なべて世はこともなし
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2005年07月28日(木) Bank Holiday Special連続更新(その1)

アイルランド空前のバブル、「ケルティックタイガー」の原動力は外国企業でした。政府の破格ともいえる法人税優遇のおかげで、アイルランドに外国企業がぼこぼこやってきて、雇用が生まれ、家の値段は暴騰し…ということが起こったわけです。


で、数年前からは、数年前から、10年ほど前にやってきた外国企業が、ひとつ、またひとつと静かにアイルランドを去っていってます。ありがちなパターンなのは、新しい工場やオフィスを新規にEU参入した東欧諸国に引っ越すのと、なぜかインド。バブルというご馳走を食べて贅沢になってしまった(=人件費が高い)アイルランドに見切りをつけて、東欧やインドに会社がどんどん流れていってます。


私の友人の勤める会社も例外ではありませんでした。


ある日突然、「緊急会議」が招集され、その場で


社長:「突然だが、ダブリンオフィスを閉めることになった。あとは、ポーランドとインドの新しく開設するオフィスが引き継ぐから」


唖然としますよね。まさに、寝耳に水。これって、解雇通告以外の何物でもないわけで。「希望者はインドに移動できる」なんて言われても、インドくんだりまでついてゆくほど会社に忠誠心を持っているやつのほうが珍しいわけで。私だったら絶対に行きません。


ところが、悪いことばかりじゃありません。Redundancy Package(退職金)というのがもらえるわけですよ。こういう場合。だいたい給料の4週間分かける勤続年数…というのが相場らしいです。ただし、最低は2週間で、あとは会社次第らしい。具体的に言えば、年収3万ユーロで、勤続5年の人はおよそ11500ユーロ(30000/52x4x5で150万円)という退職金がもらえ、かつ、この退職金には税金がかからないというのだからこれほどおいしい話はない。


まあ、逆に言うと、社員ひとりひとりにそれだけのまとまった金を払ってまでも東欧やインドに行くほうが会社にとっては得なんですよね。そう考えると、一体東欧やインドの給料体系はどうなってるのか突っ込みたいところです。


ただねえ、工場なんかはともかくとして、コールセンター(日本的にいえばサポセン)なんてどうなんでしょう。こと東欧の場合、言葉の壁というものが出てきます。ネイティブでない私が言うのもお笑いですが、英語を母国語とするお客さんにとって、あまり英語が達者でない人と会話するというのは、ことクレームなどの場合たぶんストレスになると思います。それだけならまだしも、やっぱりコールセンターは地元に限ると思うのです。


フランスのとある大手タクシー会社の実話(らしい)。


パリをベースにした大手タクシー会社。人件費の思い切った削減のため、予約センターをこともあろうにチュニジアに移したらしい。ほとんど知らないパリで話を進めるのは難しいのでダブリンのタクシーのオフィスがインドに移ったとして、こんな会話が繰り広げられていたらしいのだ。


客:「タクシーを予約したいんだけど」
係:「ご住所は?」
客:「今、Yacht Pubにいるんだけど」
係:「Yachtですか?」
客:「そう」
係:「それってどこですか?」
客:「Clontarfだよ」
係:「つづりを教えてください」



ダブリンに住んでいる人間なら(こと、タクシーのコールセンターに勤めるような人間なら)Clontarfがどこにあるか知っている。私がタクシーのコールセンターに電話をかけて、Clontarfがどこにあるか知らないようなやつが電話の応対をしたら、そりゃかなりの違和感を覚える。ちゅうかキレるぞ。実際、電話をかけたらコールセンターは北アイルランドにあり、話が通じなかったことが何度かある。北アイルランドですらそうなんだから、インドなんて言ったらいったいどうなるんだ?


いわずもがな。このタクシー会社のチュニジアコールセンターは結局失敗してパリに戻ってきたそうな。


あ、今週末はアイルランドは3連休です。特に大きな予定はないので、日記を更新しますのでよろしくです(こう書いておけば、書かざるをえないだろうと自分を追いつめている次第)。


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