なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2003年01月14日(火) |
プレゼントにおける三段論法 |
とある情報筋からのタレコミによると、Mausiは現在、私のためにマフラーを編んでくれているそうです。はいはいはい。そこで「けっ」というあなたの気持ちはよく分かる。私だって、人から手編みのマフラーをもらったことは人生で一度しかない。しかもその一度は私がまだガキンチョの頃。私だって、つい最近までクリスマスやバレンタインが来るたびに「けっ」と言っていたクチだからその気持ちはよく分かる。だから最後まで読んでちょ。
いかんせん、私とタメを張るほど不器用なMausi。さぞかし時間がかかるに違いない。だからこそありがたみも増そうというものですが、でもある意味手編みのマフラーほど恐いプレゼントはないと思う。
だって、こう言ったらどうなりますか?
私:「えへっ、酔っ払って、マフラーパブに置いてきちゃった」
怒られればまだいい方で、彼女、相当落ち込んでしまうと思うんですよね。そしてそれ以上に自分も落ち込む。そうなることは分かっているからあまり使いたくない。でも使わなければ使わないでやはり彼女は「嬉しくないんだ」と落ち込む。…つまりどっちに転んでも難しいプレゼントだと思うのです。
その点、例え手編みでもセーターなら(洗濯して縮むという恐怖がありますが)、少なくともどこか愛人宅で脱いで忘れてきたとかいうフォロー不能な大ボケでもかまさない限りなくすことはなさそうだし、ましてや指輪とかなら「つけっぱなし」になるからなくす恐れもない。
また買ったものなら、言い方は悪いけど手作りに比べてお金で解決できると思う。極端な話、仮にプレゼントでもらったバーバリーのマフラー(一昔前にはやったあれ、今使っている人はいるのだろうか)を無くしたなら、デパートに走れば同じ物を売ってるからごまかすこともできる。でも手作りとなると…。かくいうわけで、私は昔から手作りのプレゼントが苦手です。今まで特に問題にならなかったのは、そういうものをもらう機会が無かったからに他ならないわけですが。
うん、手作りで一番いいのは、クッキーとかチョコレートかもしれない。何せ、その場で「おいしいおいしい」と食べればお互いに満足なわけで。ダイエットの敵ですが。
とまあ自虐ネタはこのくらいにしまして。
日曜日に同僚宅に夕飯に招かれた話はおとといしました。で、友人宅に招かれて手ぶらで行くわけにはいかないので私はイタリアンワインを持参。でも考えてみると妊婦さんが酒をガバガバ飲めるはずはなく。というわけで、「あげる」→「いらん」→「じゃあもらう」というすばらしい三段論法で、ワイン1本ほとんど自分で開けてしまいました(ダイエットへの悪影響はここでは忘れましょう)。
で、自分で持参したワインを自分で飲むかどうかはともかく、どうやら酒を飲みそうだったので私は「飲んだら吐くな。吐くなら飲むな」 …じゃなかった「飲んだら乗るな。飲むなら乗るな」の大原則に従い珍しくバスで町へ行くことにする。前にも書いたけど、あまり感心できた運転をしていない私も飲酒運転に関してだけはまじめに考えています。
で、久しぶりにバスに乗ったわけですが、…うーん、さすがバス。「公共交通機関」と言うだけのことはあります。まさにネタの宝庫。小ネタをゲット。
考えてみると、「自宅」という自分のスペースと「会社」というスペースを自分の車で往復していると、「公共」との接点があからさまに減ります。そういう意味では「乗合」バスはまさに公共との接点。ただ乗るだけでいいネタになります。
自宅近所のバス停。バスの通過時刻に合わせてバス停に行ったところ、バス停には老婦人が待っているだけ。老婦人、私を見るなり
婦人:「寒いわねえ」
この日も風は強く、冷たかった。バスで町に行こうと決めたことを後悔しはじめていた。と言うわけで私も
私:「ほんとだねえ。このままだと今年の7月あたりは恐ろしい寒さになるね」(←Snigel流のジョークのつもりです)
…と答える。この寒いジョークでますます寒くなったという予測が十分に可能なオチは当然使わずに、この会話は進む。
婦人:「今時期、中国もこのくらい寒いの?」
ぴくっ。
私:「あのー、私、中国人じゃないんですけど」
婦人:「あら、ごめんなさい。でも私たちには中国人も日本人も見分けがつかなくて」
で、彼女いわく、なんでも以前自宅に中国人をホームステイさせていたとかで、彼女の話をあれこれと始める。彼女、市内某所のスーパーマーケットで働いているそうな。給料は冗談のように安い。
婦人:「あなたも、レストランかどこかで働いているの?」
ぴくぴくっ。
私:「はあ、しがないサラリーマンをしております」
このご婦人に何の悪意もないんだろうけど、アジア人=中国人=賃金の安い仕事をしているという三段論法が頭の中に染み付いているのがあからさまに分かった。私は別にいつものことなので気にもとめなかったけれど、まあ、これが平均的なアイルランド人が描くアジア人像なんだろうなあと思う。
ま、話しかけてくるだけマシ...という気もしますが。
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