川底を流れる小石のように。 〜番外編〜 海老蔵への道!
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2004年09月20日(月) |
御園座 吉例顔見世 昼の部 |
名古屋へ、初の御園座へ、行ってきた。 勢いのままに、もう、ネタバレぶりぶりで感想を。
初めて足を踏み入れた名古屋は、トロッと濃い街だった。 色彩とか、ファッションとか、人柄とかが、なんとなくトロッと。
「ぷらっとこだま」安いだけあって、すごくのんびりした新幹線だった。 駅で6分とか平気で止まるし。 でも、そんなのもお構いなく、ただただ眠りこけていると、 けたたましい携帯の着信音と、その後に続く1オクターブ高いオババの遠慮無い話し声に起こされる。 なんでも、むかえに来れなくなった誰かさんかららしく、 それを聞くなり「ええ〜〜〜〜!」と凄い悲鳴! 悲鳴で目覚めるなんて、ヤな気分。 そして、窓の外は名古屋なのであった。
早めに着いたので、駅前のマリオットアソシアホテルで、モーニングセット。 何しろ、この時の私は清潔なお手洗いを切実に欲していたので、的確な選択だったと思う。 高島屋が開くのを待って、「しら河」でテイクアウトの「ひつまぶし」。 そして名鉄にも寄って、「風来坊」の手羽先も購入。 地下鉄で一駅、「伏見」で降りると、もう御園座だ。 なんというか、トロッとした劇場の佇まいで、ほほーと思う。 松竹座とはまた、ひと味違った客層で、トロッと濃くけたたましいみたいな。 そして、湿度が高いせいか、蒸し暑い場内。 この後、一日、暑いか寒いかで、調度よい時間が少なかった気がする。
さて、昼の部は「源氏物語」三幕。
ネタバレ反転。(特にGちゃん、これ読まない方がいいと思うよ)
源氏物語は、2003年の南座以来。 あまり期待せず、フラットな気持ちでのぞんだ。
冒頭のシーン、暗いままの舞台、 薄い紗がかかったような幕の向こうに、スポットを浴びた光の君が一人・・・。 ちょうど私の正面、ソフトフォーカスでますます美しい源氏姿の海老蔵だ。 二ヶ月ぶりかーと思ったら、しみじみ嬉しくなって、素直に物語に入り込めた。
なんというか、これ、昼のメロドラマみたいだ。 きっと歌舞伎に詳しい人や、源氏物語に造詣が深い人、思い入れのある人には、 はあ??な部分も多いのだろうと思われる。 幸か不幸か、私は高校の時から理系クラスで、 文系の授業は寝てるか読書に勤しむか、 ともかくひたすら不真面目に過ごしてきた。 なので、自慢じゃないが何の知識もゼロのマッサラな状態。お恥ずかしい限り。 おかげで、「ファンタジックに描く王朝ラブストーリー」な舞台を、それなりに楽しめたのかも。 だって、次々ハラハラすることや、ありえなーい!ことが起きるし、 意地悪キャラあり、敵キャラあり、か弱い女キャラから、気高い女キャラまで、 さらに優しい兄やら、偉大な父の死やら、盛りだくさん。 顔ぶれ充分。 まるで連ドラを見てるみたい。 (それが良いか悪いかは、また別の話) そして、それらの登場人物のエピソードを盛りだくさんにしたせいか、 暗闇に、浮かんでは消え、浮かんでは消えする、美しいコラージュを見てるようだ。 (というか、比喩じゃなく、それだけ激しく暗転が多いのだ。とほほ)
と、ほめてるのにけなしてるみたいな感想はこれくらいにする。
亀治郎さん、葵の上にピッタリ! あの打ち解けない感じから、最後のつかの間の愛まで、実によかった。
扇雀さん、扇千景さんにそっくりの面差しで、六条御息所を好演。 生き霊になったあたり、席が近かったせいか鳥肌ゾクゾクだった。 (琵琶と唄には、別の意味でぞくぞくしたが・・・。)
朧月夜の菊ちゃんは二幕目から登場! はかなげで美しい朧月夜。よよよー。 源氏と朧月夜のシーンは、欠かせないっす。 儚げに、白いうなじを見せつつ、切なく身をよじる菊ちゃん。 がっしりとささえつつ、しっかり覆いかぶさる海老。 くうーー。 これって、通し稽古の時とか、 顔もしないで、浴衣とか着て孝俊・和康 はやったんだろうか?とか、 まあ、あらぬ事を考えてしまうには、充分すぎる暗転があるわけで。 それをプルプル追い払っても尚、見応え充分の二人。
そして、なんといっても全部持っていってたのは、田之助さんの弘徽殿太后であった。 最強。
三幕目。 秋の野で一人もの思う光の君が、失ってはじめて父君の愛の深さ、暖かさを思う台詞。 團パパのこと思わずにはいられない。
最後の場面、深まる秋の中、降りしきる黄金色に色づく銀杏の葉。 三之助(旧だけど)そろい踏み。 けなげに懸命に追いすがる朧月夜と、それに応えることが出来ず涙にむせぶ光の君。 あの涙のハラリとこぼれる風情が、あーなんて光の君! (こんな、あほアホした見方で、申し訳ないです本当に。)
連ドラダイジェスト風味も楽しかったけど、 また一味違う源氏物語も、ぜひぜひ観てみたい!
こんな風に、楽しかった昼の部。
「ひつまぶし」も、美味しかった。 指示通り、まず軽くかき混ぜて、美味しい鰻ご飯としていただく。 次に、海苔・ネギ・わさび・山椒など、たっぷりの薬味をかけて、違った味わい。 さらに指示通り進めば、この後お茶漬けなわけだが、それはあきらめる。 想像しただけでも、美味しそうだ。
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