なべて世はこともなし
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2002年08月14日(水) 近所のカフェに自称日本人が働きはじめる

会社の同僚が私の机に来て言うのだ。


「そこのカフェで日本人の女の子が2人働きはじめたよ」


カフェなんて言うと素晴らしい響きですがその実顧客は近所の建設現場の現場作業員用に建てられたと思われる仮設のプレハブ小屋。中も殺風景のみならず泥だらけ。私は一度行って懲りてそれ以来近寄っていない。いい点を強いてあげれば建設現場の作業員用に昼食を出すから安くてボリュームがあるといったところか。


さらに同僚は続ける。


「この二人は全然英語が話せなくてね。注文を取るのも一苦労と言った趣でねえ」


はあ。まさに半信半疑。本当にあんな場末のカフェで日本人が二人も働いているのだろうか。町中でも日本人が働いているのを見つけるのは大変なのにこんな町外れの建設現場のプレハブカフェに日本人が働いているとは思えない。しかもほとんど英語が話せないというのもうさん臭い。


うん、百聞は一見にしかずと思い、わざと昼食を持参せずに行ってきました。その建設現場カフェに。中は相変わらずどろどろで埃っぽく日本なら保健所の営業許可が取れないに違いない。で、カウンターを見てみると


おーい、タイ人かフィリピン人じゃあないかー。


会社に戻って同僚になぜ彼女らを日本人と思ったか聞いてみた。


同僚:「え?彼女が自分でそう言ってたよ」


注文もろくずっぽ取れずにそう言うくだらない雑談をするという話はちょっと無理があると私は思うのだが、まあたぶんそういう話をしたのだろう。とすると、彼女たちは自分が日本人だとうそをついたということになる。もっとも何の確証もありませんが。まさか彼女たちに問いただすわけにもいかず、真相は薮の中になりそうな雰囲気です。


この話からひとつ言えることは、アイルランド人にとって、日本人も中国人も、あるいは下手をするとタイ人までも見かけはおんなじなんですよね。まあ私だって、アイルランドに住むまで「ガイジンはみんなアメリカ人」と思っていたクチですから何も言えないのですが。


そういえば相当昔にノンフィクション作家吉岡忍さんが書いた「日本人ごっこ」という本を読んだことがあります。内容は記憶にほとんど残っていないのですが、フィリピン人の女の子が「私は日本人よ」と偽って、村の人気者になったとかそんな話だった気がする。それをふっと思い出した。


ダブリンで働いている日本人というのにほとんどお目にかかったことがない。というか私の知る働いている人たちとはコンピュータ関係の仕事だったり、商社にお勤めだったり、航空会社だったりと語弊がある言い方なのは理解しているがいわゆる「ホワイトワーカー」の人たちばかり。カフェで働いていたり、はたまた肉体労働系の仕事に従事している人がもしいらっしゃったら、私はぜひ一度お話を伺ってみたいのですが。


週末はちょいとばかしドイツに行ってきますので、日記は日曜日までお休みさせていただきます。はあ、オチもまとまりもない日記になってしまった。




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