なべて世はこともなし
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2001年10月09日(火) 怒りの手記!許せん!!アイルランドの大家の横暴!!!

最近、眉間にしわを寄せながら書いているような暗い話が多いですが、今日の話も暗いです。「そんなのいやいや」と言う方は、どうぞ今日の日記は読み飛ばしてくださいませ。「人の不幸は密の味」とお考えのちょっと擦れた方は、どうぞこの続きをお読みくださいませ。


今までずっと黙ってましたが、私が勤める某社の日本支店の営業は今月の半ばをもって終了します。はい、「事業撤退」というやつです。この日記の古参の読者様のうちにご記憶の方はいらっしゃるでしょうか。5月15日の日記で書いた話がついに現実のものとなったのです。


5月15日の日記に書いている通り、私が担当する会社の事業が撤退するだけで、私の会社そのものがどうかなるわけではありません。つまり、すぐにリストラだとか、クビだとかとかいう話にはならないのですが、とはいえかなりせつないです。この事業が開始されるに当たり、いろんな契約書を夜の10時まで残って翻訳したりいろいろしました。(今のおいらとは全く対照的)その事業が、いま終わろうとしているわけです。寂しいですね。正直なところ。


で、この事業閉鎖が正式に発表されたのが先月の今ごろ。で、マネージャーも、せっかく開いたアジアマーケットだから、他の顧客をゲットして、何とかチーム自体を存続させたいと努力をしたらしいのだけど、今のところいい情報はなし(ないわけじゃないらしいけど、厳しく緘口令が敷かれている。ゆえに、いくら匿名のサイトでもその詳細はかけなかったりする)


で、まあ、そんな寂しい状況に追い討ちをかけるようにまるこが


「わたし、日本に帰る」


と宣言。それを裏付けるかのように辞表提出


あーあーあー、と思っていたところ、今度は新婚のKさんまで


「わたし、アイルランドから出る」


と宣言。


はい、うちの会社の日本チーム壊滅。


だいたい、いつも「もうダブリンにはいたくない」と口癖のように言っているおいらがなぜ未だにこの会社にいるのかが謎。ダブリンを明日には離れたいと思っているけどなかなか二の足を踏んでしまうという現実。ちょっと自己嫌悪にすら陥ってしまいますね。






で、Kさんの「アイルランド脱出宣言」と関係があるかは読んでいただくとして、昨日、Kさん宅で「事件」が発生しました。そのお話です。


Kさんとマークちゃんが昨日の夕方同時に家に帰ると、まるで、それを待っていたかのように電話が鳴る。


Kさん:「もしもし」
電話の相手:「大家だけど、今から行くから」



大家。そう、うちもそうだけどKさんちは借家。日本で言えば1DKの家を借りている。Kさんには失礼だけど、半地下室で古く、広い以外にはあまりいいところを感じない家。とはいえ「ダブリン家がない!」のコーナーでさんざん強調している通り、ダブリンの異常な住宅事情は、このKさんお家をして信じられない家賃を取ります。で、なんでも今月半ばで家の賃貸契約が一年で満了となるとやらで、Kさんとマークちゃんは契約を更新しようとしていたのだそうな。


この大家は、おいらも会ったことがあるけど、典型的なアイルランドのオヤジ。アイリッシュパブで飲んだくれていそうな白髪の50過ぎのオヤジ。ま、それはともかく話は続きます。


で、「今から行くから」と言ってわずか数十秒後、大家は家の前の階段をものすごい勢いで駆け降りてきました。つまり、Kさんとマークちゃんの帰りをどこかで待ち伏せしてたのね(お暇なことで)。
Kさんは慌ててばか犬Taroを連れてベッドルームに緊急避難。そう、犬を含めてペットの飼育は認められていないのでした。


大家:「おい、お前、家の契約書読んだか」
マーク:「ええ」
大家:「じゃ、どういう事か分かっているだろう。あの犬を処分するか、それとも契約の切れる1週間以内にここからとっとと出ていってくれ」



そう、ばか犬Taro。ついにこいつのおかげでKさんとマークちゃんは家を追われる羽目になったのです。


そもそも運が悪かったというか問題なのは、Kさんもマークちゃんも昼間まっとうに勤めに出ているので、ばか犬Taroは玄関先の長さ3メートルくらいの廊下でご主人様の帰りを待っています。


で、ばか犬Taroが忠犬ハチ公のごとくいい子でお座りをしてご主人様の帰りをじっと待っているはずはなく、困ったことには、その廊下に張ってある安物のビニールの床材をリビングルームのドア付近を中心にびりびりに破ってしまったのです。


で、さらに問題なことに、日曜大工が苦手な、あるいはやる気のないマークちゃん、その破れたところに、小汚いコンパネ板をつぎはぎに張りつけてその場をしのいでいたわけ(どちらかといえばわたしがやりそうなことですが)。


で、どうもKさんとマークちゃんが日本にいる間に大家がやってきて家の中に入ってその状況を見てキレたらしい。というか、大家が自分でそういったそうですが。


犬を契約違反を承知で飼っていたKさんは悪い。これは疑いの余地なき事実。でも、ちょっと待って欲しい。逆ギレといわれればそれまでですが、だからといって、いくら大家とはいえ住人に無断で勝手に家の中に入り、更新する手はずとなっていた契約を一方的に破棄してしまっていいのでしょうか。


そういえばうちでも同じような事件が発生しました。もうかれこれ1年以上前になるのですが、当時うちに住んでいた住人のひとりが近所の店に買物に行ったらしいのですが、その10分か15分の間にうちのこういう言い方をするとお叱りを受けるのは承知ですが、カラダがとっても横方向に鏡もち状に広がったご婦人の大家がやって来たらしいのです。


で、大家、家に誰もいないとわかると何を血迷ったか中庭に回り、そこでリビングルームの小窓が開いていることに気がつきます。で、彼女の体をどうやって通したのか全くをもって謎ですが、その小窓からなんと家の中に侵入して、各部屋を見回ったのらしいのです。


で、そのあと、おいらの会社に電話がかかってきました。


大家:「ちょっと、あんたら、家に鍵もかけずに出かけるの?防犯用アラームも使ってないし。それから家の中は汚いし(いらんお世話じゃ)、それに勝手に家具の位置も変えているし(以下省略)」


と、まあ、何も知らないおいらの元に怒鳴らんばかりの勢いで電話がかかってきたわけです。これ、その時点ではことを荒げないようにと素直に過ったおいらですが、あとあとになってだんだんそのおかしさに気がついてきたわけです。


いくら10分から15分の間とはいえ、戸締まりをきちんとせずに、しかも防犯用アラームもセットせずに出かけた同居人は間違いなくA級戦犯です。が、だからといって、大家が住人の許可を得ずにリビングルームの窓から家の中に入って中を見回るなど言語道断です。そんな当たり前のことが、住宅が不足しているダブリンでは当たり前のようになされているのです。


Kさんとマークちゃんに話を戻すと、まだ完全に決まったわけではないとはいえ、とりあえず、犬をマークちゃんのご両親の家に預け、今の家の契約を更新しつつ、1日でも早くばか犬Taroと一緒に暮らすべく、どこかアイルランド以外のところに落ち着きたいのだそうな。つまり、前々からアイルランドから出たいと思っていた彼らの気持ちにこの事件が後ろから後押しをするかのように起ってしまったというわけです。


こうして、秋が深まる中、この小さなコミュニティにも劇的な変化が訪れようとしています。どの話もまえまえから分かっていたとはいえ、いざ、実際に起ると、寂しい気がします。


長くなりました。最後まで読んでいただき感謝しています。




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