なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2006年04月25日(火) |
帰りのヒコーキで見た超越客 |
まだ時差ボケが続いていて、朝の5時には目が醒めてしまいます。まあ、いつもより起床時間が1時間ちょっと早いだけなので、早起きはいいことでこれでいいと思ってますが。
時差ボケは続いているものの、実は、帰りのヒコーキの所要時間はものすごく短く感じました。何せ、熟睡してましたから。そんな中、隣りの客はあからさまに人智を超越したすごい人でした。
その話に入る前に、話は日本に帰る前々日、つまり、金曜日に飛びます。何だか荷物が多くなりすぎたような気がしたので、スーツケースに試しにつめてみました。
うん、重過ぎ。
今回の荷物は、完全に「日本買い出し旅行モード」に入ってまして、大きな布製のスーツケースがひとつ、機内持込可最大サイズの小さ目のスーツケース、そして、ノートパソコンの入ったカバン。測ったわけじゃないけど、あからさまに重すぎ。蛇足ながら、ノートパソコンは、実家にあるCDをじゃんじゃんコピーして持ち帰ろうと思ったわけ。
そこで、書籍はとある人の粋な計らいで別送することに(ありがとうございました)。書籍を抜いたあとのスーツケースはまだ、重そうだけど、まあこのくらいなら何とかなるべえと、日曜日、大小二つのスーツケースとノートパソコンを持ってスカイライナーで成田空港へ。
すでに駅で荷物を捨てたい衝動に駆られつつ、なんとかルフトハンザのカウンターへ。
カウンターにて私の搭乗手続きをしてくれたのは、後ろに先輩社員が控えている、かわいいかわいい新人さん。一生懸命覚えたマニュアル通りに言葉を発し、一生懸命ノートを見たり、後ろの先輩に聞きながら仕事をする様は実に、実に、ほほえましい。がんばってね…と声をかけたくなる…普段ならね。
ところが、まあ、そりゃ私がみんな悪いんだけど、この方後ろで先輩が目を光らせているせいか、この新人さん、やることがすべてシャクシジョーギなのだ。いわく
「お預けになるスーツケースは29キロです。エコノミークラスのお客様の制限は20キロで、5キロはサービスしますが、25キロを越える4キロについては超過料金がかかります」
「持込のスーツケースは12キロで、4キロ減らしていただく必要があります(ちなみにノートパソコンの入ったカバンはお咎めなし)」
ちなみに超過料金はキロあたり30ユーロとのこと。仕方ないので、私は超過した分の荷物を宅急便で送り返すことに同意。しかし、(以下、ルフトハンザのブラックリストに載りたくないので自主規制)。ともあれ、ノートパソコンの入ったカバンも7-8キロはあった気がするから、全部で50キロ近い荷物を運ぼうとしていた計算になりますな。
教訓:いくら年に一度も帰省しないからといって、50キロもの荷物を運ぼうとするのは無謀。
そして、話はようやく機内へ。
残念なことにいい席が取れず、ヒコーキの一番後ろの席へ。一番後ろの窓に近い通路側(C席)。他は知らんが747の場合、ヒコーキの幅が狭くなる後ろの数列はシートが3-4-3配列ではなく2-4-2になります。つまり、私のとなりは窓際の席になるわけ。
まだゴールデンウィークが始まったわけじゃあなかろうに、ヒコーキは大混雑で見たところ満席。かわいそうにシートが全くリクライニングしない一番後ろの列の中央部まで使われている。
私のとなりには60くらいのぼさぼさで長めの白髪で頭頂部に髪のないおじさん。日本人なのだが何かしらのミョーなオーラを発している。嫌な予感。
おじさん、すぐに上着を脱いだのだが、私、目がテンになる。
おじさんタンクトップ着てるよ。しかも緑の。それだけならまだしも、胸にはかわいいかわいいフリルが3本もついてるよ。さらに、よくよく見ると、ジーンズにベルトは幅1センチくらいしかない超細身。
あんたは志茂田景樹の弟か!
そりゃ、人と違うことを私は否定しないし、むしろ推奨しますよ。だけどさ、こういう表現不能な怪しいオーラを推定60にもなって発するのってどうよ。だいたい、なんで離陸前から足元にスポーツ新聞を敷き詰めるのよ(どうやらゴザがわりにした模様で、迷惑ご丁寧にも私の側にまで敷き詰めてくれた)。
で、このおじさん、行動も意味不明。食事の際は赤ワインと白ワインを両方いっぺんに飲む。同時にビールも飲む。カタカナで表現可能なヘタヘタなドイツ語を操る(ドイツに住んでいてあのドイツ語はありえないから多分大学の教授か何かじゃないかという当たりをつけた私)。それだけならまだいい。だんだん特異行動に拍車がかかってきます。
食事後、歯を磨きにトイレに行って戻ろうとすると、おじさんが通路に出ようとしている。私の食事がまだテーブルに載ったままなので出づらそう。フツー、テーブルの上の物をどけて外に出ますよね。ちゅうか、私が戻ってきてるのを見たんだから、ひとこと言ってくれれば私のテーブルを片づけるなり協力しますよ。だけどこのおじさん、油くさいわらじ(そう、緑のフリルつきのタンクトップにわらじ履き…)を私の肘掛けに引っかけて席を乗り越えて行ったのです。
唖然。
で、このおじさん、そののち席には戻ってこずにすぐ後ろの非常口の脱出用スライドの収納棚を机にして立って本を読みはじめる。それはそれでありがたい。おかげで私は熟睡。
ところが、しばらくして突然乱気流に入ったかのごとき揺れに襲われる。ふと目を覚ますとこのおじさんが後ろの非常口の脱出用スライドに足をかけ、そして私の背もたれに右手、自分の背もたれに左手をかけて、なんと後ろから背もたれをよじ登って自分の席に帰ってきたのです。そう、私の席だけ乱気流に襲われたわけ。
さすがの私も呆然自失。想像できますか?緑のフリルつきタンクトップを着てわらじをはいたおじさんが、自分の隣の席をよじ登ってくるさまを。
その後もこのおじさんは私が親切にも「言ってくだされば退きますよ」と言ったのにも拘らずこの方法で席への出入りを繰り返し、酒を飲み続ける。
二回目の食事のときに、おじさん、ドイツ語でスッチーさんに「ウィスキーをくれ」とのたまう。すると、スッチーさん、笑えることになぜか英語で
「申し訳ありませんがもうお客様にはアルコールの提供はできません」
すると、文句を言いはじめるおじさん。するとスッチーさんは、
「わかりました。じゃあ、赤ワインをちょっとだけね」
と言って、赤ワインを渡す。底から2センチくらいの飲みきりの量を。
スッチーさん、あなたの判断は実に正しかったです。何せ、このおじさん、このワインを私のひざ掛けの上に思いきりぶちまけてくれましたから。
おじさん。人と違うということはいっこうに構いませんけど、ヒコーキの中でのエチケットくらい身につけてください…と超過荷物を運ぶ愚客が言っても何の説得力もありませんが。人を見かけで判断することはいけないことですが、ある程度の類推はつくものなのかと考えされられた11時間でした。
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