なべて世はこともなし
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2006年07月02日(日) 5年経った今から語れる、9.11とひでかすと私

ただいま、アイルランドは日曜日の午後10時30分です。ようやく日も暮れました。さあ、週末も終わり、寝るより楽はなかりけり…って思ったのですが、


あ、日記の更新しなきゃ。


「ほぼ毎日更新中」を標榜しつつ、もう1週間も更新してません(数日前に酔っ払って何か書いた記憶があるけど、とりあえずカウントしない方向で)。これじゃあいかんというわけで、更新開始。途中で力尽きて、色がついてなかったり、誤字脱字だらけだったり、最悪未完かも知れませんけど、それはそれで勘弁を。


約1ヶ月前にはじめたっダイエット、何だかんだでちゃんと5キロ超瘠せました。結構食べていたので、辛くはなかったです。


毎日の夕飯は、これ。





サラダ♪


もともとサラダ、好きなんですよ。これでスモークサーモンとかあったら言うことないですね。あとは、スイートコーンやマヨ系のマカロニサラダなんかも捨てがたいですが、ことマヨまみれのマカロニサラダはどう考えてもダイエットに向いてないので却下。で、これに、自作の和風ドレッシングをつけて、結構おいしく頂いておりました。


本人は楽しくやっていましたが、思わぬ被害者が出ました。うちの同居人ひでかすです。


いつからかは忘れてしまいましたが、私とひでかすの間に不文律の協定ができてまして、気が向いたほう、または家に早く帰ってきたほうが夕飯を作るようになってます。


ひでかすがユナイテッドに勤めていてシフトのパターンによって早く帰ってきたり、遅く帰ってきたりしていた頃は、なんとなく半々の割合でどっちかが食事を作っていたのですが、最近転職したひでかすはほぼ絶対の確率で私より帰るのが遅く、しかも、ダイエットやらで空腹な私は彼が家に帰ってきてからメシを作り出すなど待ってられないので、さっさと毎晩サラダを作ってます。そう、かくして、ひでかすは毎日サラダにつきあわされる結果になったわけ。


ひでかすだって別に嫌なら自分でメシを作ればいいんだろうけど、たぶんめんどくさかったのでしょう。文句一ついわず毎日食べてくれてまして。彼が瘠せたかどうか私は知りませんが、少なくとも、脂っこい冷凍直品を食べ続けているよりはマシだったと思います。ひでかすは私がいつまでもばりぼりばりぼり草を食べ続ける姿を見て、


「お前、そのうち耳から草が生えるぞ」


と言われましたが。


日本ではあまり馴染みのない「ハウスシェア」という方法ですが、ヨーロッパ(たぶん「欧米」って言ってもいいんだろうけどアメリカのことは私は知らない)ではフツーです。現在ひでかすと、ワールドカップで4強に入って笑いが止まらないドイツ人(♀)とフランス人(♂)の4人で住んでます。他は知りませんが、けっこううまくいっていると思いますよ。


私に言わせりゃ、誰も家を掃除しないとか(そういえばひでかすは今日珍しく台所を掃除してた)、ドイツ人は食べた食器等を洗わないとか文句はありますけど、まあ、おおむね良好です。ともあれ、ひでかすとはもうかれこれ5年強も一緒に住んでます。今、こうやって落ちついて考えてみると、家族というわけでもないのに5年以上いっしょのメシを食っているというのはかなり不思議な関係です。


そんな中でもいちばん印象に残っているのは、かの9.11のアメリカ同時多発テロでしょうか。こともあろうにひでかすは二機がハイジャックされたユナイテッドに勤めてまして、この史上最悪のテロはアイルランドに住む私たちにまでえらい騒ぎになりました。


あれから5年も経ったこと、ひでかすが別冊でユナイテッドに勤めていたことをばらしたことなどを考えて書いてしまいますが(ちなみにひでかすの承諾は得てません←をい)、私ですら大変でしたから、ユナイテッドに勤めていたひでかすの苦労はいかばかりかと、今更ながらに思います。


あの日、ツインタワーにヒコーキが突っ込んだという速報が入ったのがアイルランド時間で午後3時ごろ。当時私はユナイテッドのビルから歩いて3分のところにあった会社に勤めてまして、会社にひでかすからSMSで緊急連絡が入りまして、


「アメリカでのヒコーキ事故の話の情報をできるだけ集めて」


と言われまして、慌てて、アクセス殺到で落ちかけていたCNNのサイトのニュースなどを印刷して、ユナイテッドのビルに駆けつけました。


ところが、ユナイテッド社は情報漏洩を防ぐためだかとかで、なんと社員は完全缶詰!ビルから一歩たりとも出ることを許されない、当然私はビルに入ることもできないという状態になったわけ。


で、さっと目を走らせたCNNのサイトのニュースには、2機のヒコーキがツインタワーに突っ込んだだの、11機のヒコーキがハイジャックされただの信じられないことが書かれてまして(これが誤報であったことはご存知の通りです)、いかに鈍感な私ですらとんでもないことが起こりつつあると気がつかされましたが、ひでかすにこのニュースを渡せないんじゃしょうがない。


仕方ない、帰ろうかと思うと、三階のほとんど開かない窓から身を乗り出して私を呼ぶひでかすを発見。


ひでかす:「どうなった」
私:「11機のヒコーキがハイジャックされたって。ユナイテッドのヒコーキも何機か入ってるって」
ひでかす:「ほかには?」
私:「ええとね、ツインタワーに突っ込んだ…」



そこまで言ったところでひでかすはスーパーバイザーに窓から引き離されまして、結局情報交換できず。いやー、当時人間を25年とかやってましたけど、男同士で昼日中にロミオとジュリエットごっこをやるはめになるとは夢にも思ってませんでした。


運がいいとか悪いとか、人は時々口にするけど、そういうことって確かにあって(またこのフレーズが出てきたけど、私はこのフレーズが好きなんですよ)、ひでかすが私と家をシェアしている5年のうちでたった一度だけ日本から友人を招待して、その友人がダブリンに来るという日がこの9.11だったのです。


この時の模様は、ひでかすがユナイテッド勤務であったことを伏せて2001年9月13日の日記に書いてます。この後も、ユナイテッド社は会社に精神科医まで常駐するような戦場になり、日本からせっかく友人が訪ねてきているのにまともに話すらできないひでかすは本当に気の毒でした。


この話をふっと思い出したきっかけは、映画United 93を見たからです。あの映画の中で、情報がいの一番に来るはずの空軍の司令室でさえCNNのニュースに情報を依存していたという笑えないシーン。ヒコーキをハイジャックされて、痛恨にも乗客とクルーのかけがえのない命、そしてヒコーキを失ったUnitedですら、実は社内では情報はなく、外部に求めていたという事実。今だからこうやって遠い目をするように話せますけど、ホントに大変だったんですよ。


あの映画、いい映画でしたが、さあ、どこまで本当なのやら。機内の様子は確かにボイスレコーダーや機内からケータイで乗客の家族やユナイテッドの本社に連絡をされていたりなどである程度は分かっているはずですが、それでも一部始終を目撃した人は全員亡くなっているわけで、「講釈師 見てきたような 嘘を言い」ってことにもなりかねないような。


ホリエモンが感激したという山崎豊子さんの名著「沈まぬ太陽」だってそうですよね。あれ、架空の「国民航空」を題材にしてますけど、それが「日本航空」をさしていることは明らかでして。


あの本は事実を基に緻密に再構成をしながらでもあくまで「事実を基にしたフィクション」なんですよね。映画"United 93"は、たぶんノンフィクションの部類に入るんでしょうけど、乗客の自己犠牲を強調せんとするばかりに、事実を美化・誇張しているところがあるんじゃないかなという気がしました。それをしても、なんとか違う結末であってほしいと真剣に願う自分がいて、本当にいい映画だったことは事実です。


オチてないけど、日付が変わる前に眠らせていただきます。かしこ。




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