なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2006年10月01日(日) |
決戦の木曜日(2)...ダブリン家がある!シリーズ3その(7) |
この私が気に入ってやまない家。大家に私は「気に入りました。住みたいです」と言ったものの、いつもに増して冴えない顔をしているのがひでかす。
私:「あの家にしよう!」 ひでかす:「やだ」
…今、やだとおっしゃいましたか?だとするとなぜ?
ひでかす:「まず、大家がいつも家の周りをうろうろしていると言うことは、プライバシーがないということ。そして、前にも後ろにも庭がない。だったらいったい何のために一戸建てに住むの?アパートと変わらないじゃないか」
うーん、気持ちに冷や水を浴びせることはこのことだ。確かに何か悪いことをするつもりがないとしても、大家が自分の家の周りを常時うろうろしているというのは気分がいいものではない。友達だって呼びづらい気がする。確かに、だったら新築のアパートとすむのと状況は変わらない。
とはいえ、この家にはなんと合計21組の内見があったそうだから、単純計算で5%弱の確率でしかこの家に住めないわけだから、まあ無理でしょう。
というわけで、「つーぎいってみようー」と、私が勝手に本命に決めたバス停から徒歩数秒の3Bedrooms Houseへ。
ベルを鳴らすと出てきたのは、いかにも今作業をしてますと言った感じのオッサン。それが悪いとは言わないけど無愛想。仏頂面。中はいまだに改装中でペンキの缶だなんだが散乱している。というわけで、ほぼ新築同然。きれい。
だが、この家は私に言わせるとかなりがっかり。まず、キッチンが狭いのだキッチンが。キッチンにテーブルを置くスペースがない。さて、私はどこでメシを食えばいいの?
さらに、二階にナゾのドアがあり、そこを開けてみるとなせか螺旋階段が。どうやら屋根裏部屋があるらしい。なぜかこのドアを開けると仏頂面大家が血相を変えて
大家:「ここはダメ!このドアは締め切りにするから」
…意味不明。なんで屋根裏部屋に行っちゃ行けないの?死体でも隠してあるの?だいたい自分が借りた家の中に自分がアクセスできないドアがあるってかなり気持ち悪いことじゃあないだろうか。
さらにひでかすがおかしいけれど言い得て妙なことを言うのだ。
ひでかす:「この家、霊感のある人は何かいるって言うよ」
ふーむ。私はお化けとか超能力とか信じる人ではない。だけど何か感じるのだ。この家の澱んだなんともいえないどよよーんとした空気を。悪いけど前の住人がガス管咥えて死んだとか言っても何も驚かない。別に前の住人が自殺してたとしても気にならないが、この澱みきった空気は気になる。というわけでボツ。
かくして、怒涛の2時間で四軒の内見ツアーは終了。なんとなく疲れ果ててしまった私たしは、そうは言わなかったものの、この中の四軒から選ぼうと決める。
二軒目のどうしようもなく汚い家と、最後の呪われた家は論外。となると、一軒目の古いコマギレ2bedroomsか三軒目の大家と同居の家かのどちらかということになる。私としては大家と同居してもあの家がいいと思ったがひでかすが拒否権発動。というわけでとうぜんの帰結として残ったのは最初の家。
ただ、私に言わせるとぱっとしないのだ。確かに厚化粧をしてきれいに見えるけれどもいいかげんおばあちゃんの家。バスルームがひとつしかないのも気になる。やっぱり大家と同居でもあの家がいいと後ろ髪を引かれる。ただ、21倍の競争率、4倍の競争率の大学も滑ってもんどりうってこけて三流私大にしか合格しなかった私、その難関を突破できるはずがない。
そんなことを話していると、私のケータイが鳴る。小心者の私が電話に出ることをためらっているとひでかすが出る。
ひでかす:「はいもしもし。いえ、Snigelではなくひでかすです。え?ああ三番目の家(大家と同居の家)の大家さん。さっきはどうもでした。え?いやー、いろいろ考えたんですけど、やめときます。え?私たちに鍵を渡すつもりだった?そりゃ残念。でも、ほかにいいところが見つかったのでどうもです。はい。ごめんください」
あ、あ、あ、あんた今、あの家のオファーを蹴った?
ひでかす:「いやー、気分いいねえ。京大を蹴った気分」
ちっともよくねえよ!
続く。
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