なべて世はこともなし
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2006年12月01日(金) 車関係どんぶり勘定二話

まもなく、NCTを受けなければいけません。NCT(National Car Testing)…はえー話が車検です。ちょっとにわかには信じられないのですが、この国に車検制度が導入されたのは今世紀になってからのこと。2002年より新車から4年以上経った車は2年ごとに車検を受けなければならなくなりました。…そんじゃあそれ以前は車検はなかったのかというと…どうもそうらしいです(間違っていたら掲示板で突っ込んでください)。


私のアイルランドでの2代目の車、Rav4も輸入から2年経って、2度目の車検のときがやってきたしだい。で、そのお知らせが郵送されてきまして、インターネット上で車検の予約をしました。


アイルランドでの車検は、日本のものとちょっと違います。アイルランドじゅう43箇所にある民間に委託されている車検場に車を持参します。すると、検査員が一通りの検査をして(検査内容自体は日本のそれとほぼ同じ)合格か不合格かとなるわけです。日本のように、修理工場に持っていくとそこで整備がてらやってくれる…というわけではありません。


かくして、車を整備するかどうかというのはまさにオーナーしだいということになります。ということは、この国で中古車を買おうなんてとき、安さに眼がくらむと整備もまともに受けてないとんでもないハズレくじをつかまされる可能性…ってのがあるってことになりますが(実際にそういう話を聞いたこともあります)。


ともあれ、私としてはあと2年はあの車に安心して乗っていたいと思っていますので、修理工場に定期点検をお願いしに行きました。この修理工場、前代のカローラの頃から、オイル交換・バッテリー交換などでお世話になってまして、顔見知り。「何か問題があったらケータイに連絡します」という約束で、朝の出勤時に車を置いていった。


そして、連絡のないまま夕方。「便りのないのはよい知らせ」と信じて行ってみると…


私:「どーも。社長、私の車、どうだった?」
社長:「快調快調。問題なし。あ、オイルがちょっと少なめだから足しといたから」
私:「それだけ?」
社長:「あとは問題なし」
私:「そりゃよかった。で、おいくら?」
社長:「60ユーロ」



…その一瞬の沈黙は何よ。ちょいと。もっとも、初めに「点検の基本整備料金は50ユーロ」といわれていたからそれにオイルが10ユーロで60ユーロというのは実に納得できる。でも、どんぶり勘定であることは否定できないと思う。で、会話は続く。


私:「はい。60ユーロ。レシートもらえる?」
社長:「レシートぉ?」
私:「うん。レシート」



…オレ、なんか悪いこと言ったっけか?社長、ちょっと驚いた顔してるよ。レシートあったら、整備した証拠にもなるなあと思っただけなのだが。


社長:「レシート、出してもいいけど、そしたら税務署に報告しなきゃいけないから、値段が上がるよ」
私:「……じゃあいらない」



私のようなリーマンは、しっかりと課税されて、自営業者などは納税を逃れているという構図はどうやら日本でもアイルランドでも変わらないようです。それにしても、ここまではっきりと脱税してる旨言ってしまっていいのかよ?確かに、この修理工場、ほかに比べても安いらしいけどねえ。


この修理工場をあとにしまして、大渋滞のダブリン市内を抜けて自宅へ向かう。今日は大渋滞を予知していつもと違うとんでもない迂回ルートを取ってみた。すると大当たりで昨日は1時間近くかかった帰り道が、45分程度に短縮された。で、自宅近くのタイヤ屋がまだ開いていることを発見。


11月20日の日記に書いたとおり、私の車、今年3回目のパンクをしまして、そのタイヤをいまだに修理せずにスペアタイヤのところに取り付けたままになっていた。スペアタイヤが使えない状態でパンクするとレッカーだなんだで話が面倒だし、しかもNCTで引っかかる。ちょうどいいやということで、タイヤ屋へ。


Rav4のスペアタイヤ、よくジープで見かけるように、車の後部のドアーに取り付けられています。つまり、トランクから取り出したりしなくてもいい反面、取り外しにはねじ回しなどがいります。で、暗い路地裏のタイヤ屋についたのは午後5時過ぎ。街灯までの距離が結構あるせい、そして、いやーな霧雨が降っていることも手伝ってあたりは真っ暗。


で、タイヤ屋の兄ちゃんに、キーホルダーに取り付けてあるペンライトで釘の位置を指し示すと


兄ちゃん:「タイヤ、外さないで、このまま修理しちゃおう」


…横着ものめ。いいよ。私は雨が降っているし、車の中で待たせてもらうよ。


数分後。


兄ちゃん:「さっきのペンライト、貸して」


車から降りていくと、あれ、釘が見当たらない。さっきは一発で見つけた釘がなぜか見当たらないのだ。


私:「あれ、さっきはすぐに見つかったのに変だなあ」
兄ちゃん:「釘、抜いたら穴の位置がわからなくなった



バカですか。あんた。この抜け具合はどっか私に繋がるところすら感じる。私がこの兄ちゃんだったら、多分同じことをすると思う。無計画にことを進めて、運だけで乗り切ろうとして、乗り切れなかったらそれはそれで考えるという…。人のふり見てわがふり直せとはこのことでい。


結局、急がば回れの諺どおり、結局タイヤをホイールから外すことになり、タイヤを車から外し、そして、機械を使ってホイールからも外す。中からパンクを貼って、再びホイールにタイヤを取り付け終了。その所要10分。


そして、タイヤを再び車の後ろに取り付けようとして私にペンライトを貸せと言ってくる。その時、私は聞き逃さなかった。


ぷしゅー。


私:「空気、抜けてない?」
兄ちゃん:「…抜け…て…る…ね」



はい、やり直しー。ちゅうか、プロなら、ど素人に指摘される前に気がつけよ!


再びタイヤをホイールから外し、同じことを繰り返す。今度はうまくいったらしく空気は抜けてない。で、タイヤを取り付け、終了。


私:「ありがとう。いくら?」
兄ちゃん:「10ユーロ」



また、その一瞬の沈黙はなんなんだよ!


もっともこの10ユーロも決して不当ではなく、前回ここでパンク修理をしてもらったときには最初のタイヤを取り外さない横着な方法で修理ができまして、8ユーロなり。今回、いかにジゴーシトクとはいえ30分以上かかって手間ひまかけて修理してくれて10ユーロは安いと思う。でも、どんぶり勘定であるということには変わりがないわけで。そういえば、この10ユーロも税務署に報告されない10ユーロなんだろうなあ。


明日の日記も、「どんぶり勘定」つながりで、続く。




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