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2002年08月24日(土) 故クストー氏の海洋調査船「カリプソ号」、廃船の瀬戸際

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オーソン・スコット・カード「エンダーズ・シャドウ(上・下)」(2002-107〜8)☆☆☆1/2

昨日に引き続きSF。(「ニューロマンサー」が出た頃に読んでいた)「エンダーのゲーム」の姉妹篇。続編ではない。「エンダーのゲーム」を、脇役であったビーンを中心に据えて書き直してある。実際の世界だって、みんな自分が主役だから、一人一人の物語がある。そういうことを考えるにも役立つ。(このビーンという少年にはそれは非凡な彼自身の物語があるのだが。)

カードという作家の書くものは、決して明るくはない。何か心の中の洞穴を覗いているような気持ちにもなる。しかし途中でやめられなくなる面白さ。
話の流れは分かっているのにまたまた「敵のゲートは下だ」で涙してしまったよ。
久美沙織の解説も面白かった。

短編「エンダーのゲーム」は「無伴奏ソナタ」の中に収録されている。カードのデビュー作だそうだ。その「ゲーム」以外の部分をふくらませて、書きなおしたのが同名の「エンダーのゲーム」という長篇。ヒューゴー賞、ネビュラ賞ダブル受賞。

続編として「死者の代弁者」(この本でカードは至上初の2年連続ヒューゴー賞、ネビュラ賞ダブル受賞)「ゼノサイド」「エンダーの子どもたち」が出ているが、私は一時期SFをあまり読んでいなかった(図書館が遠くなったから)ので、四部作の後半2作は読んでいない。が、いつか全部積み上げて一気読みしたいもの。どうやら"Shadow of the Hegemon"という、この「エンダーズ・シャドウ」の続篇も出た様子。うーん、カードという人はつくづく自分の作った世界の行方が気になるらしい。

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宮部みゆき「理由(2002-109)☆☆☆1/2

マンションの一室で起こった殺人事件とその関係者について、周囲の人々が語りながら明かしていくという小説。みゆきちゃんのお得意な手段で、面白いのだが。
「火車」と同じような怖さだけど、あの話は捨てていき、こちらは拾っていく。

この本には、大人と、馬齢を重ねた大人ではない人が出てくる。
大人は自分を大事にする選択肢を選ぶべきだし、もし傍目にはそう見えない選択肢を選んだとしても、それを選んだのは自分の気持ちを納得させるため、つまりは自分を大事にするためだと理解するべきだと思っている。それを他人のせいにしてはいけない、誰にでも選択肢を選ぶ自由が常にある、と。それが大人になるってことじゃない?少なくとも今の日本では。(だから子供でいるというのはある意味でとてもとても可哀想なことだと思う。)

こんなことを考えるインテリゲンチャがみゆきちゃんの本を読むと、自分がずるをしているような気になるんだ。出てくる人がまっとうに生きているのを見るあまり。そしてそれは現実をすこし美しくしたものなんだろうけど、事実の方がもっと美しいのかもしれないし。この本に出てくる「大人」たちの姿に頭が下がり、胸が重くなった。あーあ。


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