なべて世はこともなし
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2008年02月18日(月) 安全はすべてに優先する…わけはない。トホホなシャトルバス

バレンタインデーが終わりました。なんだかんだ言ってもこっちにもバレンタインデーは確実に存在するようで、街中で花束を抱えた人を見かけたりとかしました。ま、それでも日本のチョコレートを配って回るようなものとはあからさまに一線を画してましたが。


そんな中で、私は会社の同僚に「あなたのバレンタインはどんな感じ?」って軽い感じでみんなに聞いて回ることにしました。そう、いろんな国のバレンタインデーの実情を聞いて回ればいい日記のネタになると踏んだわけ。


まず最初に聞いたのは近所の席のドイツ人の女性。社内恋愛でフランス人の熊五郎みたいなフランス人と付き合っていることは公然の秘密。


私:「バレンタインデーの予定は?」
同僚:「え?別に何もないわよ」
私:「え?何も特別なことしないの?」
同僚:「別にバレンタインデーだからって何もしないわよ。だって、私たち毎日愛し合っているもの」



………。


はい、企画中止!こんな莫迦なのろけ話にいちいちつき合ってられるかっての。


私が勤める某ビジネスパークから市内へシャトルバスが出てます。平日日中は毎時1本、ピーク時は20分に一度程度。ただし、バス停のポールが立っているわけでもなければ、バスそのものに行き先表示が出ているわけでもない、ある意味お化けのようなバスです。


アパートから会社まで徒歩5分の私は、たまに町に出かけるとき以外にこのバスを使うことはないのですが、町で仕事をしているひでかすは100メートルおきにあるバス停にいちいち停まってやたらと時間のかかるダブリンバスよりもこちらを使ったほうが早いのでこのバスを使ってます。あ、ビジネスパークで働く人以外もこのシャトルバスを使えます。ゆえに、ひでかすを含めた近所の住人の一部ものこシャトルバスを使っているのです。


ところが。このお化けバス、定時運行など夢のまた夢、バスはおんぼろ、運転手の質は最悪(運転中にケータイで話し始めるなど日常茶飯事)、バスの配車がおかしいので、ほとんど空の二階建てバスを走らせたと思えば、突然2階建てバスの1/3の運行能力しかないミニバスで積み残しを出したりと、まあ、いいところがない。ちなみにダブリンバスのお下がりの二階建てバスは、故障続きでつい最近廃車になったらしい…。





廃車になったボロバスの在りし日の姿。どう見てもダブリンバスにしか見えないけど、実はシャトルバス。


この二階建てバスを筆頭にしてここのバスのボロさは筋金入り。この会社のバスの多くは、こともあろうにダブリンバスのお下がり。つまり、ダブリンバスのひどいメンテナンスが祟って使い物にならなくなったオンボロをいくらで買ったか知らないが無理やり使っているわけ。





資料画像。おととい撮ったばかりのダブリンバス故障の図。市中心部のCollege Greenで一車線をふさいで故障中。日本の路上でバスが故障しているのを何度見たことがあるだろうかと考えると、このダブリンバスの路上での故障の多さは異常。それにしても、後ろの広告の、故障したバスにGet there go anywhereというのが皮肉です。


で、シャトルバスの会社、どうも当局に目をつけられているらしい。数日前になんと一斉摘発を受けた。その一斉摘発の方法がまたすごい。運行中のバスを捕まえて、路上に停止を命じる。で、乗客が乗っている、バスに当局の人間が乗り込んできて検査開始。そして、3台のバスが「乗客を乗せての運行には不適格」とされて、その場で運行禁止命令が下されたそうな。…ってこのルート、ピーク時でも4台のバスで運行しているから4台中の3台が運行禁止になったって計算になるな。もっと言えば、あのデタラメなダブリンバスのメンテナンスが問題にならないこの国で、運行禁止になるこのシャトルバスのメンテナンスって一体…。


かわいそうなのが乗客。バスは運行禁止処分になり、その場に放り出されたらしい。かくして、うちの会社では遅刻者が続出。総務部長がかなり本気でキレていた。


そんなことがあったせいで、その日の午後はこのシャトルバスがお詫びの意味をこめて「無料運行」されることに。ちょうどいいや、町に買い物に行こうと思っていたから今日は車を置いてこのシャトルバスで行こう…と思った私がアホタレだった。


まず、退社後、町に行くのに、会社の前から出るシャトルバスが来ない。定刻から遅れること15分後、ようやくやってきたバスは、見たことのない観光バス。あ、そっか。今朝、いつものダブリンバスのお下がりのミニバスは運行禁止になったんだ。どっかから、このバスを借りてきたに違いない。ま、それ自体は「よくやった」と褒めていいかも。


しかし、詰めの甘さはさすが。バスの運転手は、たぶんこんな異常事態になったからであろう、バス停で待機していたシャトルバスの会社の社員とすでに15分遅れていたにも拘らず話し始める。


運転手:「オレ、どこにいけばいいの?」
社員:「XXXを通って町に行けばいい」
運転手:「YYYのとこを通ればいいんだよね」
社員:「いや、違う。ZZZを左折して、それから…」



…てか、道を知らない運転手ってありえるのか(この日記の古い読者さんなら「あり得る」と即答されると思うけど)。運行前のブリーフィングとか…してないだろうなあ。


で、このバスは道を知らないながらも無事に町に着いた。バスを降りて数分後に折り返しでビジネスパークに向かう同じバスを目撃。…なぜか空。どうやら、町でお客を拾うということがうまく伝わっていなかったらしく、寒空の下、町で待っていたかわいそうな人たちは無視されたらしい。


町からの帰りは帰りでバスは待てど暮らせどやってこない。他のキレた乗客がバス会社に電話し続けるが、すべて留守番電話に接続され無視される。ようやく来たバスの運転手、本日は無料のはずなのに、知らん顔して運賃を取り始める。私は…


私:「今日はタダでしょ?」
運転手:「なんだよそれ?知らねえよ。ちゃんと2ユーロ払えよ」



…やはりな。どうせ内部での連絡なんてうまくいってないと思ったよ。


こいつらのアホタレぶりを熟知している私、こんなこともあろうかと、ウェブサイトに載っていた「お詫び」文書のスクリーンショットをコピーして持参。運転手に見せる。運転手は、ほかの乗客に向かって


運転手:「悪い。あした、運賃、タダにするから」


…いや、そうじゃなくて、取った運賃を返せよ。それが筋だろ?


いやはや、一事が万事というか、いい加減で呆れかえるばかりです。何よりも、こんなことがあろうかとウェブサイトのコピーを用意している自分の人間不信ぶりにもちょっと悲しくなったりして。




このバス会社の話を始めたら、たぶんしばらくは日記のネタに困らない自信あり。ご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。




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