なべて世はこともなし
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2002年07月27日(土) いつもこうだといいのだが...。とってものんきで陽気な書店での会話。

土曜出勤。今月4回目…つまり皆勤です。我ながら偉いなあと思います。でもねえ、昨日もらった給料明細によれば、頑張っても手取りの給料にはあまり影響しないのよね。ちょっとモチベーションが下がりました。というわけで勤務中に堂々と日記の更新です。どうせ誰にも私が何をしてるか分からないわけだし。はっはっはっ。


話は木曜日の午後に戻ります。4時で拘束勤務時間が終わった私はその足で町に向かいました。立体駐車場に車を停め行きつけのTemple Barの美容室へ。夏痩せという言葉はどこの国の話やら、一段とお中元のハム状態健康美に磨きがかかったいつもの美容師さんに髪を切ってもらい、そのまま買い物に。久しぶりに街をのんびり歩く。


この日は天気も良く、女性の方々も薄着で町行く人を見ているだけで楽しい。何せ夏らしさを感じるときなんてほとんどないもので。それにしてもこの時期はイタリア人とスペイン人のお子様方が多い。彼ら、10人とかそれ以上の大人数のグループで道いっぱいに広がりゆっくりと歩くもんだから邪魔でしょうがない。まあ、あの底抜けのラテン系の明るさと、ダブリンのクソガキが失った目の輝きを持っているから私は許すが。


で、Grafton StreetをぼーっとSt Stephens Greenに向かって歩くと、当然の帰結としてSt Stephens Green Shopping Centreに到着。ここに来ると私は必ず最上階にあるChapter & Verseという書店に行く。この書店、規模は小さいものの、他の書店に比べて値段が安い。


話は脱線するけど、アイルランドではなぜか本の値段がべらぼうに高い。理由はイギリスポンドがユーロに比べて高価値で、アイルランドに来ている出版物のそのほとんどがイギリスで出版されたもののため…というのもあるが、それ以上に書店に競争原理が働いていないからだと思う。


日本やドイツと異なりアイルランドには書籍の再販制度(定価販売制度)はない。つまりどの値段で本を売ってもいいはずなのだが本の値段はなぜか横並び。私のようになんとなく売れ筋を買う…という主体性のない読者の場合、品揃えよりも価格がすべてになるので、どうもアイルランドの本屋は魅力的ではないのだ。ゆえに、たいがいの場合はイギリスのインターネット書店を使ってしまう。まあ、それはそれで送料が高いという致命的な欠陥があるのだが。


で、まあ、ダブリンで本が安いのはこのChapter & VerseとLeedsという書店のみ。後者はニュースエージェントのついでにやっているような店なので品揃えは話にならない。それに対し、Chapter & Verseは値段もまあまあ安く、品揃えも悪くないところがいい。それでも同じチェーン店のくせして、イギリスの方が値段が安いのは許せないが。


で、Chapter & Verseの明るい店内をぼーっと歩いているとそこにふっと目に飛び込んできたもの。Dave PelzerのA Man Named Dave。3部作の第3冊め…つまり完結編でして…ようやくペーパーバックになったらしい。これは買い。


それを持ってレジに向かう。で、レジで何気なく、レジ係のお兄さんに…


私:「これ、いつペーパーバックになったの?」


と聞いてみた。


レジ係:「ああ、それ?えーっとー、1ヶ月か2ヶ月くらい前かなー」
私:「あっそう、全然気がつかなかった」
レジ係:「A Child called “it”からの3部作でこれが最新版だよ」
私:「ああ、両方読んだよ」
レジ係:「そう言えばねえ、最近この作者の別の作品がペーパーバックになったよ」
私:「え?この3部作じゃなくて?」
レジ係:「ちょっと待ってね(といいつつ本棚に歩いてゆく)。ほらこれ、彼が児童虐待について語った本…。売れてるよ」
私:「じゃあそれも買う。おにいさん、商売上手だねえ」
レジ係:「何を言ってんの!あんたが話し掛けてきたんでしょうが!だいたいボクは本当はここの係じゃないんだから!」
私:「へ?じゃああんたはいったい何をしてんの?そこで?」
レジ係:「ボクの勤務時間は30分前に終わったの!サービス残業してるの!」
私:「あれまお気の毒に…。でもまあ日本に比べたらマシだよ。うん」
レジ係:「まあいいや、今度きたらおまけしてあげるね。はい全部で18ユーロ」
私:「じゃーねー」



…と、まあだらだらと会話を再現してしまいましたが、ダブリンでも一部の人はこんな感じですごく話しやすいです。店員にもいろいろいて、以前の投稿にも会った通り同じショッピングセンターの中でもガイジンと分かると露骨に私を避けるような心の狭い人間がいるかと思えば、このお兄さんのようにフレンドリーで楽しい人もいる。こういう本当にちょっとしたいいことがあるとまたその店に行こうと思うのだが実際のところ、こんな風にならないことの方が多い。まあ、レジ係がお客ひとりひとりと雑談してたら仕事が進まないけどね。




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