2008年03月22日(土) |
火星の地表に塩が堆積 生命の痕跡発見可能性も |
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◆日常
午前中、保育園の父母会。その後ケロが知らない道を探検しようと言うので(ごく近所で)あてずっぽうに自転車を押しながら散策。神社の桜が綺麗だった。 図書館経由でお昼を外食して帰宅。午後は(私は)借りてきた本をひたすら読書。
◆図書館
ケロ返却本 はっぱのおうち/うさこちゃんとふえ/魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園
◆読書
ジャン=ドミニック・ボービー「潜水服は蝶の夢を見る」
去年話題になっていた映画の原作。ウィットに富んだエッセイの数々は、ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)の著者が心の中で練り上げ、暗記し、アルファベットを読み上げてもらって1文字づつ瞬きで選んでまとめられたもの。 ロックトインについては、ALS患者の家族であったajisunという方の日記で読んで以前から知っていた。ALSは進行性の難病なので、その次の段階としてトータリー・ロックトイン・ステイトという眼球すら動かせない状態があり、その時にも脳波を使って意思疎通をする手段が(人により)あるということも知っていた。
知っていたが、やはり患者の心中はどうなんだろうとこの本を読んでみたくてリクエストして待っていた。明晰な頭脳で自分の状態を理解し、小さな刺激や美しい景色、匂い、周囲の反応など、突然着た潜水服の中でもできる限りの楽しみを見つけていた。彼は最後まで人生を楽しんでいた、と言っていいのだろうか。そしてこれを一般的なケースと言っていいものだろうか。
あまり身近な話題と重ねるのはまだ時期が早すぎてできないけれど、私は多分この本を読んで最近あった身近な死が、解放だったのかどうかが知りたかったんだと思う。
川上あかね「わたしのオックスフォード」
一転、こちらの本はこの前読んだ小川百合さんの著書で触れられていたので借りてみた本。オックスフォード入学から途中で専攻を替え、3年後に学士として卒業するまでの体験記。 お父さんの仕事の関係でケニアのナイロビ、東京、ローマ、東京とインターナショナルスクールを転々としてオックスフォードに進学した著者は、いわゆる日本人としての意識が薄く(自分やインターナショナルスクールの仲間を「英語人」と区別し)、外国人という定義は理解できても実感が湧かない、という特殊な境遇にあるので、普通の日本からの留学とはちょっと違う。ご本人も一番自由に使える言語は英語だと書いている。
前述の小川百合さんの著書では扉が閉ざされていた、テュートリアルの様子が細かく描かれていて、知識の贅沢な消費で知性が伸ばされていく様子も羨ましい。(反面、小川さんと違ってハイ・テーブルで食事してなかったので食事はやたら不味いと書いてある。)
オックスブリッジの話題となると必ず出てくるようなのがイーヴリン・ウォー「ブライヅヘッドふたたび」。私は池澤夏樹さんがエッセイでとりあげていたのをきっかけにして読んだけど、一昨年復刊ドットコムで運動してようやく再版されるまで絶版だったんだよ。確かに読みやすい小説ではないけれど、イギリスに関心がある人には読むべき本としてもっと勧めたい。ヨシケンの翻訳も読みにくさの一因だと思うけど、私はヨシケンを愛しているからいいのだ。
川上あかね「ケンブリッジの贈り物」
こちらは上記の本上梓後、オックスフォード在籍8年目にして博士課程を送りながら就職活動をしていた著者が、ケンブリッジのモードリン・カレッジの仏文専任講師として採用されてからの5年間の経験をもとに書かれた本。(その後、ウォリック大学に転職。)
前の本と続けて読むことでオックスフォードとケンブリッジ、学生と講師、それぞれの対比が面白いけれど、後半の「シェイクスピアが消えた?」や「『学問』は生き残れるか?」のあたりは教育制度と経済効率優先の政策のせめぎあいが現代日本にも似ていて興味深い。私には一生これっぽっちも影響がない出来事ではあるけれど、ぜひオックスブリッジでは効率を無視して学問を続けて欲しい。
特に「シェイクスピアが・・・」の章では、高校では英文学として現代の大衆小説がとりあげられることが多く、 『現代の産物しか読んでいない十七歳というのは、歴史的な視野をほとんど持たず、また「時」の隔たりを感じさせる書物ととりくんだことがないぶん想像力が乏しい。・・・(中略)・・・自分と同時代の小説ばかり読んでいると、読書とは主人公に共鳴、共感することだ、と思い込んでしまう恐れがある。』 というくだりがあり、こう、膝を打つような思いがした。
つまり、現代社会をリアルに表現した同時代性の高い小説とか、ラノベばっかり読んでちゃいけないってことだよ。そして自分が好きだから贔屓するけど、SF小説には(歴史的な小説と違って作品に時間的な淘汰がされていないから玉石混交だけれど)、確かにその他者性があるのよっ!と叫びたくなる。がおっ。
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