なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2002年07月14日(日) |
ダブリンで唯一高速道路を走る幻の路線バス76A |
土曜日。私が休日出勤している間、うちの同居人ひでかすはショッピングセンターをはしごしたらしい。ダブリンにはここ数年に郊外型のショッピングセンターが相次いでオープンした。90年代の始めにTallaghtにThe Square、98年にBlanchardstown Centre、翌年にはLiffey Valley shopping Centre、さらについ最近SwordにPavilionとかいうショッピングセンターもオープンした。。各ショッピングセンターはそれぞれ映画館を併設していたり、広大な売場面積を誇っていたりして面白い。
ひとつのショッピングセンターは、それ自体がある意味ひとつの街でして。だいたいの店は揃っている。なのに、世の中にはひでかすのようにいちいち各ショッピングセンターの値段を比較しないと買い物ができないという人もおりまして。
そういう人も車さえあればこれらのショッピングセンターはM50というこれまた最近できた(まだ一部工事中)ダブリン郊外をC型に結んでいる高速道路を利用するとあっという間に着くからいいのだが(渋滞してなければね)、問題は車がない場合。ダブリンのバス網はシティセンターから放射線状に伸びているため、これらのショッピングセンターをはしごしたいといった(考えてみると奇特な人ですが)郊外から郊外に移動するときは本当に不便な町。
いちおう数は少ないものの、この放射線状に伸びたバス網どうしを結ぶバス路線も存在する。例えば、76Aという路線。The SquareとLiffey Valley、さらにはBlanchardstown SCの「ダブリン3大ショッピングセンター」を結ぶ。しかも、ダブリンバス路線で(ラッシュ時のごく一部の急行を除き)唯一の高速道路を使う路線でもある。
このように書くとすごく便利が良さそうだが、実際のところ一日8往復(日中およそ2時間に1本)しか運行されておらずまさに幻のバスと言った趣。
あーあーあー、前振りだけで相当な行数を使ってしまったが、とにかくですね、物好きなひでかすはこのバスを使ってThe SquareからBlanchardstown SCまで行こうとしたんだそうな。
で、Tallaghtでバスを待っていると、意外にもバスは定刻通りやってきてひでかすはさっそく乗車。Clondalkin(しっかしどうしてこうアイルランドの地名はスペルしづらいのばかりなんだろう?)などの郊外の住宅街を縫うように走りバスは高速道路(M50)へ。ここ、ダブリンにたった二つしかない有料道路。関係ないけどM50、通勤に実は便利なのだが料金所は万年渋滞しており私はまず利用しない。ついでにどこから持っていたのかオービス(速度自動取締機)まであるし。
ともあれ、ひでかすの乗ったこのバス、2階建てのバスを使っているのにお客は10人以下。まあだからこそ2時間に1本しか運行されてないんだろうけど。で、料金所を過ぎた段階でずっと調子の悪かったエンジンがついに止まってしまったそうな。次のインターチェンジまではおよそ1キロ。こともあろうにまさに高速道路のど真ん中で故障してしまったボロバス。
運転手は何とかエンジンをかけようとするのだがかからない。まさかバスをバイクのように押しがけするわけにも行かず(…というかダブリンバスはオートマだった)数分頑張った運転手はひとこと
「悪ぃ、バス壊れたから、降りて。次の交差点まで行けば、別のバスがいっぱい走ってるから」
もう一度申し上げますが、これ、高速道路でのお話。このアホ運転手は客に「高速道路を1キロ歩いて次のバス停まで行ってくれ!」と言っているわけでして。当然お客はブーブー言って誰も降りません(当たり前だわな)。あんな交通量の多い高速道路を歩くというのはまさに自殺行為です。だいたい公共交通機関の従業員の第一任務は「乗客の安全輸送」ではないのだろうか?
ところが、神はこのバスを見捨てなかったようで、数分後なんとかエンジンはかかり、バスはだましだまし運行できる状態になったそうな。で、運転手はなんとかバスをBlanchardstown SCまで引っ張って行ったそうな。…途中のバス停で待っていた乗客を一切無視して。
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