なべて世はこともなし
日記アーカイブ(インデックス)へ前日の日記はこちら翌日の日記はこちらアイルランド真実紀行へ


2005年12月15日(木) 完全公開。これが高級五つ星四季旅館のクリスマスディナーだ!

今年もまた、ダブリンでも有数の高級住宅街にある玉橋地区の四季旅館で会社のクリスマスパーティーなぞがありました。過去日記にもちらっと出てきます(ヒマな人は探してね)。


だいたいがさ、なんでまたこんな五つ星の高級旅館でクリスマスパーティーをやらなきゃいけないのかと会社の了見を疑う。一泊最低でも250ユーロ、下手すりゃその倍とかかかる高級旅館。そんなとこでいくらか知らんが金を無駄にするより、どこか街中のレストランでクリスマスパーティーをやって差額を現金で還元してくれるほうがなんぼか嬉しいか。いや、それを言い出せば、会社のクリスマスパーティーなんてやらなくていいから、その分ボーナスをくれといいたい。


そう。ボーナス。


日本にいる友人とメールのやりとりをしていて思い出した。日本にはボーナスというステキなステキなものがあるのだった。この友人の会社では3.2ヶ月分出たそうな。それってすげーよなー…と思う。私の3ヶ月分の給料のボーナスが出たら、あんなこといいな、できたらいいな(以下、作者「ドラえもんの歌」をバッグラウンドに妄想中につきしばらくお待ちください)。


ともあれ、ボーナスはないわ、薄給だわで救いようのない私の会社。でも、クリスマスパーティーだけはなぜか玉橋旅館。こうなると、「少しでも金を取り返しに行く」という思いだけで、街の北に住む私は重い腰を上げて街の南まで向かったのです。


腐っても世界的チェーンの高級旅館、玉橋旅館。料理はすんごいものが出てくると思うでしょ。…私も最初はそう思ったのですよ。でもね、はっきり言います。大したもんじゃあありません。以下が、玉橋旅館のクリスマスメニューです。






…メニューたいそうですな。


はい、まずは第一スターター。Crisp Pastry of Winter Mushrooms And Red Onion Tart, Morel Sauce. 書き写すだけで疲れました。訳す気力はありません。で、この名前からしてすんばらしいに違いないスターターはこれ。






…って、これですか?この、おせんべみたいに見えるパイの上にマッシュルームが載ってるだけ…ですな。いや、「だけ」というのは暴論かもしれない。ブイヨンからこだわって、ことこと何時間も煮込んだシチューだって、極論すれば、「肉と野菜を切って煮ただけの料理」となってしまう。


そう、四季旅館のスターター、このビンボー人には不必要に見えるくらいの大きな皿の上にお上品に載ったマッシュルーム、きっとうまいに違いない。というわけで、食べる。


…冷たい。


そう、100人だかに作った料理、厨房にしばらく放置されていたのか冷たいのだ。冷たいパイというのはちょっと致命的ですぞ。いや、きっと、高級フランス料理も(食べたことはないけど)こんな感じで冷たいのかもしれない…とビンボーな私は自分で自分を納得させる。


それから15分か20分後にやってきたのは第二スターター。Potato and Leek Green Onion Crisp. はえー話がスープなんだろ…と思っていたとこに出てきたのがこれ。






スープの上に載っている茶髪になった有明海苔みたいなのが、Green Onion Crispなのねん。ふん、これは素朴にうまい。…が、スープなんてあまりありがたみがないのも事実。


それからさらに待つこと15分か20分。お待たせいたしました。本日のメインコース。四季旅館の誇る一流シェフプロデュース、Fillet of Beef and Shiraz Red Wine Sauce Butter Braised Potatoes with Tomato Confit and Smoked Bacon Wilted Arugula and Roasted Garlic.


白状します。これ、なんですか?ビーフステーキなのはわかるけど、Arugulaってなによ?(植物の名前だそうな)Shirazってなによ?(地名だそうな)なんで「ビーフステーキ」って一語で済むところをだらだらと四行もかけて説明してんだよ?そんなことを思っている私のところにやって来たのはこれ…。






ありていに言ってビーフステーキやね。


ちょっとずっこけつつも、ナイフをいれてみる。テーブルマナーがなってないビンボー人の私にはうまく切れない。…って、切ってみると、うーん、こういうのを、「焼きすぎ」っていうんだよ。ウェルダンってやつね。ステーキといえばミディアムでしょ。ミディアム。BSEがどうこう言ってる時期だしさすがにレアでは食べたくないし。


ああ、そうか、アイルランド人はどちらかと言うとミディアムよりウェルダンのステーキを好むんだろうなあ。そうじゃなきゃ、あのアイルランド名物の茹ですぎの野菜の説明なんてつかないもんなあ。そう思ってみると、お隣りの私より大きなステーキをゲットした同僚(注:食い物の恨みは恐ろしいのよ)のステーキ、だれがどう見てもミディアムレア。


そう、100人分いっぺんに料理したせいか、焼き具合が完全にまちまちなのです。で、これまた100人分いっぺんに料理したせいか、やっぱりちょっと冷たい。これなら、近所のパブBeaumont Houseで食べる料理のほうが、鉄板に載ったあつあつが出てきて私はそっちのほうがはるかにいいと思う。


それよりも、何よりも一つ重要なこと思い出した。


これ、去年とまったく一緒のメニューじゃないか!


なんだか物足りないまま、5コースメニューのデザートへ。Warm Apple and Pecan Pie Maple Syrup Ice Cream.






読者の皆様。ウソは書けませんので正直に書きます。このデザートはうまかった。アイスクリームの大ファンとして言わせてもらうが、このアイスクリームはうまかったぞ。…でもほとんど一口サイズだったけどね。ううむ、この発言は、自分が甘党だということを認めてるに他ならないわけですが。


結論。この玉橋旅館はさぞかしすごいところで料理もすごいんだろうけど、100人単位で行ったらそれは給食化します。これだったら、気取らない近所のパブでのんびり食べるご飯のほうがはるかにマシです…私には。まあ、私のようなビンボー人にはこのようなホテルの価値が分からないだけかもしれませんけどね。


ちなみに、最後の、Freshly Brewed Coffee, Selection of Teas…などと言いつつ、出てきたのはフツーのアメリカンコーヒーとフツーの紅茶だけ。ひとりで、「バニラティーを出せー」と暴れたことは書かないことにします。




Snigel |MAILアイルランド真実紀行へ掲示板へ