なべて世はこともなし
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2002年03月09日(土) ひゃくきゅうじゅうろくまんさんぜんにひゃくごじゅうえん

\1,963,250


ひゃくきゅうじゅうろくまんさんぜんにひゃくごじゅうえん


…ですね。音を出して読めば。これが言えなくて私は赤っ恥をかいてしまいました。


私が今勤める会社に採用されたのは、世にも難しい日本語を話すから…に他ならないわけで。で、「訓練中」にも拘らず、日本のとあるところに電話をして、この値段を確認する羽目になった。


で、「急ぎ」ということだったので、何も考えずに電話。時差の関係でこれをやっているのは朝一番の話。先方、すぐに電話に出る。


相手:「XXの田中と申します」


私は先方が日本語を話すことですでにパニクってしまった。いえいえ、私だって日本語、ちゃんと話せます。だけどねえ、「丁寧語」とか「敬語」とかいうのものは最近全く会話の中では使ってないわけでして。


私:「あ、お、お忙しいとこ、恐れ入ります。私…」


ここまで言ったところで私は完全に凍ってしまった。


うちの会社って、日本語では何という名前なんだ?


当たり前ですが、うちの会社、横文字のかっこいい名前がついてます。で、この名前を日本語に訳すべきかどうかで、私は完全に凍ってしまったのです。


例えば。うちの会社がSnigel International Bankという名前だったとします。で、これをカタカナでそのまま「スニーゲルインターナショナルバンク」なんて言うと、なんか違和感を感じませんか(私は感じた)。で、私は、「スニーゲル国際銀行」の方がいいか、それとも「スニーゲルインターナショナル銀行」がいいか、そんなことを一瞬悩んでしまったのです。


私:「わ、私、『スニーゲルインターナショナル銀行』のSnigelと申します。あの、XX担当の方はご在席でしょうか?」


もう、裸の大将並みのたどたどしさで、怪しさ充分。電話の向こうのお局OLと思われる女性、


相手:「失礼ですが、もう一度お名前頂けますか」
私:「『スニーゲル国際銀行』のSnigelで…と…申します」



…って、さっきと名前が違うじゃないか。相手の女性、あからさまに疑いつつも、電話をXX課に回してくれる。


相手:「お電話代わりました。XX課です。」
私:「『Snigelインターナショナルバンク』のXXと申します。XXの件がOOしたようなのでお電話差し上げました。で、伝票番号18286133のOOは…ひゃくきゅうまんろくせ…あれ、ひゃくまんきゅうせんろく、あれれ、じゅうきゅうさん、え?」



完全にバカ丸出し。どこのバカが、\1,963,250が言えなくなるんだ?相手の男性、思いっきりバカにした声で


相手:「ひゃくきゅうじゅうろくまんさんぜんにひゃくごじゅうえんですね」


あーあーあー。顔から火が出るとはこのことでい。それにしても、英語がうまいわけでなし、日本語がまともに話せない、こんな私は果たしてこの会社で勤まるのだろうか。思いっきり不安。


1週間働いて、この会社の状況がだいぶ掴めてきました。会社の規模は小さく70人程度。で、3/4付けで私を含めた6人が採用されました。で、私以外のすべての新入社員は女性。で、一番最初の新入社員のみのミーティングの時、向かいの席に座ったのはフランス人の女性。多分若い。薄い茶色のショートカットの髪に、薄くまつげにマスカラを塗った美しいブルーの目。面長でスレンダーな彼女は私のまさにど真ん中ストライク。(ああ、女性読者の方の、「これだから男は」という嘲笑が聞こえてくる。)


で、彼女の自己紹介。


「私はフランス北部のXXという町から来たクリスティーンです」


おっ、声もかわいい。こんな声で、耳に息がかかるくらいの距離で毎晩何か甘い言葉をささやいてくれるなら私は多分全財産を捧げてもいいなあ…なんて完全に白昼夢モードに入る。次の彼女の言葉まで。


「…で、私は最近彼と婚約しました」


まあ、世の中そんなもんですな。まあ、そんなよこしまなことを考える暇があったら、自分の彼女のことでも考えていた方がいいでしょう。少し自戒の念をこめつつ、今日の日記は終わるのでした。




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