甘えさせ過ぎるのも問題だと思った。 甘えさせたのは私じゃない。私が甘えさせてもらった。 それがじぶんですごく重い。理由がないぶん。
私はいつもいつも、物事を始める前に一番厭な気分になる。 例えば旅行が楽しいと知ってはいても、それまでの準備やなにやかやがものすごく面倒臭くて、すごく厭なのだ。
私が任されていた仕事があった。 まだやる前だから、ものすごく面倒に思っていた。やってしまえば、そこそこ楽しめてほっとするのだけれど。 それはまだ一週間先のことで、実は前からその日には遅くまで残れない、できればその仕事をしたくない、と言ってあった。 けれど人が他にいなくて仕方ないから、私がその仕事を任された。 仕方ないと思った。
けれど、土壇場で代わってくれる先輩がいることが判明した。 もともと、何故その日に仕事をしたくないと言ったかというと、次の日に朝早く家をでなくてはいけなくて、夜遅くまで時間が取れないと思ったのだ。 よくよく調べて見れば、ぜんぜん朝早くなくていいと分かっていたけれど、「いいよ、むりしなくて」と言われて仕舞い、思わず甘えてしまった。 「……じゃ、お願いします」 そう言った瞬間に、自分が厭になった。
ここまで甘えさせてくれなくても良かったのに。 突っぱねてくれてよかったのに。 有り難いのに、ちょっと拗ねてしまった。
これじゃ私はただの怠慢じゃないか。
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