川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年09月29日(水) ☆御園座千秋楽から、パパ退院、怒濤の月末☆

 25日(土)
 宅急便でJTBから、旅のしおり等、詳細書類の束が届く。
 一人テンションがあがり、うきゃー!などと喜んでみるが、
 同封された請求書のことを思うと、力が抜ける。
 ともあれ、小さな「旅のしおり」を細かく読んでニヤニヤする。

 26日(日)
 今朝も私は「ぷらっとこだま」。
 割引は魅力だが、2時間で行けるところを3時間かけて、というのはどうよ?
 体力奪われるし、今後これを利用するかどうかは、要検討。
 あまり時間がないので、昼用に駅弁購入。
 御園座で友人と合流。

 少し後ろめの席で、源氏物語。
 何を見てきたんだオマエは!と叱られそうだが、
 朧月夜の菊ちゃんが、思いがけず久々に海老蔵源氏に会える場面。
 朧月夜が光の君に、いとしげに儚げに口づけするシーンがある。
 この時、菊ちゃんは客席にうしろ頭を見せ、2人の表情を伺い知ることは出来なかったが、
 ガッシリした光の君にたいして、菊ちゃんの朧月夜が、
 ほんと〜うに華奢で可憐で儚げに寄り添うのが、たまらん!
 くら〜っときてしまうシーンであったことだよ。

 昼の部と夜の部の間に、友人とあーだこーだ言いつつ休憩。
 明石に旅立つ幕切れの場面、こないだも今日も、海老蔵の涙具合が絶妙で凄い!
 泣き崩れるでもなく、今ひとつ涙出てないし、でもなく、
 はらりハラリと、二粒三粒、感極まってこぼれる涙加減が、実によい。
 私は、海老蔵は感性の人で、なりきり入り込みで演じるタイプなのか?と思っていたが、
 もしかするとそうではなく、研究熱心だと誰もが言っていることだし、
 実は、あれは鍛錬の賜の頭脳プレイなのかも?
 それぐらい、いい塩梅の、美しい涙なのだ、これが。

 そんな鍛錬の話をしてると、友人が「私は元禄見得が出来る」と言いだした。
 わーすごいすごい!見せて!とお願いすると、
 れいの、きゅうっと寄り目になってから、片目だけきゅうっと戻す、あの目を、
 見事に披露してくれた。
 す、すげえーー!
 これは、多くの人に自慢できる、素晴らしい一芸だよ!と感心しきり。
 練習のポイントや、コツを教えてもらう。

 しかし、妙齢の乙女が一人、それを練習するの巻ってのはどうだ。
 Mちゃん、それを練習してる貴女の姿を想像しては、笑ってしまいます。
 けれど、本当に素晴らしかったよ。

 夜の部。
 助六史上、私が最も近くで観られた日となった。
 なにしろ舞台が目の前。
 なので熊谷陣屋も、じっくりたっぷり堪能。
 歌舞伎には、本当にこういう切なく哀しい物語が多いのだなあー。
 私も思わずもらい泣き。
 (その後、また芸達者な友人が熊谷直実の真似をしてくれて、
  それがのけ反るほどそっくりで、たまげたのだった。)

 幕間にママの笑顔が見られた。
 今日も素敵な着物姿。
 裾に、なんというのかしら竜胆のような美しい色が入った感じが、素敵!
 

 口上。
 お馴染みになってしまった、各役者さんの口上も、
 さすがに千秋楽は、引き締まって感じられた。
 けれど、ジャッキーったら「海老蔵は当年とって26歳、まだまだ若うございます」のところ、
 「当年とって16歳」と言いかけて、慌てて言い直してた。ふふふ。
 隣の海老蔵も、思わず俯いたまま笑ってしまっていて、
 あんなニンマリ顔、口上で見ちゃったぜーと、こちらまでニヤニヤ。
 楽だもの、團パパの退院の報告とか、ないものか?と思っていたが、
 ジャッキーもがんじろはんも、トミーもいつも通り。
 そうかぁ・・・と思っていると、突然菊ちゃんが、語り出したではないか。
 今まで「共に精進してゆく所存でございます」という感じで、短くなることはあっても、
 多くは語らなかった菊ちゃんが!
 そう思ってみれば、先日は口上の時でも女方オーラキラキラフェロモンプリプリだったのに、
 今日はどことなくキリリ!と男らしく見える。
 「五月にお父様の團十郎さんが倒れられ、
  間近にいて海老蔵さんのご心中はいかばかりかと、案じておりました。
  この度團十郎さんも、無事に退院され、
  10月にはパリにて、團十郎さん海老蔵さんとご一緒に
  鳥辺山心中と口上をつとめさせていただけますことを大変嬉しく思います」というような、
 決して滑らかな口調ではなかったが、それだけに心のこもった、良い口上だった。
 菊ちゃん、海老ちゃん、
 もう、おばちゃん涙なみだだったわよ。
 
 たのやんも、今日はコックリすることもなく、きっちりパリについてもふれ、まとめてくれた。

 そして、にらみ。
 これがまた、私も友達も、今まで見た中でいっちばん!と思ったニラミであった。
 付け打ちさんと息があっていて、息が合ってるとか思うスキもなく、
 気迫のこもった、力強い、気持ちよいにらみだった。

 助六。
 海老蔵の花道力ついては、何度も書いたが、
 菊之助の華やかさというのも、格別。
 ことに揚巻の道中、花道の出は、切なくてあでやかで、時分の華そのもの!
 城が傾くと書いて「傾城」と読む、まさにそのものの美しさ。
 こないだも、この出を見てうるうるしてしまったが、
 今日は、先ほどの口上の後でもあり、
 花道で輝く菊ちゃんを見ていたら、
 この何ヶ月かの菊ちゃんも、随分頑張ったよなあーとしみじみしてしまった。
 一月、玉三郎さんと毎日毎日踊った、二人道成寺。
 あれは、見てるこちらを、なんというか熱くさせる舞台だった。
 その後も、しなやかな山神や、キラキラ涙のおなぎ、可愛い信夫(だっけ?)、
 次々思い出されてくる。
 襲名したのは海老蔵だったけど、菊ちゃんも一緒に頑張ったし大きくなってると思う。
 ああ、この姿、菊ちゃん贔屓のK様や、うちのおかんにも見せてあげたい!

 助六は、花川戸助六のアンバランスな魅力が満開。
 あの粋な衣装の中が、チラッと見えてしまって、赤褌にくらり。
 意休に「抜け抜け!ぬかねえかーーっ!」というところの前に、
 「こいつは面白くなってきた!」と言ってるの、はじめて聞いた気がする。気のせい?
 他にも、白酒売りの台詞や、助六とのからみ、ちょっとずつ違ったり、削られてたり。
 帰り道、友人とあそこ、ここ、と話すのもたのし。

 揚巻と助六のツーショット。
 結局今月は舞台写真が(海老蔵のは一枚も)でなかったので、
 ここ!とばかりに脳内プリント。
 (その後、今月の「演劇界」にも、モノクロ一枚すら海老蔵の写真が無くて、びっくりだった。
  何があったのだ?さびしいぞ。)

 ともかく無事に千秋楽も終え、
 小雨の御園座を後にしたのだった。
 
 新幹線のホームの待合室で余韻にひたりつつ、新幹線を待っていると、
 段四郎さん亀治郎さん親子がやってきた。
 思わず、お疲れさまですと声をかけたくなるが、本当にお疲れだろうとそっとすることに。
 さらに田之助さんまでやってきて、
 なんだか豪華な待合室なのだった。

 体はきつくても、遠征バンザイだ。

 
 27日(月)
 バタバタしていたせいか、ひとつきぶりにデート。
 新宿ルミネの青山ブックセンターはどうなってしまったの?と悲しがっていたら、
 ブック1stになって復活していた。
 居抜き(というのか?)なのか、ABCの趣のままのブック1stだった。
 夜11:00まで開いてる本屋さんら〜ぶ。

 28日(火)
 JTBに振込。
 これで、すっからかん。。。
 
 29日(水)
 JTBにファックス。
 美術館見学、ルーブルとオルセーどちらにするか選ぶのだが、
 それはもう決めていたので、問題なし。
 それと一緒に、「海老蔵さんへの質問」を書く欄があって困った。
 ずっと考えていたのだが、結局へっぽこな質問しか思いつかず。
 自宅のファックスがあやしくて、職場からこっそり送る、
 めちゃくちゃ恥ずかしかった。
 挙動不振すぎて同僚に心配されるも、これこれで、と事情を話すと、
 その質問かわいいーー!と大笑いされてしまう。
 とほほ。
 午後、仕事をしていたら、あれを聞くんだったこれを聞けばよかったと後悔。
 しかし抽選とのことで、どうせ当たるわけないと気が付く。

 帰宅すると團十郎さんが退院とのこと。
 今月はじめには退院の予定だと聞いていたが、随分遅れたんだなあ。
 でも、よかった、よかった!

 明日は、パリの友人のお土産に、彼女の好きなおせんべいを買っておかねば。
 フランス人なのに、おかきが好きなおちゃめな奴。

 もう明後日は10月だ!
 
 
 
 


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