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2007年09月04日(火) ミッション・インポッシブル・前編

我が家に居候中の、きょんが保護した迷い犬・ポケちゃん。

 ぽけーーーーー。にこーーーーー。

保護したときは死にそうなくらいに弱っていたので、
「死ぬときにひとりぼっちでなくてよかったねえ」
くらいな感じにたかをくくっていたのですが、めきめき元気になりましてね!迷惑ですよ!

とか言いつつ、このポケちゃん、かわいいんですよねえ。

きょんの見立てによると、かなりの老犬で、しかもボケているらしいんですが

「ボケてる犬って、すごくやさしくてかわいい顔になることが多いんだよー」

という、きょんの言葉を裏付けるように、ホントに邪気のない、かわいらしい顔をしております。
それはもう、幼少時のじょりぃに匹敵するほど邪気のないかわいらしい顔です。
と、無理して自分を持ち上げてみましたが、よく考えてみると「ワタシ、幼少時からボケてました!」と申告しているようなものです。失敗。

特別なついてくれたりはしないんですが、抵抗も皆無。
とてとてとてと庭を歩き続けます。
たまに人間に寄ってきたりしますが、人間を人間と認識しているのかどうかもアヤシイ感じです。
ひたすらとてとて。
放っておけば、死ぬまで歩いていると思います。大袈裟でないんですよこれ。
や、死ぬまでは大袈裟かもですが、電池が切れてパタリと眠ってしまうまで歩き続けることでしょう。
庭に出しているあいだは、何時間でも歩いているんです。
ぼーちゃんやシロちゃんなんかは、一通り用事を済ませたり好奇心を満足させた後は、木陰でくつろいだり、灼熱のコンクリートの上で温石したりしてゆったり過ごすんですが、ポケちゃんは、本当にずーーーーーーーーーーーーっと歩き続けます。

そして、どこかにつかえると、そのまま動けなくなります。たとえば、庭の四隅とか。バーベキューテーブルとか。植木とか。
頭がとん、とつかえると、そのままもう身動きできず。
「進む」という観念しかないんです、ポケちゃん。「戻る」ができない。
そうなるとどうするかというと、ひたすら吠えます。たぶん「動けないよー」と訴えているんではないかと。
吠える頭があるならうしろにちょっと下がりやがれおまえはボケてんのか!と罵倒したくなりますが、実際ボケているので罵倒の意味なし。

で、また、この「吠える」についても、希望が叶えられるまで、いつまででも吠えてます。
吠え疲れて眠くなるまで吠えてます。
きょん曰く「ボケてて、限界を感じるはずの何かが壊れてるみたいね。歩けばいつまででも歩くし、吠えればいつまででも吠えてる」と。
「たぶん、餌を与え続ければ、いつまででも食べてると思う」だそうです。

「吠え」については、家の中に入れていても「吠えよう」と思いつくと、やはりいつまででも吠えてます。
一日に3〜4回、1回につき3時間くらい吠え続けます。
ええ、夜中だろうが明け方だろうが。
どこで吠えているかというと、きょんの部屋です。
全力で吠えます。吠え続けます。うるさいです。かないません。

しかし、きょんはその部屋でぐうぐう寝てます。立派。尊敬。無神経。
それでもいつもよりは眠りが浅いみたいで、気の毒ですが。

そして、吠えてなくて歩いていないときは、ひたすら寝ています。
ぴくりとも動かず寝ています。そんなに心頭滅却して寝ちゃってていいのかっつーくらいよく寝てます。
死んじゃえばいいのにとかいつも言ってる割には、たまに様子を見に行ってはその精魂込めた眠りっぷりに驚き、「こ、呼吸してるよね!」とあたふたして腹に手をやり呼吸や心拍を確認してホッとしたりしている、本当に思考と行動に無駄の多いじょりぃなんですが。

とまあ、困った居候犬なんですが、ポケちゃんから発せられる、ボケ犬特有の、「濁りのないやわらかくまっすぐなかわいらしさ」というのは、ワタシ、初めてご対面するものな気がして、非常に興味深かったりします。
ぼけるのも悪くないなーなんて思ったり。人間と犬のそれはまた違いますが。

そのようにかわいらしいので、ワタシなんかも「早く飼い主の元に帰れ!」「きょんのいないうちに勝手に河原にでも捨ててきてしまおう」「今晩のおかずにしてしまおう」とか思いつつ口に出しつつも、ポケちゃんがとてとてと歩いているとなにやらかわいくて、つい「ポケポケ」と目を細めて名前を呼んでみたり、頭をなでてやったり、おいしいものをあげちゃったりして。
そうするときょんが

「やさしいねー、じょりぃ(はぁと」

なんつって、じょりぃの株が上がっちゃうもんで、そんな、動物をかわいがるなんていう甘ったるいことで株が上がってもちっとも嬉しくないワタシとしては、「やさしいねー」と言われるたびに「ポケいつまで生きてるんだボケ」とか「早くどっか行けこのごくつぶし」とか慌てて暴言を吐いて汚名挽回に努めるんですが、きょんもワタシのそういう愛らしさに慣れてしまっているのか、これらの暴言にはまったくの無反応。
かつてのようにデカい犬の皿(ステンレス)(水入り)を投げつけて怒る!みたいなパッショネイトな反応をしてもらえなくなってしまったのはさびしいものです。
ウソですが。もう投げるなあんなもん。

ポケちゃんの説明が長くなってしまいましたが。
そんなわけで、なるべく疲れさせて、人間の睡眠時間はポケにも寝ていてほしい(赤ちゃんみたいですね)、という願いから、夜はきょんが寝る直前まで庭をとてとてと歩かせております。
どこかにつかえると吠えるので、人間は割と忙しいです。
近所迷惑になってしまうので、吠え始めたら、すわ!とばかりに方向転換を手伝いに行かねばならないんですわ(´д`)
で、一昨日、きょんとワタシは夕食をちょっと遠出して(片道40分くらいですが)食べに出かけたんですが、ポケちゃんを疲れさせたいがために、庭にポケを放したまま出かけていったんです。
つかえて吠えたとしても、まだこの時間ならご近所様も大目に見てくれるかなあ、なんて甘えた気持ちとともに。

道のりを往復し、おいしく食事をいただき、家に戻ってきたワタシたちを待っていたのは、ポケの「吠え声のみ」でした。
ええ、姿が見えなかったんです、ポケ。
先に車から降りたワタシは、とにかくポケを動けるようにして吠えるのをやめさせなければー、ちょっとのんびりしすぎて時間も遅くなっちゃったしーと、焦りながら声のする方に探しに行きましたが、やっぱりいない。

と思ったら。

とんでもないところにおったですよ。

というところで、ポケの説明だけで長くなってしまったので
つづく


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