なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2002年02月06日(水) |
人生の縮図?洪水に見舞われた就職の大事な大事な面接の日(前編) |
日記を毎日チェックされているありがたい常連さんはご存知でしょうが、先週の金曜日、私は仕事を休みました。実は就職の面接なるものがあったのだ。そう、日記には一切書いてきませんでしたが、「Snigel転職プロジェクト」が水面下で着々と進行しているのです。
で、紆余曲折の末、ようやく辿り着いた某社の最終面接。先方の会社と私の間を取り持ってくれたリクルートメントエージェンシーの「Snigelは仕事もあるだろうから面接は都合のいい日でいいよ、と先方が言っているよ」というお言葉に甘え、一番休みが取りやすい金曜日の午後3時に面接をお願いした。それが今にして思えば悲劇の始まりでした。
で、金曜日。「最終面接に行く前にちょっと会おうよ」というリクルートエージェンシーの兄ちゃんとStephens Green近くにある彼の事務所で会うことに。私は、「街から面接先の会社まで大方バスで30分というところだろうから、1時30分に街でバスに乗れば、余裕を持って面接に臨めるだろう」と踏んで、12時30分という時間を指定したのでした。
この日は前の晩からの激しい雨と風が止まないまま。「まあ、よりによってこんな日に面接なんて自分の今後の人生を暗示しているなあ」なんて考えつつ、久々にスーツに袖を通す。
で、家を出て、Stephens Green近くにあるリクルートメントエージェンシーに着く頃には、案の定スーツのズボンの裾は雨でびしょびしょ。担当の兄ちゃんとちょっとした話をして、面接に遅れないようにと早々とおいとまして、午後1時30分前にはAston QuayのVirgin Megastoreの前のバス停に来た。
Liffey川沿いにあるN4(国道4号線)、川の北側は上り、川の南側は下りで片側2-3車線ある。で、ダブリン港からアイルランドの西部・南部に向かう車は、北に大回りしない限りすべてここを通ることになるのでいつも混んでいる。トラックからの排気ガスなんかもひどい。
で、この日も当然混んでいたんだけど、その混み方が尋常ではないのだ。全く車が動いていない。「まあ、事故でもあったんだべえ」なんて思っているとバスレーンを巧みに使ってバスが到着。乗り込む。
乗り込んだバスはダブリンにしては珍しく2階建てではないふつうのバス。バスは立ち客が出るくらい混んでいる。バスに乗りふとLiffey川を見ると…わ、増水してる。
Millenium橋からO'Conneel橋まで最近川の上に川に沿って橋を架け遊歩道にしているのだが、その遊歩道が水没してる。で、1メートルくらいあると思われる堤防ぎりぎりまで水位が上がっている。まあ、この時点で、この水位とこの渋滞が関係しているなんて夢にも思わなかったけど。
で、N4が河原を離れるHeuston駅までおよそ2.5キロ。駅まであと500メートルの地点までの所要時間は何と50分。つまり時刻は2時20分。普段なら10分とかから内と思われるこの区間の渋滞。歩いてもこんなにはかからない。この時点で3時の面接に遅れる可能性があることを予知した私はとりあえずリクルートメントエージェンシーに電話。やはりケータイはこういう時に便利。すると、担当の兄ちゃんは、
「15分前になったらどこにいるか知らせて。それにしてもなんでそんなに渋滞しているの?」 「こっちが聞きたいがな!」
で、その兄ちゃんの質問への答えはその後すぐに分かりました。Heuston駅まであと500メートルの地点の橋のたもとにGarda(警察)と書かれたジープが止まって道路を封鎖しています。ついでに消防車まで来ています。
「だれかがこの増水した川に飛び込んだのか!」
ととっさに思います。バスの中の乗客全員が身を乗り出して右側の川を見つめます。
バスの運ちゃんが左折しようとしたところ、警察官が「真っ直ぐ行け」と手で指示。どうやらバスだけは通行止めの規制対象外のようです。
何にせよ、このままばか面をしてバスに乗っていては面接に遅刻しますので運ちゃんに頼んで降ろしてもらうことにしました。で、運転席の方に歩いていくと…そこには信じられない光景が。
Heuston駅の近くの河原は南側がギネスの工場なので、その高い塀以外は何もありません。ちょうど府中刑務所の外側を歩いているような感覚になります。で、今まで気にも留めなかったのですが、その関係でか、道路が他のところよりも若干低いようなのです。もうお分かりですね、道路が冠水していたのです。
で、バスのフロントガラスから見るこの風景は圧巻でした。どうしてカメラを持っていないのか悔やまれました。川沿いに縦列駐車した車はみんなボンネットまで完全に水没しています。
で、バスはその水没した道路の手前で立ち往生。運ちゃんに「降ろして」と言うと、「ここじゃなんだからHeuston駅で降ろしてあげるよ」と一言。ま、あんたが正しい。こんなとこでお客を降ろせるわけがない。
で、バスが意を決したように水没した道路に入っていきます。バスが立てた波が縦列駐車をしてお気の毒に水没した車を洗い、それだけでなくその波のおかげで車がふわっと浮かび、前後の車にぶつかります。
…車って浮くんだ…
この日の新発見でした。で、そんなバカなことを考えていると次の瞬間に更に信じられないことが起こったのです。
バスの中まで浸水してきたーーー!
そう、地面より2段高いバスの車内の床まで水が来たのです。運転手は運転席脇でばか面をしてたっていた私に向かい
「下がってろ」
と一言。確かにこのバス、後ろに向かってだんだん床が高くなっています。まあ、浸水した量は多分高さにして1センチ程度でしたが、見せたかった…バスの中の乗客がみんなで足を上げているマヌケな光景を…。
バスはそろりそろりと水没地点を進みます。これでエンジンが止まった日にはレスキュー隊のお世話になりそうです。まあ、何とかバスは止まらずに何とか水没地点を通過。私が煽るつもりで拍手をするとバスの中は拍手喝采。
そんなバカなことをやっている場合じゃありません。すっかり忘れかけていましたが、私は面接に行く途中なのです。どうせブレーキが利かなくなり立ち往生するに決まっているバスに早々と見切りをつけて私はHeuston駅でバスを降りました。
時刻は2時30分。面接まであと30分。さあ、Snigelは面接に間に合うのか?後半に続く。
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