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2006年12月20日(水) 家へ帰ろう

それは本日の午後4時半頃。
庭番のシロちゃん(犬です)が「うがう!うがう!わんわん!」と吠え立てる声が。
ということは、隣の家の猫がうろちょろしているか、わが家にお客様というか侵入者というかがやってきたということです。
はて、この時間に来客のアポはないし、なんだろうなーと思いながら仕事に追われておりましたら

「ガチャン」

と、玄関のドアを開けようとする音が。 唐突に。 ピンポンも鳴らさず。 声もかけず。

こういうのってけっこうギョッとするものです。
一緒に仕事をしていたなっちゃんと顔を見合わせまして。
幸い鍵がかけてあったので、すぐに誰か入ってくるというわけではないんですが。
なっちゃんが様子を見ようと席を立ったので「ワタシが行くからあなたはここで待ってて」と仮面ライダーのように格好をつけて玄関に向かいましたが。

もう誰もおらず。ていうか、玄関のガラスに人影が映っていないので、もういない様子。

が、シロちゃんはまだ吠えています。
おや?と思い、リビングから庭を眺めてみたら、見たことのない痩せたおばあさんがひとり、庭をうろうろしています。

これはいったい何のホラーですか。


と少々怯えたワタシはそのまま放置。
だって怖いよう。いきなり無言で人んち開けようとするおばあさんなんて。そして庭をうろうろしているなんて。

なっちゃんが「なあに?」と。
「うん。何かおばあさんがいたよ」
「おばあさん?」
「うん。関わらないほうがいいと思うナー」

が、いつもはワタシよりもずっとトラブル嫌いのなっちゃんが、窓から外の様子を見やりまして。
「家の前の道路を行ったり来たりしてるよー。ねえ、知り合いじゃないのー?」
「全然」
「・・・・大丈夫かなあ・・・」
「・・・・(仕事が忙しいので関わりたくないじょりぃ)」

あ、なっちゃんたら。窓開けちゃった。
どうやらおばあさんに声をかけられちゃったみたいです。

おばあさん「なっちゃんはここにいるんでしょ?」
なっちゃん「???はい。いますけど(笑) 何か?」

はい、いますけどって、自分のことでしょうかなっちゃん。なんだかマヌケです。

婆「『なつこ』のことよ?ここにいるの?」ちょっと詰問口調のおばあさん。

なっちゃんは「なつこ」という名前ではありませんので、今度は「いえ、いません」と。

婆「でもなつこがいるからドア開けようと思ったのよ」
なつ「なつこさんて人を探してるんですか?」
婆「・・・・・・・・・」

身なりも良かったし、しゃんとしていたので、最初は例の宗教の勧誘か何かかと思ったのですが。
どうも様子が変です。

なつ「どこかのお宅に遊びにいらしたんですか?」(癒し度満点なっちゃんスマイルつき)
婆「・・・・・・・・・」
なつ「なつこさんはこのへんに住んでるんですか?」(癒し度満点なっちゃんスマイルつき)
婆「いえ、もういいんです。 なつこ、いないのなら。 ごめんなさい」
なつ「いいえー。気をつけてー」

ここではっと気付いたじょりぃ。

このおばあさん、さっきあそこにいたおばあさんだ!!!!

あそこ とは。
決して卑猥なところではなく。あたりまえですが。

2時に打ち合わせがあったので、それに間に合うように車を飛ばしていた数時間前のじょりぃ。
そのときに、家から2kmほど先の大きな国道から測道に抜ける、フツウは人が歩かないところを歩いていたおばあさんがいたんです。
あたたかそうでちょっと合わせの変わったファーの襟巻きをしていたので「あれ、どんな風な合わせになってるんだろうなあ」と、たまたまじっくり見たので、えりまきごとおばあさんを覚えていたのでした。
あそこ歩いているのも変でしたし。おばあさん、手ぶらだったし。印象に残っております。
てか、あれからもう3時間近く経っているじゃないか!この寒空の下ずっと歩いていたのかしら。

でもだとしたら、このおばあさん、もしかして迷子?
ていうか、ひょっとして徘徊中?

ということで、だだだだっと外に走るじょりぃ。

ええと、おばあさんて呼ぶべきなのかな、おばさんて呼ぶべきなのかな、相手は女性だ、乙女だ、ここはやっぱり

「おばさーん!」 

ちょっと若く見積もりました(´∀`)

おばあさん、おとなしくじっとしてまして。

「ええと、あの   」 言い淀むじょりぃ。どんな風に訊ねれば失礼ではないのかしら。困ったわ。
本当にただ知り合いの家を探しているだけかもしれませんし。
いきなり徘徊と決めつけるのは失礼です。

「あの、 どちらまで行かれるつもりですか?」
「ええと・・・・(照笑)この道行けば、どこかに出ます?」  出ません。いや、どこかには出るけれども。
「この道は団地内を通ってるだけですよ。この団地にお知り合いがいらっしゃるんですか?」
「・・・・・・よくわからないの」
「そうですか」 どうやら知り合いの家探しではなさそうです。

「ええと、ワタシちょっとご一緒しますから、 ・・・あの、上着取ってきますから待っててください」
「あら・・・」
「すぐ来ますから」

だだだだだだだ 今度は家の中に走るじょりぃ。

「ちょっと、大丈夫ー?(笑)」となっちゃん。
「上着上着。あ、携帯も持って行こう。あ、サイフもだな」
「おばあさん、どこの人かわかったの?」
「いや、実はさー」と、打ち合わせに行く途中に姿を見かけたことをざっと話しまして。
「徘徊?」となっちゃん。
「かもしれないから、なんだかこのまま行かせちゃうと、ねえ?」
「そうねえ」

だだだだだだだ  おばあさんの元へ。

「お待たせしました」
「なんか・・・(照笑)悪いですねえ」
「いえいえ」

と答えてみたものの。
ワタシこれからどうすりゃいいのだ?
とりあえず交番とかに行くの? どうやって? おばあさんは納得するのだろうか。

「ええと、あのー」

無言。

「あの、おばさんのご自宅まで、ワタシ車で送っていきますよ」 そうだそうすりゃいいのだ。
「え!そんな・・・悪いですから、いいんですいいんです」
「いえいえ。またこれから歩くのも寒いですしね。 ・・・で、おうちはどちらなんですか?」
「高田馬場です」

高 田 馬 場 ですか!(°▽°)


ちなみにわが家は関東地方とはいえド田舎です。遠すぎます、高田馬場。

「あの、高田馬場って、東京の高田馬場ですか?!」 さすがにドン引きするじょりぃ。無理よ!仕事が!
「いえ。すぐ近くの。中町の・・・」
「中町? ああ、隣の○○市のですか?」
「いえ、そうじゃなくて。この市の」

この市には中町はないです。
ていうか隣の市の中町にも高田馬場はないんですが。

困ったな。どうしよう。

「あの、住所とかわかるもの、お持ちでないですかねえ?」とワタシ。
「住所・・・持ってないと思いますけど・・・」ポケットをもそもそと探るおばあさん。

姿勢もしゃんとしてますし、身ぎれいですし、言葉もキレイですし、ボケている風には感じられないんですけれども。
まだら状態にわからなくなっちゃってるのかなあ。
しかし、しゃっきりな部分が多いのであれば、あんまり「わからない」部分をクローズアップして心の傷になるような事態は避けたいものです。なんて思っちゃったりして。
ワタシはこーゆーことって疎いんですが、もし自分が「しゃっきりな部分も多く、ダメな部分もできちゃった」という状況になったら、ダメを大きく自覚する事態になったらしょんぼりしちゃいそうで。

ポケットからごっそりと「はながみ」を出したあとに「住所、ないみたいです」と恥ずかしそうなおばあさん。
「そうですか。 住所、ワタシに説明できそうですか?」
「・・・・(照笑)ごめんなさい、わからない」

さてどうしよう。
交番に連絡しないとダメかなあ。
あんまり大袈裟な目に遭わせたくないなあ。かわいそうだよなあ。

と思って再度おばあさんを見ると、右手に携帯を握りしめて、それをじいっと見つめております。
へー、携帯持ってるんだー。機種は何かn
ってすげえ情報源じゃん!!!

「そ、それ、おばあさんの携帯ですか?」
「ええ」
「ご家族のかたにお電話できます?」
「それは・・・ちょっと・・・どうかしら・・・・」
「ええと、ワタシが携帯いじってみてもよろしいですか?」
「お願いします」

おばあさん、なくさないように腰のベルト通しから短くがっつり携帯をぶらさげていたのでした。
ワタシより背の小さいおばあさん。
携帯は腰の位置。
ワタシ、とってもかがみながら操作。

「あの・・外しましょうか?」とおばあさん。
しかし、外したせいでこの大切(そう)な携帯をなくしたりしたら一大事です。
「いえ、このままで大丈夫です」

アドレス帳を呼び出しまして。

「この『お母さん』というのはどなたでしょう?」とワタシ。
「ああ、それはたぶん私のこと」

そ、そうなのかな。
着信履歴見たら、「お母さん」からたくさんかかってきてるけど。
まあいいか。
ええと、あとは・・・

「『美菜』さんて、わかります?」
「・・・・わからない」

そうですか。
ええとー、他にはー。誰かいないか誰か誰かいた!なつこがいた!(・∀・)

「●●なつこさん。わかります?」
「娘です」
「お電話してみていいですか?」
「お願いします」
「おばさん、お名前は?」
「○○よしこ」
「よしこさん、ご自分で電話します?」
「・・・・・・(無言)」
「じゃ、かけちゃいますね」
「お願いします」

なつこさんがビックリしませんようにと願いつつ呼び出し音を聞き。
あ、「もしもし?」と声が!やった!
「あのワタシ、じょりぃと申しますが、実はですね」

と話し出した時点で、ふと今の自分の状態に気付きました。

携帯に夢中になっていて何も考えていなかったのですが、おばあさんの腰から短くぶらさがった携帯で電話をかけているワタシの状態は、おばあさんの股間周辺に顔を密着させながら、ひざまずき下を向いて口元を手で覆いながらぼそぼそと話しているという、なんともけったいなソレです。

ひええええええ。

あ、車が一台脇を通り過ぎていきました。
私たちをじろじろ見てます。
わ、ワタシは決してアヤシイ者ではないんです!
たぶんどっちかって言うと親切な者なんだと思うんです!
でもこの状態は確かに言い訳のしようがないほど、ある意味エロチック☆

なつこさんは、突然の知らぬ人からの電話にも、慣れた様子で応対してくれまして。
というか「今追跡していたところなんです」とのこと。
GPS携帯だったのかしら。
「もう近くにいると思うんですが、道がよくわからなくて」とのことで。
「どちらからいらしたんですか?」とワタシ。道を教えるのに方向が知りたかったので。
「○○町です」 わお。うちから10〜15キロは軽く離れてます。おばあさん、そっちのほうから歩いてきたのだろうか。

わが家のすぐ近くの橋はわかるとのことだったので、そのたもとのコンビニで待ち合わせすることにしました。

電話が終わって顔を上げたら、ちょうどなっちゃんが家から出てきたところで「どうしたの?」と。
えらく心配そうだったし、なぜか手に家の鍵を握っていたので「はて?」と思っていたら

「だって、窓から様子見てたら、急にじょりぃちゃんの姿だけ消えちゃったから! 心配したよ!」と。

ひざまずいて小さくかがんで電話していたので、ワタシの姿だけ塀に隠れてしまっていたんですね。
それはまさにおばあさんの姿はそのままで、ワタシだけかき消えたかのようだったらしいです。
じょりぃの消失イリュージョン。
実はけったいな姿で電話していただけなんですが(°▽°)エロくね☆
「今度はじょりぃちゃんがいなくなっちゃった!とりあえずおばあさんがどこか行っちゃわないように見張ってなきゃ!」
と思って、慌てて家の鍵をかけて出てきたんだそうです。ありがとうなっちゃん。


このあと、無事によしこさんをなつこさんに引き合わせることができ、よしこさんは無事にお家へ(たぶん)。
なんだかいろいろと勉強になりましたです。
とりあえず、うちの親が徘徊するようになったときに今日のことはかなり役に立つだろうなと思いました。

なつこさんに、お礼にとヤクルトを5本いただきました。(たまたま車に乗ってたらしい)
「今日のワタシってば親切だったぢゃん」と、自分にうっとりしながら飲むヤクルトは、また格別でございます。
あまー。 うまー。


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