なべて世はこともなし 日記アーカイブ(インデックス)へ|前日の日記はこちら|翌日の日記はこちら |アイルランド真実紀行へ
ダブリンオフ。昼食会+パブの二段構えで行きます。詳細は以下の通り。 空席商会でおなじみの某旅行代理店に来月の日本行きのチケットの代金を払いに行ってきました(空席商会の意味が分からない人は、それはそれで健全なしるしなので気にしない方向で)。ちなみに、小切手を送ればわざわざ事務所まで出向く必要はないのですが、興味本位で遊びに行った次第。 うーん、さすがは日系旅行代理店。全日空の機内誌「翼の王国」が置いてある…というわけで、ただじゃ帰らないという気概で一冊もらって帰りました。 で、ぱらぱらめくっていたら、文部科学省の高速増殖炉、「もんじゅ」についての見開き広告がありました。 高速増殖炉についての意見広告。高速増殖炉の是非についてここで論じるつもりはありません。ただ、この広告が、やけに引っかかったのです。いわく… 「透明、緑、茶。 同じビンでも色ごとに 分別する国がある」 というフレーズで始まる広告。いかにもイギリスが環境先進国のように書いてます。 「イギリスにはスーパーの駐車場などに『ボトルバンク』とよばれるビン回収用の箱があります。透明、緑、茶それぞれに分けられたビンは細かく砕かれ、また同じ色のビンの原料に。よりムダなく効率よくリサイクルを進める、まさに資源のバンクです」 これ読んでどういう印象を受けますか?イギリスって環境先進国なんだなーって印象を受けませんか。さぞかしイギリスはいい国だと思いませんか? 私はこういう「欧米は進んでいて、日本はダメダメなんだよ」という論調に大いに違和感を覚えます。確かに日本は欧米に見習うべきところは多数あります。ただ、逆もまた正なりでして、欧米は日本に学ぶべきところも多数あると思うのです。 その意味で、こういう「欧米無条件礼賛型」広告には一言居士を決めたくなるのです。だいたいが「欧米」とひとくくりすることに無理があるような気がしますが。 ええと、私はイギリスのことはわかりませんから、話をアイルランドに移します。さっきの広告の文句は、「イギリス」を「アイルランド」にしても成り立ちます。何せ、アイルランドでもビンは、透明、緑、茶それぞれに分けられて回収されてますから。 アイルランドの回収箱。写っているのはひでばかすですが気にしない方向で。 ほら。すごいでしょ。アイルランドではビンは3種類に分けられて回収されて、「ムダなく効率よくリサイクルを進め」られているのですよー…。アイルランドってすごいでよ。環境先進国でしょ。 …ってちょっと待てよ。一体全体ビンの回収率ってどれくらいなのよ…と調べてみました。結果、日本はほぼ100%。それに対し、アイルランドは50%。つまり流通しているビンの半分は、確かに「透明、緑、茶それぞれに分けられて回収」されて「また同じ色のビンの原料」になっているのですが、もう半分は行き先なくゴミ穴に埋められているのです。 それに対し、日本のビンは、酒屋さんなどに持ち込まれた上に、ビール会社などの工場で洗浄され再利用されてます。考えてみたら、わざわざ砕いて原料から作り直すのと、洗って再利用するってどっちが効率的なんだ? ちなみに、アイルランドはまだですが、ビンどころか、ペットボトルですら、砕かずに洗って再利用している国がヨーロッパにはあります。その点、アイルランドは未だにペットボトルは資源ゴミの回収対象外。そういう意味でもペットボトルの6割が回収されている日本と、ペットボトルを埋め続けてるアイルランドとはどっちが環境を考慮してるかは自明の理かと。 はい。もうこの広告の欺瞞には十分納得していただけたと思います。「欧米はすごいんだぞー」という論調には疑ってかかった方がいいと思います。欧米に見習うべきところは見習っても、けっして日本を必要以上に卑下する必要はないと思います。
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