なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2002年02月08日(金) |
人生の縮図?洪水に見舞われた就職の大事な大事な面接の日(後編) |
昨日の日記の続きです。お読みでない方はまずは昨日の日記からどうぞ。
で、冠水した区間を抜けたHeuston駅の前でバスを降りた私。Heuston駅に向かい走りつつ、タクシーを捜す。去年の今ごろ大もめをして倍増されたはずのタクシー。普段はうじゃうじゃ見かけるのに必要な時に限って見つからない。今日も確かにタクシーは走っているものの、空車のタクシーは全く見つからず。
就職の面接の時、何はともあれきちんとした身なりをしていること、そして時間を厳守することは面接以前の問題でして。これが守れないような人間は、門前払いを食らったって文句は言えないと思う。で、時刻は2時30分。指定された時間前に到着することを考えれば、もう遅いくらい。せっかくいい条件の面接だったのに…と頭の中には諦めも漂うがまだ諦めるには早すぎる。
で、通りの反対側を見ると、ちょうど進行方向に向かってタクシーがお客を降ろしている。これはチャンスとばかり、飛び出し御免、通りを渡りそのままタクシーの助手席に乗り込む(注:「自動ドア」なんて日本くらいのものじゃないかと思います)。タクシーの運ちゃんに一言
「さあ、行くよ!」
で、タクシーに乗り、行き先を説明。面接まであと30分しかないことを冗談めかしつつも告げると運ちゃん
「XXまであと30分?大丈夫だよ。間に合うよ」
と優しい一言。「た、助かったー」
…と一瞬でも思った私がチンパンジーだった。自分がこのホムペで「アイルランド人の言う『大丈夫』はちっとも大丈夫じゃない」と言い続けてきたのだった。確かに最初の2分はタクシーは走った。しかし、すぐに再び大渋滞に巻き込まれる。
「こんなところが混むなんて。タクシーの運転手何年もやってきたけど初めてだね」
アイルランド、たぶんひいてはヨーロッパ全体に言えることだろうと思うが、こちらには「渋滞抜け道」というものがほとんど存在しない。生活道路は通過車両の進入を防ぐためにあちこちでわざと寸断され、結局表通りを走らざるを得ないように設計されている。で、せっかくタクシーに乗ったものの、結局は渋滞の中。どうやらこの異常気象がダブリンじゅうをパニックに陥れているらしい。ラジオが大騒ぎしている。
タクシーは動きもしないのにメーターだけはしっかり上がっていく。この時点で2時45分。残りの距離と道路状況から考えて遅刻は確定。仕方がないのでリクルートメントエージェンシーに連絡。
「いまどこ?まだそんなとこ?」
…こっちだってタクシーに乗ったり必死でやってるよ!
「…分かった。とりあえず先方には連絡しておくから」
で、タクシーが渋滞を抜け、見たことも聞いたこともないところにある某社のオフィスについたのは午後3時25分。25分の遅刻。…だめだこりゃ。
で、オフィスのドアを恐る恐る開けると、そこには受付も何もなく…。ただ、ドアにいちばん近い席に座っていたおばさんが私を見て目を丸くして…
「あんた来たの?」
聞けばこの前代未聞の大雨のせいでダブリン・ひいてはアイルランド全域で大騒ぎになっていたそうな。一部地区では停電などの被害も出ており、それから道路の冠水などもあるとラジオ等で大騒ぎをしていたそうな(証拠)。
で、この大遅刻にもかかわらず何やらマネージャー用の小部屋に案内された私。ふっと気がついたが、面接用に考えておいた問答集、この騒動で頭の中からスッコーンと抜け落ちてしまっている。
そこに、マネージャーとその手下らしき女性2人登場。まず最初の言葉
「今日はもう来なくていいってリクルートメントエージェンシーに言ったんだけど…ホントによく来たわね」
…そんな人の苦労を無にするような発言を。一気に脱力。
私は何はともあれ常識として遅れたことを丁寧にわび、それからずっと書いてきた今日の洪水の体験を話す。面接官二人、面接を忘れてしまったかのように床で笑い転げている。で、気がつけば、面接なんだか雑談なんだか分かんないうちに30分以上が経過していた。何せ緊張している余裕がなく、しかも、面接の最初でいきなり笑い話で「つかみ」を取ってしまったので、完全に私のペース。ただ、考えてみれば、こんなの面接とは言えないぞ。パブでの雑談以外の何者でもなかった。
で、マネージャーさん
「とりあえず、かなりたくさんの人を面接しなくてはならないので、結果は来週リクルートメントエージェンシーを通じて発表します」
ということで退散。
ちなみに帰りも大変。Clontarf地区の一部がやはり冠水してしまったらしく、道路はまさにパニック状態。バスは全然動かないが、もう時間に押されているわけでもなく、本に夢中になっているうちに家に到着。2時間近くかかった気がするが、まあいい。
で、気になる面接の結果ですが、まあ、これについては後日発表ということで。採用だろうと不採用だろうときちんと報告しますので(約束)。ちなみに20人弱が受けて採用は3人とかいう狭き門のようです。ハイ。
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