった。
結局狸親父は、オレが呼びつけた恐怖の担当たちに囲まれ、締切りに追われている。 そのためにアレほど楽しみにしていたオレの”初お見合いv”には参加できなかったのだが、それでもオレの気持ちは晴れない。
好きな相手を裏切っているような気持ちがもやもやと胸で燻っているのだ。 例え、その思いが片思いだとしても――
ちん♪
軽い音をたてて、エレベーターが最上階に止まる。 開く扉は、まるで試練への入り口だ。
さぁ、例え嫌でも腹をくくって乗り切らねば。 分厚い猫を大量に被って、嫌な感情さえも表に出さないように。 そして、犯人への心理的誘導で鍛えた操作術を駆使して、問題なく破談にしなくては――
「あっ!ちーちゃんvお久しぶり〜vv」
「ゆきちゃん〜vv元気してたー?」
目的の人物を見つけたのか、駆けるように歩く速度を上げる有希子。 そちらに視線を合わせる元気もなく、俯きがちにその後を追いかけるだけしかできない。
「ホラホラ、新ちゃん。ご挨拶して?」
ぐいぐいと腕を引かれるままに相手の前に立たされる。 視界に入ったのが、ワインレッドのワンピースと黒いスーツの胸部あたりだけだが、そのまま頭を下げた。
「初めまして、工藤新一です。」
そうして、ようやく頭を上げて、視界に相手の顔を映す――
「初めまして。黒羽快斗です。」
にこりと微笑まれた顔に。
ごとり、と自分の中に何かが落ちてきて。
身動きが取れなくなった。
恋も愛も、突然降ってくるもののようである。
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お見合い。 スピード結婚とかよく耳にしますが。 お見合いではありえるのか、を突如テーマに降臨してきたネタです。 こうして快斗と新一はお見合いスピード結婚を…(笑)
快斗母の名前は「ちか」さん。 漢字はまだ未定なので(オイ)、「智香」「千夏」「知佳」か… 大体そのあたり。 「とういち」→「ちか」→「かいと」→「とういち」… と、ループする名前なのです。(笑)
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