砂丘を歩いた月のない夜だった薄ぼんやりと紗のかかった夜をさらさら 砂に足を取られ呼ぶ声も砂に吸い込まれ確信もないままひたすらに歩いた丘の上 たどり着けば足下は黒い海簡単に落ちてゆけそうだ汗をぬぐい寝転んでみるしっとりと涼しい砂よく眠れそうな夜安心すぎて よく眠りすぎてきっと帰れなくなるから砂を払い 足を励ましあなたの背中を追って歩いた振り返ってもそこにはただ茫洋とした夜があるだけ薄ぼんやりとした予感が呼吸する夜がある