なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
前々回(4/6)の日記で書いたとおり、私は「通勤路」とも言えるハノーバーロンドン経由ダブリン行きで「パブで飲んでいたから」という同情の余地なき理由でダブリン行きのヒコーキに乗り遅れました。で、昨日、全く同じルートを飛んできました。できれば「愚客リスト」とかに載りたくない私はちゃーんとゲートに行きましたよ。
出発2時間30分前に。
…これ、ウソではありませんが、若干の脚色が入ってます。というのも、私がこのチケットを買ったのはなんと5ヶ月も前の11月の話。行きがグッドフライデー(イースター休暇の始めの日ね)で、帰りがイースターマンデー(イースター休暇の終わりの日ね)という超忙しい日のフライト、早く押さえないととんでもない値段になるのを見越して、5ヶ月も前にチケットを買った次第。おかげで、500ユーロ超にもなるチケットを160ユーロ程度で入手できたわけ。
その代わり…と言うわけでもないんだろうけど、夏ダイヤに変更になったときにハノーバー発のヒコーキが1時間早発になった。かくしてロンドンで3時間ほどの無意味な乗換え時間が生じた。で、イースターの真っ只中にも拘らず、ハノーバーからのヒコーキは定刻通り。フライトコネクションセンターも偶然にもガーラガラ。で、私が「心を入れ替えて」ゲートに着いた時は次の便の2時間30分前だったわけ。
ゲートに行くと、自分の乗るはずの一つ前の便のダブリン行きがもうすぐ搭乗という状態。だめもとでカウンターのおねえさんに聞いてみた。本当はこれが目的で2時間30分前にゲートに行ったんだけどね。
私:「次の便にリストされてるんだけど、この便に乗れない?」 係:「満席です」 私:「んじゃ、空席待ちしていい?」
係のおねえさんは、ちょっと面倒くさそうな顔をしつつも、私のチケットを見せてと言い、コンピュータのキーボードを叩く。
係:「あなたのチケットの場合、変更料金がかかりますね」 私:「いくら?」 係:「いっぱい」
面倒くさいからとテキトーな理由を見つけたな。次の便の方が混んでるんだから、ここで私を前の便に乗せれれば、オーバーブッキングで乗れないやつをひとり救えるだろうが?だいたい「いっぱい」ってなんだよ?いっぱいって?
…と、突っ込もうかと思うが、何せ、この係のおねえさんの言うとおり、私はダブリン=ロンドン間に片道18ユーロ(税含まず)しか払ってない。ここで、いらん文句を言うと、愚客リストに載りかねない!そう考えて、ここはおとなしく引き下がる。
で、搭乗ゲートから離れた人気のないベンチでのんびりと本を読みはじめる。何せ、この搭乗ゲートのエリアまで来てしまうと、ここには何もない。あるのはキオスクに毛が生えた程度のコーヒーショップ(座席なし)と両替、それに自動販売機が数台(ビジネスラウンジもあるようだが縁がない)。乗客の逆流を防ぐ意味でラウンジにも戻れない(戻りたかったらセキリュティコントロールをもう一度受けることになる)。というわけで、ここに来ると、本でも読む以外本当にやることがないわけ。
で、キオスク風のコーヒーショップで、スーパーでなら24本12ポンド(つまり1本50ペンス)で買える瓶ビールを3ポンドも出して買い、それをゆっくり飲みながら本をかれこれ1時間くらい読んだろうか。突如日本語が耳に入ってきた。私くらいの年齢の女性の声。
「はーい。お疲れさまです。現在時刻はイギリス時刻で午後4時45分。イギリスはアイルランドと同じ時刻ですから時計を合わせていない人は合わせてください」
…ツアコンか?と思って顔を上げると、そこには高校生くらいの男女30人ほどが。化粧っ気もなければ、髪も染めていない、ちょっと純情風に見える生徒たち。ということは、この女性はこの生徒たちの引率者か。なんだろな、こんな若いのに海外旅行できていいな…と、パスポートを初めて持ったのが21歳だった私はちょっとひがむ。
引率の女性は続ける。
「ダブリン行きのヒコーキは午後7時30分。今からおよそ3時間後です。その間、ここで自由に買い物等をしてください」
唖然。買い物って、店、ないよ?
「のどが渇いた人は、そこのお店か自動販売機で自由にものを買ってもらってけっこうです。ただ、ユーロは使えないので、そこの両替所で両替してください。ただ、あまり多額を両替すると使えきれなくなるので5ユーロ札か何かを出して両替するといいと思います」
私は、横からツッコミをいれたくなるのを必死でこらえる。つまり…
そこのキオスクふうのコーヒーショップはユーロ他、だいたいの通貨で両替せずにそのまま使えるよ。それから、5ユーロを両替したって手数料をがっぽり取られるから手許にいくらか残るかどうか。しかもそこの自動販売機、さっきから「売切」の文字が点灯してるよ。
そんな私の心の叫びをよそに、この人は続ける。
「荷物はここに置いておいていいですけど、パスポートと搭乗券は必ず携帯してください。あー、それから、さっき通ってきた、チューブみたいなところ(連絡通路)から先に行っては絶対にダメ。戻ってこれなくなります。去年そこから先に行って大変なことになった人がいたので特に注意してください」
うん、これに関してはその通りだ。ここに来ると搭乗券なしでは戻ってこれない。だから、フツー搭乗時間3時間前にここに来る人はいないんだよね。…とか言いつつ自分は2時間30分前に来たけど。まあ、ここにいる限り、ほとんど軟禁状態だから、引率者にとっては楽だなあ…。
「では、6時に一度集合ということで解散とします」
…なんで?搭乗時刻7時30分じゃないの?などと思っていると、生徒たちは散っていく。…いや、散っていかない、大挙して向かったのは両替所。今までお客を見たことがなかった寂れた両替所に大挙して押しかける生徒。なるほど、こういうことがあるからここは潰れないのね。
生徒のひとりが引率者に質問する。
「今、どこにいるんですか」
…お前はそんなことすら知らんのか?
そうかと思うと、私の隣りのベンチに陣取った男の子数人は、今時の話し方で…
「それにしてもよりによってアイルランドに留学なんだろね。フツー、オーストラリアとかアメリカだべ。ダチにも恥ずかしくて言えねえよ」
…そうですか、その程度のご認識ですか。でもそういう認識でアイルランドに来る生徒って少なからずいるんだろうなあ。
しばらくしてようやく私のヒコーキの搭乗時間になる。搭乗ゲートで搭乗券を見せると
係:「あ、ちょっとお待ちください」
と言って、カウンターの奥へ行き、私の搭乗券を別の搭乗券と交換する。新しい搭乗券は、おお、ビジネスクラス。…18ユーロしか払ってないのに。
だいたいビジネスって言ったって、たかが50分ほどのフライト、どんな違いが出せるものか…と思っていると、まず、アイルランドの新聞の配布から始まる。で、離陸後、結構しっかりした食事が出される。私が選らんだのはサーモン。味は…悪くない。ちゅうか18ユーロしか払ってないやつが文句を言う資格はない。
で、食べ終わる前からすでにスッチードさんは私の食器を片づけたくてたまらない模様。さらに食べてる途中にお茶を持ってくる。そりゃそうだ。私が食べ終わったときにはすでに着陸体勢に入っていたのだから。…どう見てもこりゃこの短いフライトでビジネスのミールサービスをするのは無理があるぞ。そりゃドリンクを有料化するのもどうかと思うけど、この短いフライトでミールをサービスするのもやりすぎな気がする。…18ユーロが何を言うという感じですが。
ただ、これだけは言わせてほしい。
アップグレードしてくれるくらいだったら、エコノミーでいいから前のヒコーキに乗せてほしかった。
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