なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2004年02月21日(土) |
ダブリンでまことしやかに流れている噂を検証する |
タクシーの中での運転手と乗客(日本人女性)との会話。
運転手:「お嬢さん。どこから来たの?」 客:「日本」 運転手:「日本かあ。オレ、つい最近までダブリンバスで運転手やっててタクシーの運転手になったんだけどよぉ、ダブリンバスに日本人の運転手がいるって知ってるかなぁ」 客:「え?そうなんですか」 運転手:「いやあ、彼はすごいやつでねえ、初めての日に道を間違えてLouth(郡)に行っちゃってさぁ」 客:「ええ?そうなんですか?」 運転手:「それでさぁ、お客は全然怒んなくて記念に一緒にパブに行って帰ってきたんだってさぁ」 客:「アイルランドならではの話ですね」
…という噂話があったという話を聞きました。そのタクシーの乗客の日本人女性から。
絶対ウソだよ。
土地カンのない人のために解説しておくと、この話、「都バスの運転手が初日に道がわかんなくなって気がついたら熱海にいた。仕方ないから熱海の温泉にみんなで入って帰って来た」というのと同レベルです。ありえないでしょ?
だって、お客がLouthまでバスで連れて行かれて途中で気がつかないはずがない。もし運転手が世界一のボンクラでもSword村を出たあたりで気がつく…と思う。ネタとしちゃ面白いけど、ダブリンの市バスがダブリンから北に50マイルも離れたところまで行くとは思えない。本当に百歩譲ってLouthに行ったとしてもパブに行って帰ってきたりするもんかい。…いくらアイルランドでも。
そんな話を会社でしていると、今度は同僚が…
同僚:「その話私も聞いた。ダブリンバスの日本人運転手がBelfield(ダブリン南部)に行くはずがBelfastに行っちゃったんだって」
…Louthを通り過ぎてBelfastかよ。おいっ。しかも聞いて見れば、この噂、けっこうダブリンじゅうに広まっている模様。数名の人から同様の話を聞いたという証言を得ました。
「指さし」を隅から隅までご覧になった方はご存知でしょうが、実は私、この「伝説の」ダブリンバス運転手さんと親交があります。という訳で、本人に突撃取材をしてみました。それがいちばん手っ取り早い。しかもメシまでごちそうになったりして...ええ、これもすべて取材のためです。
結論:彼はこの噂が広まっていることを知っているが事実とは全く異なる…とのこと。
ここで私は真相を暴露してしまいます。そう、「火のないところに煙は立たない」のです。やっぱりなんかあったんですよ。彼の独り立ち初日に。
それは、市内の某交差点。彼は直進しなければ行けなかったところを運行系統を勘違いして左折してしまったのです。お客からさっそくクレームが来て、狭い路地に無理矢理頭を突っ込んでUターンしたそうです。
はい。たったそれだけのことです。悪いですが、私、ダブリンバスが道を間違ったことに一度や二度ならず遭遇しています。はっきり言って別段ネタにするまでもない他愛ない話なんですよね(少なくともアイルランドではそうなのです)。そこに尾ひれ背びれがついて最初のような話になった模様。
そう数メートルのオーバーランが、噂ではなぜか160キロのオーバーランになってしまうという…。ああ、噂って怖いね…という話でした。
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