*黎明ノォト*

2013年05月24日(金) 「捨てる」のあとで


断捨離がもてはやされるなかで、私も漏れなく捨てまくっていたのだけど、ときどきふと怖くなることがある。

それは電車なんかに乗ってて、かなりくたびれたコートを平気な顔で着ている、普通な雰囲気のおじいさんを見かけたときなんかだ。
「普通な雰囲気」とは乱暴な言い方だけれど、経済的にすごーーく苦労してるわけではなさそうで、むかしはきちんと働きに出ていたんだろうな、と感じさせるなにか。


そんなきちんとした感じの人が、よくみるとずいぶんくたびれたコートを着たりしていると、はっとする。
まだ着れるだろう洋服をたくさん捨てたけれど、経済的に老後の見えないこの日本で、ある日安易に処分した洋服のことを後悔したりするのだろうか…と。


仕事も辞め貯蓄もあまりなく年金もわずか、それなりに身体もガタがきて病院にもかかっている。

あら、コートがずいぶん色褪せたわね、擦りきれている所もあるわ。
でも新しいのを買うのは…そうねもう少し我慢しましょう。

まあこうなるだろうな、と思うわけで。
そのときに若い頃のコートなんか、もし取っておいても役に立たないんだけど、もったない捨て方しちゃったなって思わないかしら。と考えたりした。

いま手放したそのぶん、いつかまた手元に戻ってくるといいのだけれど。


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那音 [MAIL]

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