なべて世はこともなし 日記アーカイブ(インデックス)へ|前日の日記はこちら|翌日の日記はこちら |アイルランド真実紀行へ
ダブリン市内から南に向かって30分ほどDARTに乗ると、Dalkeyという村に着きます。地図を見てもらえばわかるのですが、ダブリン湾の北の外れにあるのがHowthという半島で、その逆にあるのがここDalkey。半島と呼ぶほど突き出ていないのですが、小高い丘になっており、丘に上ればダブリン全景を見ることができます。 (表紙の「今月の一枚」に採用されながら、表紙がリニューアルされたおかげでほんの短期間しか陽の目を見なかった写真) ね。きれいでしょ。当然のように、夜景もなかなかのものなのです。そういうわけでかどうかは知りませんが、ここDalkeyはダブリンでも屈指の豪邸街です。丘の斜面に立つ建物は庭まで含めるととてもダブリンのそれ(あるいはSnigel宅)とは比較にならないくらい広いです。U2のBonoやThe Edge、Enyaに映画「マイケル・コリンズ」の監督Neil Jordanが家を持っている…と書けば、ここを知らない人でも、けっこうなハイソ(死語)でセレブな村であることがわかっていただけるかと。 村も、特に目玉となるような名所がある訳じゃあありませんが、同じダブリン郊外のSwordsなどに比べると何か雰囲気が違います。キッチンのショールームなんかをのぞいても、誰がどう見ても超大金持じゃないと買えないようなシステムキッチンのみを売ってたりとか、なんか、ダブリン県の中にありながら、ダブリン市とはまったく違った雰囲気なのです。 前置きが長くなりつつありますが、昨日このDalkeyに行ってきました。実はまだ前置きはしつこく続いたりします。 ことの起こりは先週。会社の同僚で仲の良かった女の子(アイルランド人)が突如退職して、新しい仕事に就いたこと。実は退職自体はもう2ヶ月くらい前のことで、ついに新しい仕事に就いたと嬉しそうに電話をかけてきたのです。調子のいい私は「おめでとう。ならお祝いしなきゃね。そうだ、友達とご飯を食べに行こう」と言ってしまったのです。 言ったあとに後悔。何せ、ダブリンのレストランなど知らん! ビンボー人の私は外食などほとんどしません。私のお気に入りは、某Kilbarrackにある、お持ち帰り店に毛が生えた程度のイタリア料理くらい(安くてうまいのだ=機会があったら紹介します)。その前には忘れるほど昔にYamamori(日本料理レストラン)で天ぷらを食べたとか、イタリアンレストランで食中毒事件を起こしたとかしかない。まあ、パブでご飯を食べることはたまにはあるんだけどね。そんなわけだから、昔行ったいいレストランは何時の間にか質が下がり、昔行ったひでーレストランは何時の間にか消えてなくなり…と、完全に時代に取り残されているわけ。 うーん。困った。困った。確かに街中にはそれこそきら星の数のごと数のレストランはあるけど、できれば街中を外してちょっと奇をてらいたい。MalahideにあるSham Thaiというレストラン(街中に支店あり=過去日記にレポートがある)にすべえか…何て思っていたときに、5年ほど前に行ったDalkeyにあるThe Guinea Pigというレストランを思い出したわけ(考えてみれば、すごい名前のレストランですが)。 私の記憶が正しければ、このレストランでEarly Bird Menu(夕方の早い時間に出す低価格メニュー。ディナーに比べるとかなり割安になることが多い。平たく言えば、ランチとディナーの中間ですな)を食べていたくおいしかったことを覚えている…が、いたくおいしかったということ以外に何も思い出せないのだ。 こうなったら電話。The Guinea Pigに電話する。 相手:「Early Bird?やってますよ。土曜日は午後6時から7時までの間だけです」 速攻予約しました。 こうして話はようやく最初に戻るわけです。 で、転職してうきうきの友人と、別の友人の3人を車に乗せて、Dalkeyへ。駅に車を停めて(注:この村は駐車場がやたら少ないので車ではなくDARTで行くのが正解)くだんのGuinea Pigへ。 外観。見ての通りかなりこじんまりとしたレストラン。実は右隣の家も買収したらしく実は広さはこの倍なのだが、ともあれ、テーブルは20程度とどっちにしても小さなレストランには違いない。 開店と同時に着いた私たちは一番乗り。中はこじんまりとしており、英語で言うとこのcosyというやつ。着くなりにまずはパンでごあいさつ。 (うーん、フラッシュを使いたくなかったので写真がボケている。グルメレポーターとしては完全に失格だな)。 このパンをかじりながらメニューを見る。 スターター Sundried Tomato and Cream Cheese pate, with Toasted Fingers. A Seasonal Salad of Lettuce, Tomatoes, Onions & Basil Dressing. Chicken Liver Pâté with Cumberland Sauce & Toast. Deep Fried Mushrooms with Garlic Mayonnaise. Smokies Smoked Cod with Cream, Tomato & Herbs, topped with Cheese & Baked. Dublin Bay Seafood Chowder with Cream & Croutons. すでにヨダレが垂れてきそうなメニューです。ちなみに元同僚と友人はまったく一緒のメニューを注文したので、以下はあたかも二人でこのレストランに行ったかのようになってます。 私が注文したのは…日本人なら納得してくれるであろうシーフードチャウダー。元同僚は、チキンリバーのパテ(私なら絶対に選択しないもんだな)。 ワインもやってきたので乾杯。車を運転する必要のあった私はワインは残念ながら舐めただけでしたが。しばらくして、パテとシーフードチャウダーがやってきた。 パテのことは知りません。元同僚と友人は絶賛してましたが。で、私の頼んでシーフードチャウダー。 激ウマ シーフードで有名なのはThe Johnnie Fox's Pubなのだが、ここでもシーフードチャウダーを頼んだことがある。おいしかったけど、貝の砂ぬきがしっかりしてなかったかなにかでちょっとじゃりじゃりした感があった。もっと言えば、無骨な印象を受けた。その点ここのシーフードチャウダーは文句なし。 スターターを食べているうちにも周りのテーブルが別の客で埋まっていく。なぜか落ち着いた感じの年配の客が多い。見る見るうちに完全に満席に。予約なしの客は申し訳なさそうなマネージャーに追い返されていく。テーブルが完全に満席になった頃にメインコースが届く。 Fish Mixed Grill, 3 Varieties in Lemon or Garlic Fish & Chips. Goats Cheese topped with Sesame Seeds, Grilled, served on a bed of Salad with Croutons & Honey Dressing. Calamari Pan Fried, with Ginger & Spring Onion, bell Pepper, Garlic in Olive Oil. A Pot of Steaming Mussels with Cream & Herbs Baked Dalkey Crab Meat with Cream & Cheese. Grilled Fillets of Sole with Ginger & Spring Onion. Lamb Shank Braised for one hour with Root Vegetables, Herbs & Wine. Chicken Breast, stuffed, wrapped in Bacon Pot Roast, served with Whiskey Sauce. Honey Roast Half Duck Boned & Sliced, served with Apricot Sauce. €5.00 extra. Sirloin Steak with Pepper Sauce. €5.00 extra. これ、ホントに選択に困りますよ。どれもおいしそう。こんないいレストランに来てFish & Chipsなんて論外のように感じるけど、でも、こんないいレストランだからこそ、想像もつかないようなFish & Chipsが出てくる可能性もある。普段は避けている牛肉だってここならきっとおいしいに違いない。ビーフステーキというの捨てがたい。でも魚レストランに来たのだからヒラメ(sole)というのもいいなあ。 とまあ、さんざ悩んだ挙げ句に元同僚と友人が選んだのがヒラメ。私が魚レストランで選んだのはダック(…なんでやねん)。 で、ダック。 今まで食べたダックの中でいちばん。近所のお持ち帰りの中華料理店の出すダックとは根本的に次元が違う。ジューシーというかなんというか、アプリコットソースとの絶妙なからみはもうネ申の所業ともいえる。で、同僚が頼んだヒラメも激ウマ。 さっきから比較に出して申し訳ないが、the Johnnie Fox's Pub。ここでヒラメを食べたときは、悪くはなかったが、料理の仕方がいまいちだったのか肉が乾いていて素材の味を殺しているような印象を受けた。ところがここのヒラメは素材の味を殺すことなく絶妙。 ちなみにサイドサラダ。何の変哲もない…といえばそれまでだが、新鮮でした。 シメに出てきたのはデザート。私はアイスクリームを注文。はい、写真では何の変哲もないアイスですが、自家製でおいしかったです。 友人が注文したのはアップルパイ。アイスクリームが2すくい出てくるなら、こっちにすれば良かったと思った時はすでに遅かった。 で、このEarly Birdメニュー。前菜とメインコースでたったの22.5ユーロ(3000円)。デザートは6.5ユーロ(880円)。高いといえば高いけど、ダブリン市内ではフツーのレストランでのディナーの相場とほぼ変わらないと思います。言い方を変えれば、ワインやチップまで入れて、3人で120ユーロ(16000円)。味もさることながら、雰囲気がいい。おかげで6時から8時半過ぎまで2時間半以上も居座ってしまいましたが、迷惑そうな顔一つされませんでした。 ちょっと郊外まで足をのばしておいしい物を食べたい…って人にはオススメのレストランです。このディナーのあとで夜景を見て…という下心みえみえのデートコースにも使えそうですが。 詳しく知りたい人は、レストランのサイトへどぞ。
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