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2007年04月11日(水) |
こんがりロースト未遂 |
いつか書こう書こうと思っていて、小出しには語りつつちゃんとお話していなかった「死ぬかと思った話」です。
思いこみとか記憶補填の脚色とかがないように、先ほどきょんと記憶の摺り合わせ作業をしてまいりました。 きょんは記憶の脚色というものを許してくれない人なので、適当に話をするワタシと思い出話なんてしていると、たまにケンカになります。
ということで、以下、すべて実際に体験したことです。 バケオの話ではないので、バケオ嫌いな方、安心してくださいね(・∀・)コワクナイコワクナイ
あれはきょんと暮らし始めて3年くらい経った頃でしょうか。 私たちは当時同じ会社に勤めておりまして、残業を終え、それぞれの車に乗って、自分たちの住む小さなマンションへと帰りました。 時間は夜の10時頃だったでしょうか。良く覚えておりませんが、けっこう夜です。
駐車場は隣同士、お互いバックで駐車したいもんですから、まずはワタシが車庫入れをしまして。 きょんがワタシの車庫入れを待っていたんですが。
この時点で、少し離れたところからワタシたちを見ている男性に気付きまして。 自転車に乗っています。 そしてこちらにやってきます。 ワタシは少々ヤバいものを感じていたんですが、きょんはワタシよりものんきな人間です。
ということを男性も察したのか、きょんが駐車を終えたところできょんの車に走り寄ってきて、運転席の窓をコンコンと叩きました。
[車] [きょん車] 男 [じょり車] [壁] という位置で。 ------------塀-------------
きょん、無視してくれ。 と心の中で祈ったものの(ワタシはまだ自分の車の中)、のんきなきょんは「ナンパかと思った」らしく、窓を開けまして。
ていうか、ナンパだと思ったならなおさら締めときゃいいのにと思いますが。 そこがきょんです。 男性と何か会話しています。 ワタシからは男性の背中しか見えなかったんですが、何かやっぱり変。 怒鳴るような声にも聞こえます。
男性が走り去った後、部屋に戻るためにふたりして車を降りまして。 とっとと戻れば良かったのかもしれませんが、ワタシは「どうして窓を開けるのか」と、その場できょんにお説教。
「ただのナンパかと思って」 「ダメだよ。どんな人だかわからないし、刃物でも持っていたらどうするのさ」 「あー。・・・でも確かに変だった」 「どんな風に?」
以下、きょんの話より。
男「今こっち見てたろ?」 きょ「見てませんけど」 男「見てたよ!写真も撮ってたろ!」 きょ「は? 写真なんて撮ってませんよ」 男「写真撮るなよ!」 きょ「撮ってません」 男「このマンションのやつら、全員殺してやるからな!待ってろよ!」
||||||(°▽°;)
・・・「確かに変だった」って落ちついている場合ではないのでは!
こりゃまずい、部屋に戻らねば、と思ったところで、男が自転車でまたこちらに向かってきまして。 そして片手に何か持ってます。 何を持っているんだろうn
灯油のポリ缶ですよ!
こりゃ本格的にまずい!ということで、きょんに「すぐ車乗って!」とえらそうに命令するじょりぃ。 「ワタシもあなたの車に乗るから、早く!」
が、きょん。 なぜかキーレスエントリーを使わず、カギでドアを開けまして。 しかも、自分のドアしか開かないんですよねこの車。
ワタシ、車に乗れず! 男、すぐそこに来てます。
「カギ!カギ!」と慌てていたら、きょんが手を伸ばし助手席のロックを外しまして。 じょりぃ、ギリギリセーフ。
「ドアロックして!」またもや叫ぶじょりぃ。 ばちん!ばちん!とドアロックできたところで、男は自転車を車のすぐ前に乗り捨て、運転席側に歩いてきまして。 きょんの横の窓に覆い被さるようにして、恐ろしい形相で私たちを睨みます。
「窓開けちゃダメだよ」いちいちうるさいじょりぃ。
で、きょんがまたわざわざ男を見るんですよ。
「目を合わせないで」と小声で呟くワタシ。 「え?」のんきなきょん。
男、怒鳴っているので窓を開けなくても声はしっかり聞こえました。
「火ぃつけてやるからな」
火?
ごていねいにポリ缶持参してるし。
本気ですか。 本気ですね。
「今ここで火ぃつけてやるから! おまえら殺してやるからな!」
なんでそうなるの!
ていうか、マジやばい。
男は車の前に立ちはだかって、ポリ缶抱えて、キャップをくるくる外し始めました。 両脇には車、後ろは塀です。後ろに走っていければなんとかなったんですが、これでは逃げ場なし。 「ちょっと待って考える!」ときょんに告げ、じょりぃの頭、フル回転。 どうすればいいの、どうするべきなの、最善策はなんなの。 以下、数秒のうちにじょりぃの頭で展開された思考であります。人間の脳みそってすごい。
自分たちが助かるための最善策。 それはわかってます。
男を轢いて発進することです。
が、それはワタシたちには無理。 火をつけられるのも怖いけど、故意に轢くのも怖い。とてつもなく怖い。 でもどうしよう、覚悟してエンジンかけたほうがいいんだろうか。 でもエンジンかけちゃったら、灯油かけられたら引火したりしちゃうんだろうか。 ここでじっとしてれば、ふたりとも火だるま? でも発進できない。轢けない。人間轢いて乗り越えていくときってどんな衝撃がするのか。 それって一生トラウマになるのでは。 でもこのままじゃ火ぃつけられちゃう。 どうしよう。 ワタシだけ車から出て男を引きつけてみようか。 でも、体に灯油かけられて火をつけられたら、間違いなく助からない。 それにワタシに注意が向かなかったらきょんだけ犠牲になっちゃう。 車の中にいたほうが勝算があるのかな。 でもそうするときょんも死んじゃうかも。 発進するべきなのかな。 でもできない。 「轢き倒して逃げる」という答が出ているのに、それができない。 何かあったら、その決断ができなかったワタシの責任だーーー。
ああ。キャップが外れちゃう。 絶対絶命。 でも火がつけば男は車から離れるだろう。 そしたら発進して、すぐに車を捨ててダッシュ。それしかないな。よし。
男がポリ缶を抱え直しました。 ああ、もうダメだー。
でもまだ考えるんだ。冷静を保つのだ。そのときになれば轢き倒すことができるかも。
という絶体絶命の瞬間。
現実は思いの外ドラマティックでございます。
「何やってるんだ!」
キャップが外れたところで、男の後ろから別の男性ふたりがすごい勢いで走ってきて、男を羽交い締めにしました。 ホントにすごいタイミング。出来過ぎなくらいです。 ていうか、もう少し早く来てほしかった。 マジでもうダメかと思った。
が、この後からきた男性二人も、見るからにチンピラというかヤクザというか、ヤバイ感じ。 ひとりは歯の数があからさまに足りないし。
一難去ってまた一難なのか?
と身構えたじょりぃ。 車内から様子を見ておりましたら、歯のないほうの男性が問題の男を引きずるようにして、来た方向へ戻っていきました。
男は羽交い締めにされ引きずられながら
「オレはこのマンションをずっと見張ってるんだからな! おまえ達全員見張ってるんだからな! 火をつけてやる!みんな殺してやる!」
と叫んでおりました。
残った男性が「どうもすみませんでした」と丁寧に頭を下げながら運転席側にやってきまして。 「何かされませんでしたか?大丈夫ですか?」とワタシたちに聞いてきました。
「今まさに、されるところでした」 とワタシ。
いつものワタシの冗談のようなセリフですが、このときは大マジメです。
「ポリ缶持ってきて、火をつけるって言ってました。間一髪です、本当に」とワタシ。 「すみませんでした・・・もうこういうことは絶対ないようにしますので」
どうやって?
と思いましたが、とりあえず丁寧に謝ってくれていますし、事なきを得ましたのでそのまま部屋に戻ることにしまして。
不思議なもので、警察に届けなければ、ということはこのとき頭に浮かびませんでした。 ただ、部屋に戻ってから、今後の自衛をどうするか、ということを考えまして。
今まで見たことのない男でしたが、すぐに灯油持って戻って来られる距離に住んでいるわけです。
しかもきょんとワタシは面が割れてますし、車もバレてます。
困った。(だからなぜ警察に言わなかったのか)
ということで、もう夜も更けて申し訳なかったのですが、大家さんに電話することにいたしまして。 契約のときに一度会っただけの大家さんでしたが、感じの良いかたでしたし、すぐ近所に住んでいるのは知っていたので、 「マンションに火をつける」と言われたことだし相談してみることにしたのでした。 まだ若くて、警察に通報することも頭に浮かばないような未熟なワタシたちは、誰か「大人」に頼りたかったんでしょうね。 ストーカーという言葉が流通するようになってからは、警察もだいぶ身近になりましたが。 当時はまだ、「実害の生じなかった事柄」について自分たちのような若造が警察に電話するなんて思いも及ばなかったのです。(若いといっても25〜26にはなっていたはずですが(´д`)) かといって、親に話すにはあまりにもなできごとですし、話せば「とりあえず家に戻ってきなさい」と言われるに決まってます。 ということで、大家さんを頼ったワタシ。ときょん。
「夜分遅く申し訳ありません。実は・・・」
と話し始めるじょりぃ。 「まさかー(笑)」なんて信じてもらえなかったらどうしよう、と少し不安だったんですが、 大家さんは丁寧に話を聞いてくれた後に「ケガはなかったんですか?」「気持ちは落ちついてます?」などと気遣ってくれたあと、
「心当たりがあります。確認してみますから、少しだけ時間をくださいね」
ということで電話をいったん終わらせ。
あまり待たずに、電話が来ました。
「そのお宅と話が済みましたよ。 その人、最近まで精神科に入院していたんです。 また入院させると約束してくれました。もう大丈夫です」
よかった(*´∀`*)
なんて思えません(´д`) だって、追いかけてきた男性たち、お金に余裕のある人たちには見えませんでした。 入院させるお金なんてあるの?(と、当時無知なワタシは思ったんですが、国からお金が出る場合もあるようですね)
しばらくはとにかく駐車場から部屋までが恐怖でした。 が、その後平和が訪れたので、チンピラさんたちは約束を守ってくれたようです。 ありがとう、いい年こいたチンピラ。 騒ぎのときも丁寧にお詫びしてくれてありがとうでしたね、チンピラ。
しかし。
運が悪ければ、間が悪ければ、あそこで車から飛び出していたら、チンピラさんたちが追いかけてきてくれるのがあと数秒遅かったら。
ワタシときょん、こんがりロースト だったかもしれないのです。
もしあの場できょんに説教せずに速やかに部屋に戻っていたとしても、もしかしたら車燃やされるくらいはされてたかもしれませんしね。 結果を考えると、本当にラッキーでした。
きょんが一緒だったから、恐怖よりも「何とかしなきゃ。考えなきゃ。きょんだけでも助けなきゃ(ホントに思ったんですよ!)」という方に気が行って正気を保てておりましたが、ひとりだったらパニックを起こしていたかもしれません。 守りたいというものがあることのシアワセと強さでございますね。
きょんは渦中では思考停止していたようですが、パニックは起こしておりませんでした。 頼もしいです。
というのが、ワタシときょん、「セットで死ぬかと思った(こんがりロースト未遂)」な話でございました。
せっかくなので、最近覚えた自衛アドバイスを。えらそうにしてみたいと思います。 みなさん既にご存知かもしれませんが。
家に帰ってきて「もしかして空き巣に入られた?」とか「誰かに侵入された?」という形跡や気配を感じたら、速やかに家を出てください。 家の中から警察に電話してはいけません。 まだ犯人が潜んでいるかもしれないからです。
素知らぬ顔でとっとと家を出て、安全を確保できる場所から警察に電話しましょう(・∀・)
物騒な世の中です。 お互い、本当に気をつけましょうね。
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