今日も今日とて
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お互いが相手に望むものが違うと、 こんなにも疲れてしまうのですね、お互いに。
ナナは期待されることに疲れてしまい、 ワタシは期待することに疲れてしまいました。
期待というのは、「ワタシを好きになってよ」ということに限らず、 ワタシはさまざまなことをナナに押しつけ、 思い通りにならないと「ひどく意地の悪い言葉で」ナナを責めておりました。
らしいです。
らしいです、と、他人事のように言ってますが、 心当たりはあります。 ワタシには大いにそういうところがあります。 好きな人にほど、それをやってしまうのです。
「あたしに対して、じょりぃにとって『ふさわしい』人間であってほしいと思ってるでしょ」
なんて傲慢な態度でしょうワタシ。 でもそうだね。 ワタシはあなたにそういう態度を取っていました。
今のワタシは というか、ワタシは ナナにプラスに働かない。
悲しいしショックですが、たぶんそういうことです。 ナナは「そうじゃない」とは言いましたが、 ワタシがそう感じてしまっては、一緒にはいられません。
「それって脅迫?」とナナ。
そうではないよ。 自分が相手の負担になっていると思いながら一緒にいられないのですよ。 今までだって、さんざん負担になっていたみたいだし。
この話し合いは「ケンカ」という体裁ではまったくなく。 穏やかに、それでもお互いの不満、できることとできないことを 話しまして。
今、詳しく書く気力がまったくないのですが、 セク云々を別にしても、 お互いが相手に求めていることと、 お互いが相手にできることが ほとんど一致しないのでありました。
お互い認め合っていて仲も良いはずなのに、 どうしてこんなことになるのかといえば。
友達としてうまくやっていくためには、 ワタシの恋心と自分勝手さが足を引っ張っているのであります。
そして、こうやって分析して、理屈で考えるところにもナナは辟易しています。 「もっと感情で話をしてほしい」「理屈を言われても、あたしにはわからない」 と、今までも何度も言われておりますが、 それに対するワタシの答は
「それは、できればそうしたいけど、できない」
言葉で武装せずに、素直に感情をぶつける、というのがどういうことなのか、 ワタシにはわからないのであります。 自分では「それができていない」という自覚すらありません。 でも、きょんにもよく言われることですから、できていないんだと思います。 良くも悪くもとても強い感情は持っているのに、 口から出るときはそれは「理路整然としすぎた理屈」になっていて 「言葉として頭には入ってきても、じょりぃの気持ちは伝わってこない」 のだそうです。 そして、その理屈は「あたしを責めている」と感じさせてしまうそうです。
ワタシがナナを責めるようなことを言ってしまうのは、 ワタシがナナに必要以上に期待してしまうからです。 ナナは「友人としての」ワタシを必要としているのに、 ワタシはナナにそれ以上を求めてしまうからです。 電話が来ない、メールが来ない、最近会おうとしてくれないじゃん、その他もろもろ。 ストレートにそんなことは言いませんが。ていうか言えないのですが。 言わないけれど伝わるのです。ワタシの態度などから。 そりゃあナナも疲れるでしょう。 そして、ワタシも疲れます。
期待しなければいいのです。 待たなければいいのです。 今現在のワタシは迷惑なのです。
やっと決心がつきました。 悲しい。
「ワタシ、あなたを好きでなくなるよ」
「それって、キライになるってこと?」とナナ。
そうでなくて。 恋心の部分のみ削除するのだ。
「そんなにうまくいくの? きっと友達としての部分も削除されるよね」
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
「でも、じょりぃにとってはいいことかもね。 きっと新しい未来が開けるんじゃないかな」
正論ですが。 その言い方頭にくるからやめろ。 キミに言われたくないです。
「じゃあなんて言えばいいの?」
ウソでもいいから、さびしがってみれば?
「さびしいというか、せつない。 あたしの気持ちがというより、じょりぃのその選択が」
よくわかんないやそれ。 とにかく、ワタシがあなたを好きだという気持ちがなくなるまで、距離を置かせて。
「会わないの? 電話もしないの?」
うん。
「メールもダメなの?」
・・・・・・どうしよう。
でもやっぱダメ。 来ると思うと待ってしまって、その結果こなければ悲しむから。怒るから。 あなたに迷惑かけるから。 犬のことは、直接きょんとやりとりができるように、携帯番号もメアドも教えておくよ。
「遊びにも行かないの?」
うん。 好きでなくなったらいけるよ。
「・・・さびしいよ」
ありがとう。 つきあいで言ってくれているのだとしても、とても嬉しい。
「なんだか腹立ってきた。 勝手じゃん。頭きた」
うん。ごめん。
「勝手すぎるよ。どうしてそうやって勝手に決めるの。 じょりぃはいつだってそうじゃん」
結局、振り回されてるフリをして、最初から最後まで振り回していたのはワタシのほうだったのです。 勝手だったのもワタシ。 本当にゴメンナサイ。
「・・・ねえ、あたしが連絡しなかったら、ずっと会わないままだったの?」
うん。たぶん。
「ずっと『夢のようなあたし』を好きでいられたのにね」
そうかも。
「連絡しなければよかったね」
そんなことはないよ。それはないよ。 すごく嬉しかったのだ。 それこそ夢のようだったのだ。
「なら、よかった」
ワタシの「好き」という気持ちを受け止めてくれてありがとう。 ワタシが好きでなくなる努力を始めることを認めてくれてありがとう。 最初から最後まで、ものすごく感謝しているのですよ。 再会するまでは、夢の中でも声をかけることすらできなかった。 だから本当に、ここ何年かは、ワタシは夢を見ているよりも幸せだったのですよ。
と言いたいけれど、 これって別れの言葉みたいです。 お別れするためにこうするわけではないし。 でも、感謝していることは伝えたいし。
いろいろと、ありがとう。
と伝えてみたら
「・・・なんか変だよ、それ(笑)」
確かに。 でも、ありがとう。
「どれくらいの期間をみればいいの?」
わからない。
「1年とか?」
わからない。 もしかしたら明日にはもう好きでなくなっているかもしれないし。ははは。 もしかしたら、3年かかるかもしれないし。
「勝手だね」
うん。ゴメンナサイ。 でもこのままだと、お互い本当にうんざりしてしまうと思うよ。
自分で勝手に決めたこととはいえ、どうしようもなく悲しいです。 でもここがまたワタシの愚かなところなんですが、 ナナと会えなくなるということよりも、 今まで大切に大切にしてきたナナへの気持ちを捨てなければならないことが 悲しくてしかたないらしくて、 その自分大事ないやらしさがさらにワタシを悲しくさせます。
「じゃあ、待ってるから。 あたしのこと、好きでなくなったら、ちゃんと連絡くれる?」
うん。 連絡する。
「・・・なんだか変な気持ちだ」
ワタシも。
そのときまで、幸せに健康に暮らしていてください。
「うん。ありがとう。じょりぃもね」
うん。
「じゃあね。 おやすみなさい」
うん。じゃあね。 おやすみ。
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「好きでなくなる」なんて、できるかどうかわかりません。 でもとりあえず、せめてナナを「単なる友人」として見られるようになるまで、 ワタシはナナと一切コンタクトを取りません。
皮肉なもので、今まで個人的な接触のなかったナナときょんは、 これからマメにコンタクトを取ることになるでしょう。
悲しいのと自己嫌悪で、胃が突き上げられ、吐き気が止まりません。 一日中、体じゅうがチリチリ痺れます。 この期に及んでやっぱり泣けなかったワタシのかわりに、細胞が静かに泣いているような感じです。 が、ナナに腹を立てているときよりも、自分のこともナナのことも嫌いにならずに済んでいます。
ワタシのひとりよがりで始まった「ナナとワタシ」は、 やっぱりワタシのひとりよがりで強制終了となりました。
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