なべて世はこともなし
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2004年06月15日(火) アイルランド総選挙報告

金曜日に、アイルランドの総選挙が行われました。日本的にいえばトリプル選挙。すなわち、ローカル選と、EUの議員選挙と、憲法改正の国民投票。率直な感想。


やっと終わった。


選挙の投票前には特に午後8時前後を中心として、政治家および(もしくは)その支持者がもうこれでもかというくらい戸別訪問攻撃をかましてきまして。あ、日本では違法の戸別訪問。どうやらアイルランドでは合法のようです。


で、最初の頃は、律義に誰かがドアーをノックするたび応対してたんですが、ドアーを開けるなり


「ああ、ガイジン(参政権なし)だー」


とあからさまにがっかりするのが手に取るように分かるわけです。言わせてもらいますと、私だって登録さえすれば、ローカルの選挙には参政権があるんですけどねえ。ともあれ、あまりにうざいのでしまいにゃ居留守を使うようになりましたが。




で、町中の、街灯や電柱さらには道路標識、思いつく限りの柱は選挙ポスターが貼られてます。


で、今回の選挙、野党のシンフェイン党と労働者党の奮闘が目についた選挙でした。要は、数年前の日本の総選挙で与党への批判票が共産党に流れたときのように、シンフェイン党と労働者党といういわば万年野党に批判票が流れたわけ。


…というのがマスコミ・世間の共通した意見なんですが、私(とひでかす)はちょっと違う目線で見てます。




ほら、この写真。じっと見ると何かに気がつきませんか。


そう、労働党の候補の写真(中央)はきれいなのに、与党の候補の写真は色褪せてキョンシー化してます。




そう。労働党やシンフェイン党の勝因はポスターが色褪せないいいインクと紙を使っているところにあった。…といいつつ、この黄緑キョンシー顔のゲイミッチェルさん、誰よりも早く当選を決めたんですけどね。


で、もうひとつは改憲の是非を問う国民投票。


投票前までは、アイルランドで生まれたすべての赤ちゃんは例え親が何人であろうとアイルランドの国籍がもらえるというものでした。ところが一部のガイジンが、アイルランドの国籍をもらうがためだけに出産直前にアイルランドに入国して、国籍が取れ次第EU内の第三国に移動してしまうということが多い…と与党は批判してたわけ。で、今回の国民投票の争点は、「アイルランドで生まれた赤ちゃんはアイルランド人とみなすかどうか」というわけ。


そう、結果は8対2の割合で、改憲派の勝ち。これの意味するところは、今後アイルランドで生まれた赤ちゃんは、両親のひとりがアイルランド人でない限りアイルランド国籍はもらえないということ。


こんがらがった人のために、逆から書くと、これまでは、アイルランドで生まれた赤ん坊は、人間である限り誰であっても自動的にアイルランドの国籍がもらえていたわけ。親が、イギリス人でもパキスタン人でもデンマーク人でもスワジランド人でもハーフでもなんでもみーんなアイルランド人。


で、改憲派の人のいうことに耳を傾けると、なんでもこの制度を悪用して、アイルランドを足がかりにしてヨーロッパに移住する人が少なからずいるとかいないとか。どちらがいいのか私には分かりませんが、ただ、賛成派があからさまにマスコミを使って世論を誘導しようとしていたことは間違いがないと思います。

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