なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2003年12月06日(土) |
我が家のとある土曜日の朝 |
こんにちは。ひできすの代打日記です。
皆さん長らくお待たせしましたが、Snigelの隠密行動はそろそろ最終段階に入り、 もうしばらくしたら日記も滞りなくアップされていくことと思われます。
昨日、土曜日はいつもとは立場が逆転して、Snigelが仕事でひできすが休み。 朝からのほほんと、残り少なくなったキムコ、じゃない、キムチをおかずにご飯を食べていると、二人のドイツ人の同居人がキッチンに飛び込んできて、
「ひですき、変態。オイルがなまっていて、おじさんがトラックにガレージと400ユーロ?」
「...」
どうやら、
「ひできす、大変。トラックでオイルを積んできたとても訛りの強いおじさんが、ガレージを開けろといってるけど、400ユーロ持ってる?」
が、パニクって言葉がすっころんだ模様。
そう、先日家の暖房用の灯油が切れかけているのに気づいたひできすは、全フラットメイトを対象に、アンケートを実施し、400ユーロ分を注文することになり、Snigelに「そんなわけでよろしく頼んどいて」とまるなげにしていた。
まだ半分寝ぼけているひできすは、「あのばか、何でそんな大事なことを黙っているんだ」とさけびながらコートの財布をまさぐる。
おりしもそのとき家の電話が鳴り、Snigelから
「そう、そのことなんだけどね(はあと)」。
「何が、そのことなんだけどね(はあと)だー。」と言いながらひできすが財布の中に見つけたのは20ユーロ紙幣。おっ、ラッキー。今金欠なんだよね(というか、今年はずっと)。
...じゃない、今われわれが対面している問題は400ユーロ。絶望の面で二人のドイツ人を見ると、
「あのっ、裏口のドアの鍵が調子悪くて開かないんだけど」
「だーっ、お前ら何年ここに住んでんだ?」
「なによ、こないだ越してきたばかりじゃないの」
「ば、ば、ばっかだなー。今語らねばならないのは400ユーロという現金...」。
ドアを直しながらひできす
「金、あるのかないのか?」
と聞くと、二人ともお手上げというジェスチャー。
ドアを直してやると、二人はおっさんが早く開けろと叫んでいるので急いでガレージを開けに行く。
ん?そういえば忘れていた。おれは電話をしていたんだ。大体、Snigelがここにいないのが悪い。
「それでSnigel、どうすんでい。あれ?お前なんで声枯れてんの?」
「ぶわくゎやろー、電話中に俺を無視するなー。人の話を聞けといってんだ。」
Snigelは、ひできすが受話器(コードレス)を耳に当てずにうろうろあたふたしているあいだ、ずっと「おーい、ひできすううう。聞いてますー?もしもーし」と叫んでいたらしい。けなげなやつ。
ひできすは「わかったSnigel。お前がおっさんと話せ。」
かのおっさんは、すでにガレージから裏庭に入っていて、トラックから引っ張ってきた長いホースをタンクに突っ込んでいる。
「ちょっとおっちゃん、Snigelとしゃべって」と受話器を渡すと、
「おお、きみはたしかジャパニーズ・パディー。元気してる?」
なんだあ?こいつら知り合いか?
おっさんは、Snigelのクレジットカードの番号をメモして(なんだ、サインいらないんだ。Snigel、どしてそういうことはやく言わないんだ。)
「でジャパニーズ・パディー、君の本名は?」とやっているところで、タンクの灯油があふれてどばばばば。あーあーあー。
トラックに戻りSnigelの本名を書いて渡すとおっさんは、
「ほいレシート、25ユーロディスカウントしといたから。」
おっ、持つべきものは石油会社に勤める大家さん。このおっさんは、おそらく大家の会社の部下といったところか。
「そんだば、ジャパニーズ・パディーによろしくねん」といって、おっさんは去っていった。
10月に越してきたこの家、セントラルヒーティングの燃料は灯油。前の家のようにダブリンのほとんどの家はガスが燃料。 年に何度か大型トラックでオイルを持ってきてもらわないといけないのは面倒くさいが、家は前の300倍あったかいし、オイルヒーティングは安いという人もいる。アイルランドは天然ガスが出るのでガスのほうがいいんだという人も多いが、ガスヒーティングは事故も多い。どちらがいいとは簡単には比較しづらいどころで。
さて、一部始終を暖かい家の中で見守っていた女性陣は、
「あのおじさん、こぼしたオイル洗っていかなかったわ。くさくてやんなっちゃう。」
ぷちんときれたひできすは、
「ばっきゃろー。そんなもん、雨降って痔がたまるんだ」。
我が家の土曜日の朝はけたたましい...。
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