なべて世はこともなし
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2002年10月03日(木) 反省。ロストラゲージと航空会社の対応

かれこれ6週間も前の話になりますが、8月にコペンハーゲン経由でドイツに行きました。で、おいしい機内食に、親切なサービス、いるだけで楽しくなるコペンハーゲンの空港等々、私のお気に入りのSASらしく、本当に素晴らしい旅だったのですが、たったひとつミスを犯してくれました。


荷物の紛失


ハノーバーの空港で、荷物を数人の乗客とともに手荷物受取所で待っておりました。乗っていたヒコーキはデハビラントQ400というプロペラ機、しかも乗客の多くは手荷物のみのビジネス客。…というわけで荷物を待っていた人間は本当にわずか。で、荷物が流れ始めたと思ったら、もう終わり。


ボクの荷物はどこ?


係のオッサンらしき人に


「これで全部?」


と聞いたら、全部らしい。


そのまま、「荷物追跡所」へ。ここにお世話になるのは2度目。そこのおばさん、


「いやー。すいませんねえ。もし、身のまわり品で必要なものがあれば買ってレシートを取っておいてください。返金しますから」


…おばさん、その言葉にウソ偽りはないな!


そのまま私は町中にあるGaleria Kaufhofという何の変哲もないデパートへ行き、古くなったカミソリを新調し、ハミガキ粉に歯ブラシ、シェービングクリーム、さらにTシャツに靴下、挙げ句は今まで買ったこともないブランドもののボクサーに至るまで買ってかえる。しめて46ユーロ。さすがにこれ以上買うのも悪質かなあと思ってこれまでにしておいた。


で、翌朝は土曜日にも拘らず朝の8時には荷物が届いていた。…クロネコヤマトもびっくりだよな。


ヒコーキに乗るたびに何かが起こる私。荷物の紛失は計算のうちに入っているので本当になくなると困るコンタクトレンズ用品などはきちんと手荷物の中に入っている。偉いでしょ。


で、数日後ダブリンに戻ってきまして、私は当時のうちの住人(当時は私以外全員航空会社勤務)に集中砲火を浴びる羽目になる。


「んなもん金は返ってこないよ!」
「良くて半額の返金だね」
「それ、商品を航空会社に送ったら全額返ってくるよ」



三つ目の意見、解説が必要かと思います。世の中には私のようなアホタレが結構いるようで、「おっしゃー、ロストラゲージやー。ばんばん買うたるでー」とめちゃくちゃ高いものを一揃えして、航空会社に金を請求やつがいるらしい。まあ、私に関していえばボクサー以外に関しては極めて必要最低限のものを安い値段で買っているわけで。まだマシかなと思うのですが。


ともあれ、こういうアホタレが多かったのか、某社では「商品を航空会社に返送してくれれば全額返金」というシステムを取っているそうです。つまり、使用済みのおパンツ等をレシートを添えて返送すれば全額返金。もし返送しない場合は最高半額。こうした方がコスト圧縮になるんだそうな。肯けるような肯けないような話。


で、別の某社では空港の荷物追跡所のカウンターに「エマージェンシーパック」というセットが用意されているんだそうな。何でも中には使い捨てのプラスティック製のおパンツからヘアブラシに至るまで一式入っているらしく、やばそうなお客にはそれを渡してしまうのだそうな。…なるほど、これも一案なり。


ともあれ、航空会社に勤めている全員から「全額返金はない!」と言い切られた私は、SASのホームページにアクセスしてみる。そこには実に事細かに書かれたFAQのコーナーがありまして、そこには、


「荷物の遅延、紛失の場合は弊社規定に基づき返金致します」(意訳)


「弊社規定」ねえ。これって、要するに半額とかそういうことなんだろうなあ。うん。


…と、まあ、半分諦めてSASのストックホルムのカスタマーサービスセンターにレシートを送ってみました。1ヶ月経っても何も起こりません。「こりゃ無視されたか」とほとんど忘れかけていました。ところが、銀行口座がマイナスの今日このごろ、たとえ100円でもあれば嬉しい極貧の私はSASのカスタマーサービス(ストックホルム)にもちろん会社から電話をしてみました。


「ええと、Snigel様、ああ、9/27に小切手を自宅宛てにお送り致しました」
「いくら?」
「それは電話ではお答えできません」



…っつうことはスズメの涙の返金なわけねん。でもいくらかは返金したと。で、自宅に帰ってみると、SASから何かが来ています。開けてみると


…おおお、SAS私はあなたを信じていたよ。伊達や酔狂であんたんとこのシルバークラスのフレクエントフライヤーをやってないよ。全額返金。しかも手数料がかからないようにとアイルランド発行の小切手を送ってくる芸の細かさ。


で、この小切手を見て、これまた航空会社に勤めるひでかすは怒る。


「こんなのカスタマーを甘やかせすぎだよ!」


確かにそう思います。最近、日本だけではなくこちらでの現象として、「文句を言った者が勝ち」というのがあると思います。クレームをつけた人が得をして、黙っている人が損をする。これもおかしな話ですよね。実際私は46ユーロ、何の論理的な理由もなく丸儲けしたわけで。


もしSASが私に返信一つしなかった場合、私が怒って「SASではもう二度と飛ばない」と言わない…という保証はありません。実際、くされエアフランスの例もありますし。ただ、繰り返しますが、この場合私には実害が及んでいなかったわけで、そういうことはなかったと。で、SASにしてみれば「もしお客が46ユーロで喜んでくれるなら安いもの」と思っているのかもしれません。


それならそれでいいのかもしれませんが、こうやって会社の良心にお客がつけ上げると、数日前の北海道の西友での騒動みたいになるわけで。買ってもいない豚肉に対する返金を要求して調子に乗って店員に土下座まで要求する。モラルもへったくれもありませんよね。


ああはなりたくないなと思いつつ、今私の手元には46ユーロの小切手がある。この小切手と、西友から労せずして手に入れた金には何らかの差があるのか。あるとすれば私は本当にその金を使い商品を買ったくらいで。


…少し反省をします。でもお金がないから換金しよう(←結局無反省なんじゃないのかなあ…)

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