なべて世はこともなし
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2003年03月03日(月) ドイツ国鉄のすんばらしいサービスについて

はい。ドイツから帰ってきました。今回は何にも起こりませんでした。それが当たり前なんです。…なんで信じてくれないのよ?まあ、ネタにするほどのことでもありませんが、ちょっとした事件は起こりました。


それは行きの話。まずは旅程を確認しますね。ちなみにこの旅程、前回のものとまったく同じです。ゆえに前回の自分の日記からコピーしています。


午後2時までフツーに働く。

午後2時45分。帰宅

車を自宅においてバスで空港に移動

午後4時45分。EI698便にてデュッセルドルフへ

午後7時35分。デュッセルドルフ着

午後9時。デュッセルドルフ空港駅より
最終のICE(特急)でハノーバーへ

午後11時37分。ハノーバー着

日付変わって午前0時13分。最終のローカル列車で某駅へ

午前1時ごろ。某駅着




ダブリン空港には午後3時30分頃着。手荷物のみの私はスムースにチェックイン。搭乗もほぼ定刻通りに完了。前回の機長のアナウンスは…


「エアリンガスにご搭乗くださりありがとうございます。当機はEI694便。デュッセルドルフ行きです。このヒコーキの到着時に若干の問題がありまして、ただいま一部の部品を交換中です。スロットは取ってますので部品交換が済み次第デュッセルドルフに向け出発致します。ただいまのところ、出発予定は午後5時30分、およそ45分遅れです」


だったわけですが、今回は…


「エアリンガスにご搭乗くださりありがとうございます。当機はEI694便。デュッセルドルフ行きです。出発の準備は整ってますが、イギリス上空の混雑のため離陸の許可が下りていません。まあ、いつもの問題です。出発は少なくとも30分遅れる見込みです」


もう矢でも鉄砲でも持って来てください。


機長の発言通り、確かにプッシュバックはほぼ定刻通りに行われました。がそののち20分以上待機。なーんかやることがえげつないなあと思う。


航空会社にお勤めかはたまたマニアでもないとなんでえげつないかお分かりにはならないかと。私がえげつないと言ったわけ。それはですね、出発時間の問題。ヒコーキの出発時刻は「ゲートからプッシュバックされた時間」です。つまり定刻にプッシュバックさえされればそのヒコーキが1時間後に地を蹴ろうと「定時出発」になるわけです。まあ、そこまで考えてプッシュバックしたかどうかは知りませんが。


かくしてヒコーキは7時45分にデュッセルドルフ着。まあ定刻通り。私は一つの事実に気がついた。


もしかして早い列車に乗れる?


ドイツ国鉄、パターンダイヤで運行されてます。デュッセルドルフ=ハノーバー間もこの例に漏れず、ICE(ドイツ版の新幹線)は一時間おき。つまり午後8時ちょうどにもICEが出てます。


で、この早いICEに乗ると、ハノーバーでの乗り継ぎもさらによくなり、午後9時発のに乗ると午前1時着なのに対し、午後8時発だと、午後11時過ぎにはハノーバーの先の某駅に着きます。この夜中の2時間の差はでかい。というわけで、早い方の列車に何とか乗ろうと、私は走りました。


天は今回に限り私に味方しました。前回50メートル超の列があった入国審査。今回は前にひとり待っているだけ。入国審査官は私のパスポートを軽く見ただけでスタンプをポン。私はそのまま走って臨時シャトルバス乗り場へ。バスはすでに待機中で数分中に発車。バスが駅に着くとすでに私が乗るべきICEは入線しており、私は走ってプラットホームへ。エスカレーターを走る私を車掌は見つけてくれ、ちょっと待ってくれました。


私が列車に飛び乗った瞬間列車は発車。かくして午後8時発、つまり予定より1本早い列車でハノーバーに向かうことに。


が、ここで問題発生。というのも私が持っている乗車券は特殊なもの。事前に購入する代わりにかなり大幅な値引きがされている。あ、ドイツ国鉄、日本のJRを基準に考えると理解してもらえません。航空会社のような割引がたくさんあります。私のチケット、日本の国内線でいえば「早割21」。数週間前に購入することで4割引。が、乗車便の変更は認められません。まあ列車のいいところは来たものに飛び乗れる…だと思うのですが、ドイツ国鉄はこの便利さをあえて無視してるわけですな。


ともあれ、私のチケットは乗車する便が指定されてます。つまりそれ以外の便には無効あるいは差額を払わねばならない。


まあ、車掌が来ても「私はずっと前から乗ってますよー」という顔をしていれば検札は免れるので私はその作戦で行くことに。あ、この作戦は特急では可能ですが、S-bahn(近郊列車)では全く無理ですので「この日記を読んでキセルをしようとして罰金を取られた!」などという抗議はいっさい無視です。


ほどなくして車掌が来た。


全員を検札中。


…うーん、どうやらこの列車はデュッセルドルフ近郊発の列車らしい。それによく考えたら、さっき車掌は駆け込み乗車をする私を見ているわけで。…覚えてるわな。私の顔。


というわけで私は作戦2へ。


「ボクはドイツ語を話せない作戦」


…作戦も何も実際話せないんだけどさ。ま、これはうまくいかないと思うのがフツー。


かくして数分後に車掌はやってきた。50くらいのおじさん。優しそうな顔をしているが、全く融通は利かないタイプ …と見た。で、私のチケットを見て…


車掌:(ドイツ語で)「この切符は9時発のICEにのみ有効で…」
私:(英語で胸を張って)「ボクはドイツ語話せんけんね!」
車掌:(たどたどしいながらも英語で)「この切符は9時発の…」


…ちっ、英語を話しやがる。よく見ると、胸には「私は英語が話せます」と誇示せんばかりのユニオンジャックのピンバッジ。


私:「で、どうしろと?差額を払えばいいの?」
車掌:「そう」
私:「いくらよ?」



おもむろに取出す携帯型の端末。こんな物を車掌が持っているところがドイツ国鉄とアイルランド国鉄の間には30年の違いがあると思うゆえん。


車掌:「35ユーロ」
私:「ハァ?」



35ユーロってなによ?35ユーロって。


ちなみに私のこの割引の運賃は往復で42ユーロ。つまり片道21ユーロ。つまり仮に片道分を倍払わなければいけないとしてもそれは20ユーロ前後でそれ以上はかからないだろう。20ユーロで2時間が買えるなら買おうと思ったのだが…


35ユーロってなによ?35ユーロって。


私:「うーん、もし、次の駅で降りたら?」
車掌:「次の駅で降りて乗るべき列車に乗れば差額は払わなくていいよ」
私:「うーん、1分、いや30秒考えさせて」



さあ2時間を35ユーロで買うかどうか。考えはじめるとどうやら列車はすでに次の駅に近づいているらしく、車掌は行ってしまった。


仕方ない。35ユーロ、払おう。


そう思ったものの、マルビの私に35ユーロは痛い。痛すぎる。ちょうど次の駅で隣の4人がけの席が空いたのでそこに陣取り私は



寝たふり。


…ええ、私はバカです。なんとでも言ってください。


で、次の駅を出ると車掌は車内に戻ってきたが、私に気がつかず行ってしまった。


ラッキー♪


で、次の駅つまりハンという駅に着こうかという頃車掌のアナウンス。


車掌:「次はハンです。お乗り換えのご案内…(中略)…ハンから先、この列車は他から来る列車に結合され14両編成で運行となります。ただ、この列車が現在遅れておりまして、およそ30分程度の遅れになる見込みです」


…ハノーバーで乗り換えに間に合わんやんか!


ハノーバーでの乗り換え時間は7分。で早い列車に乗り遅れると、結局到着は最初の予定通りの午前1時。つまり何の変化もなし。


この瞬間から私は寝たふり中止。車掌が来たらケンカしてやる!と心に決める。


で、車掌のアナウンス通り列車は30分遅れで発車。当然の帰結としてハノーバー着は30分遅れ。当然接続の早い列車には乗り遅れ…良かった。35ユーロ払わないで。


今日の教訓:最後の瞬間まで払わなくてもいい金は払わない。


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