*黎明ノォト*

2001年07月10日(火) 月と海

 海に出かけたのは随分と久し振りで、だから私はとっても楽しみだった。
 それが例え、実験をする為の実習であったとしても、海辺に行くということ自体なんら変わりもないので、それはそれで楽しむことにしていたし。
 だから、やっぱり楽しかったことがとても嬉しい。

 一週間のうち初日と最終日をのぞく5日間を実験をすることで過ごした。
 嫌だと言っても仕方がないので、空き時間に泳ぐことにする。
 実験所の目の前も、その裏も海。
 泳がずにいられようか。
 と、言う訳でかなり久し振り(6年……ぶり)に泳いだ。背の立たないところは、久し振り過ぎて怖かったのでやめておいた。守りの人生。

 でも、それよりなにより。
 夜になっても実験が終わらない日もあったけれど、基本的に夜は自由だったから、好きなように使えたのがとても嬉しかった。

*   *   *   *   *


 二日目。まったく実験がうまく行かずに、生物系の実験にはありがちな、「次まで数時間待ち」というものに出くわした。
 あまりにも暇で、いい夜だったので友人に車を出してもらって、ドライブに行った。
 そうして、海を見ようと、浜辺で下ろしてもらったのだ。
 丁度月は満月で、大潮のころで、その上台風が近付いていたので波がすごく荒くて高くて。下手をすると波にさらわれそうなくらい近くでその荒れた海を見ていた。
 やけに興奮して、離れ難くて。
 荒れた海に月の光が反射して、まるで海が生きているようだった。…なんていうと、陳腐に聞こえるかも知れないけれど。それでもそう言ってしまうくらいに魔性を感じた。
 言葉では伝えられないくらい怖かった。
 あの広い浜一帯がどんどんさらわれていくくらい、ほんとうに波の強さが違ったのだ。
 あの海を、あの月灯りのもとで、あの場処で見れたことを感謝している。
 忘れ難い。今回の実習期間中、その場に一緒に出かけた子とは「すごかったね、また行きたいね」と言い続けていたくらい。
 そこに車をつけてくれた友人には感謝してもしたりない。


 今回の小旅行(実習)で覚えているのは、そんなこと。


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那音 [MAIL]

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