川底を流れる小石のように。 〜番外編〜 海老蔵への道!
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2004年08月16日(月) |
☆この夏に出会ったもののカケラ☆ |
あまりにも長い間、頭の中が歌舞伎だらけで、 本も読まず、映画も見ずに、過ごしていた。 なので今月は久々に、友達と遊んだり、映画を見たり、音楽を聴いたりしている。 ☆本 松井今朝子 「一の富」 芝居小屋に出入りする、狂言作者見習い拍子郎の物語。 はねっかえり娘おあさ坊と拍子郎のなりゆきを見守りつつ、軽く楽しめる。 脱歌舞伎しつつ、社会復帰するにはもってこいな一冊。 HPの今朝子の晩ご飯は、いつも楽しみにしているのだが、 6月26日の鏡獅子をご覧になった感想を読んで、 とてもとても嬉しかった。 たまに、のけぞりそうな程辛口の松井さんに、「率直な潔い踊り」と言われた弥生。 そういえば、毎月の家庭画報の村松友視さんの連載「成田屋の意気 そして、海老蔵」も 今月は弥生の衣装について書かれており、 この夏休みに実家で母と、しみじみ眺めた。 母は、年齢的なものなのか、感動が後になってじわじわとよみがえるらしく、 今頃になって、今年は素晴らしい物をあなたのおかげで沢山観られて、本当に幸せだったわーなどと言い出す。 中でも、一月の玉三郎さんと菊ちゃんの二人道成寺と、それから花道の横で観た助六がたいそう好きだったらしく、 牛のように反芻しては、ほーっとうっとりしている様子。 どうやら私の家族総歌舞伎化計画も、無駄ではなかったようで、 パリへ行くことにしたよ、と報告すると、 「そう言うと思ってた。お休みもらえてよかったね」とニヤリ。 こんな馬鹿な娘を、許してくれてありがとう両親、と心の中で頭を下げる。
宇江佐真理「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」 吉原の住み込みお針子おとせをとりまく、しっとり哀しく切ない日々。 いやはや、吉原物(っていう言い方はOKなのか?)が好きなのだが、 この連作短編は、かなり好き。 いいっすよ、これは。 思わず、母にこの本あげるとプレゼントしてしまった。 思わず助六と揚巻のことを思い浮かべたり、 吉原ではないけれど、宮尾登美子の「陽暉楼」や、五社秀夫監督の映画「陽暉楼」も、またみてみるか。 安野モヨコ「さくらん」も、花魁ものとしては、イケルっす。
宇江佐真理「おちゃっぴい 江戸前浮世気質 」 「甘露梅」がとてもよかったので、待機中だったこれもいってみた。 登場人物が生き生きと、深い味わいで、宇江佐さんの時代物大好物!
柴田よしき「ふたたびの虹」 京都のおばんざいが、実に旨そう。 パリのエピソードも織り込まれており、新幹線で一気に読む。
☆映画
「炎のジプシー・ブラス」 お友達が教えてくれて、早速観に行く。 オヤジ達の、底抜けに明るく、けれど切ない、パワフルなジプシー・ブラスのドキュメンタリー! うほほ。
「バレエ・カンパニー」 アルトマンだし、バレエだし。 日曜のシャンテは満席だったっす。 ダンサーの美しい肉体の饒舌なこと! なので、青い蛇の新作の衣装に???な気持ち。残念! フィジカル・エリートの光と陰を、淡々と描く、みたいな。 個人的には、トマトを刻むジョシュが可愛くてね。
☆音楽 「時の響き 〜ジャズin芸大〜」
これは実家で、父がたまたま見始めた番組で、 母も、まあいい曲ばかりやるねえ!と加わり、 いつしか家族そろって、興奮して見入ってしまったという。 ジャズも、こうして長く愛されたスタンダードが確立されて、 それをこんなに気持ちよくやってくれちゃって、 まさに、格好いいとはこういうことさ!みたいなコンサートだった。
こんな楽しいコンサート、やってたんだねえー、知らなかったねえー、 よかったねえ〜と口々言いあう。 後で調べたら、7月に入場料2400円でやったとのことで、 なんてお得で素晴らしい!と感激。 地上波再放送熱望。 尺八のテイクファイブを聞いて、助六を思い浮かべてしまった。 しぶい!かっこよすぎ。
そんなこんなで、まあ社会復帰とはいえ、 半身は歌舞伎なままだった気がするが、 それは仕方あるまいて。 そんな夏休み。
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