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2005年04月30日(土) |
遊郭記〜お嬢様と姫〜 |
ミントさんのご覧になった夢にインスパイアされ、妄想炸裂なテキストを書いてしまいました。 心の底から妄想炸裂なので(それに登場させられる気の毒なミントさん)、覚悟してご覧になってくださいませ。
ちなみに、このテキストの元となった、ミントさんの書き込みがこちらです。 (ミントさん、書き込みとご協力感謝でございます)
夢の話がつづいてるからなのかどうなのか・・ 今朝じょりぃさんの夢を見ました。 ハワイ珍道中で出ていた「ぶれたじょりぃ」画像と 冬の「黒ダルマじょりぃ」画像をあわせたようなじょりぃさんでした。 私がバスを乗り継いでじょりぃさんを訪ねて行ったら、じょりぃ’s棲家は吉原の遊郭のようなところでした。 木造で格子で囲まれていて、何人もの女性が格子から手招き・・・。 女衒じょりぃ。大正ロマン風味。
その二階で文豪のように執筆中のじょりぃ先生←エロ小説家。 わたしと文豪じょりぃ先生の関係はわからなかったのですが、 全体の色彩がセピアで、女のにほひがぷんぷんしてたことだけは確かです。 一階遊郭の女性達は全員じょりぃさんの息が掛かってる風。
階段を上がりながら下の女性達に睨まれながら、じょりぃさんとラブラブなわたしでした(笑)が、このあたりで目が覚めました。 「あ。じょりぃちゃんの夢だ・・・・・」となんだか恥ずかしかったです。
「なんだか恥ずかしかったです」なんて言われてしまったら襲いかかりたくなってしまいますが。 襲いかかりたくなるだけで、実際のじょりぃは一緒に恥ずかしがってるだけだと思います。安心してくださいミントさん。
というわけで、上記をベースに、以下、じょりぃの妄想小説でございます。 素材が艶っぽかったので、けっこうマジメに、ワタシにしては浪漫チックに書いてしまいました。はずなんですが。恥ずかしいですが。
どうぞおつきあいくださいませ。
******************
すっかり朝だというのに、ワタシは相変わらず布団の中でぐずぐずとしておりました。
が、ミントお嬢様は潔く「すいっ」と床から身を起こし、襦袢を軽く羽織りました。 その襦袢がするりと落ちて、ミントお嬢様の白い肩が。 きれいだなー、とぼんやりと思いながら、ワタシも仕方なく半身を起こして煙草を吸いました。
うまーーー。
だらしない遊び人のように、煙草の煙で輪っかをつくって遊んでおりましたら、ミントお嬢様が
「ねえ、下の娘たち、みんな手をつけたの?」
と、自分の白い肩越しにワタシの顔を見て、半分笑いながら訊ねます。
下の娘たち、というのは、ミントお嬢様のお父上が営まれている遊郭で働いている女性たちのことです。
「ええと、 ひととおりは」 「ちゃっかりしてるのね」 「というか、所詮お毒味役ですから」
そのことに価値のある「初物」以外は、妙な病気や性癖がないかまずはお前が毒味しろ、という旦那様のお達しなのです。 諸般の事情でこちらに居候させていただいている身としましては、たとえ気が進まなくても言われたことには従わなくてはなりません。
気が進む場合ももちろんありますけれど。 進まない場合ももちろんあります。
ワタシの煙草を取り上げ、自分でひとつふかした後に、ミントお嬢様は正面を向いたまま「それでも役得よね」とまた笑いました。 煙草を取られてしまったワタシはすることもなくなってしまったので、またぱふんと頭を枕につけました。 朝はキライです。
煙草を灰皿に押しつけたあと、ミントお嬢様はワタシの横に両ひじをついて、ワタシの目を上目遣いに見てから言いました。
「あたしもお毒味したいんだけど」
襦袢をきちんと着ていないので、良い具合に胸やら鎖骨やらが見えております。 朝は元気のないワタシですが、なんだかぽーっと元気になってまいります。
「お毒味ですか? 下の娘たちを?」 「うん。 手引きしてくれない?」 「旦那様に怒られてしまいますよ」 「バレなければ大丈夫でしょ? だいたい、バレたとしたって、父様があたしに怒れるはずがないわ」
またいたずらっぽく笑うミントお嬢様。 お嬢様に逆らえないのは旦那様ばかりではありません。 ワタシだってこの人のこのいたずら心に何度振り回されたかわからないのであります。
「全員とですか?」とワタシ。 「ううん。 何人かでいいんだけど」 「ワタシの言うことを聞いてくれる女なんて、あまりいませんよ?」
女たちの使い走りのようなことも、ワタシが旦那様に命じられている仕事のひとつであります。 女たちも他に頼る者がいないところで、最初こそ、にこにこと人当たりの良いワタシを頼りにしてきますが、そのうちに立場が逆転していばり散らすようになるのが常なのです。 あちらは稼ぐ身、こちらはその稼ぎの上前でのうのうと居候する身ですから、まあ当然のことと言えば当然のことなのですが。
「そこをうまくやってよ。最初に口をきいてくれるだけでいいんだから」 「お嬢様の名前を出してもいいですか?」 「それはイヤ。それじゃおもしろくないでしょ? 圧力かけて、無理強いするみたいで」 「(笑)あの人たちにとっては、どの客も無理強いされてるようなものですけどね」 「あたしが単独でやってもいいんだけど。共犯がいたほうが楽しいから」 「なるほど」 旦那様にバレた場合、ワタシは「楽しい」じゃ済みませんけどね。
「で、さしあたって、誰に声をかけましょうか」とワタシ。 「K姫」 「よりによって、K姫ですか」
この遊郭の一番人気のK姫。 上客しか相手にしませんし、気位も高いし、これは厄介そうです。
でもK姫なら、頼めないこともないかな。 あれで情にもろいですし。 ワタシのこと、かわいがってくれてますし。 なんて考えていると
「K姫にあなたが口をきいているところも覗かせてほしいのよ」とミントお嬢様。 「(笑)好きですねえ」 「あなたがワタシ以外の人に、どんな風にご機嫌取ったり調子のいいことを言ってるのか、見てみたいのよね」
この人は本当にいたずら好きです。
「やってみましょうか」
ワタシはそう請け負ったあと、ミントお嬢様の白い肩にちょんと唇をつけたあと、その場所を人差し指で小さく呪文をなぞりました。
「何してるの?」 ちょっとくすぐったそうに笑いながら訊ねるミントお嬢様。 「おまじないです」 「何の?」 「肩にできた人面疽を治すおまじない」 「なにそれ(笑)」 「ウソです。 あんまりあちこちに色と愛を振りまかないように、おまじない」 「効き目ないかもね」
なさそうですね。
***************
K姫にあてがわれている部屋の前に立って、ワタシはさてどうしたものかなと思案しておりました。 ミントお嬢様は既に「覗き部屋」に待機しております。 覗き部屋は、そういう趣味のあるお客様のために、各女たちの部屋にひとつずつ設置されています。 もちろん、料金は目玉が飛び出るほど高いのですが、世の中には金持ちも好き者も多いらしく、なかなかの人気なのです。
「じょりぃさんでしょ? いいわよ、入っても」
ワタシがぐずぐずと引き戸の前に立っておりましたら、中のK姫が察して声をかけてくださいました。
「どうしてわかったんですか?」 「人の立っている気配がしてから、しばらくずぐずぐずしてるのはあなたくらいよ」 「そうでしたか」 「お客でもたまにそういう人がいるけど。お客が来るとは聞いていないし」 「なるほど。 ちょっとお話できますか」 「どうぞ」
ワタシは覗き部屋に潜んでいるミントお嬢様の気配を感じながら、こほんと咳払いをしてからK姫のつついている囲炉裏の前に座りました。
今はこんなところで働いていますが、もともとは良い家柄のお姫様だったK姫です。 立ち居振る舞いは優雅で、言葉遣いもほかの女たちとは違います。 仕事で乱されたとき以外は着物もいつも美しく身につけているのですが、今日はいつもの凛とした風情に少々欠けておりました。
「ちょっと疲れた顔をしていますか、K姫」 「イヤな客が来たのよ」 「どのイヤな客かなぁ」 いろいろいるからなあ。 「例の呉服問屋の、父親のほう」
「例の」呉服問屋は親子揃ってK姫に入れ込んでいるのであります。 どちらも最悪ですが、父親のほうがより最悪です。 が、おそろしく金払いが良いので、K姫にとっては上客なのであります。
「ああ。 それは大変でしたね」 「あの人は『普通のこと』はしないのよね」 「先日は草履と尻の合わせ技でしたね、確か」 「あたしのお尻じゃないわよ」 「わかってますよ(笑)」
草履はK姫のですけどね。 その草履を捨てたのはワタシですし。
「今日は噛まれまくったわ」 顔をしかめながら、K姫。 「いつもよりは普通な気がしますが。 で、どこを?」 「肩胛骨のあたりを、特に集中的に。 ひたすら歯を当てるのよ」 「痛いですか?」 「そう痛くは噛まないんだけれど。 痕が残っていそうな気がして気になるわ」 「見てみましょうか」 「お願いしようかしら」
帯をほどき、着物を落とし、襦袢をひらりと途中まではだけ。
確かに役得です。 ミントお嬢様もこの様子をご覧になっているのでしょう。
白い背中に、確かに肩胛骨のあたりだけ、かつ かつ かつ と、いくつかしつこい風味の歯形が残っておりました。
「残ってますね」 「困ったわ」 「今晩、このあとお客の予定は?」 「今日はないけれど。今のところの予定ではね」 「ふむ」
K姫には触れず、しばらく噛み痕を眺めてみるワタシ。
「いつまで見てるの?」 「ワタシはいくらでも見ていたいんですが」 にこっ 「風邪をひいちゃうわ」
そう言って、肩まで上げようとしていたK姫の襦袢を慌てて掴むワタシ。もったいない。
「薬を塗りましょうか」 「このあいだの軟膏、効かなかったわ」 「おかしいですね」 「肌に合わないみたい。傷のまわりまで赤くなっちゃったのよ」 「じゃあ、その代わりに、ちょっといいですか」 「なに?」
ワタシは自分の手のひらを、K姫の問題の肩胛骨にそっと当てました。 しばらくそのままふたりしてじっとしておりましたが、
「・・・・それ、効くの?」 と、K姫。 「なにが?」 「じょりぃさんの手が」 「何に?」 「傷に」 「効くわけないじゃありませんか」 「じゃあなによ、いったい」 「触りたかっただけです」 「じゃあ、やめて」
やめました。
「ふざけてばかりだと信用なくすわよ」とK姫。 「実はちゃんと目的があったんです」 「今の行動に?」 「はい」 「どんな?」 「K姫が、ワタシの言うことを聞いてくれるようにと」 「今の行動で、そうなるわけ?」 「『肩胛骨の噛み痕に手を当てると、その人を意のままに動かせる』という文献を読みました」 「なんていう文献?」 「『K姫のすべて』」
K姫がためいきをつきました。 なんだか覗き部屋からも、あきらめに似たためいきが聞こえたような気がします。
「ワタシのお願いを聞いてほしいんです」 「いやよ」 「まだお願いを言ってません」 「とにかく、イヤ」 「ワタシの命に関わることなんです」 「あたしには関係ないでしょ?」
確かに。 しかもウソですし。
「確かにK姫には関係ありませんが」 「うん」 「ワタシが死んじゃったら、悲しいでしょう?」 「誰が?」 「K姫」 「別に」 あっさり。
また覗き部屋からためいきが聞こえました。
「・・・わかりました。あきらめます。さようなら」 ワタシが立ち上がり、引き戸に手をかけたところで 「・・・ホントに死んじゃうの?」とK姫。
「ウソです」 「いいかげんにして」 怒ってます。当然ですが。 「K姫が大好きなんです」 「話が変わったの?」 K姫、ムッとしてます。 「今晩、お部屋にしのんできてもいいですか」 「なんだ。 そんなことだったの?お願いって」 「はい」 「でもダメ」 「ホントはダメじゃないでしょ?」 「じょりぃさんのそういうところ、大嫌い」
また覗き部屋からためいきが。
「嫌わないでください」 「・・・来たときに、噛み痕の手当をしてくれる?」 とK姫。 「もちろんです」 「なら、いいわよ」 結局この人はやさしいのですよ。 「ありがとうございます」 「じょりぃさんの好きなお香を焚いておくわね。じょりぃさんの好きなお酒もいただいたのよ」 「嬉しいですけど、問題があります」 「なあに?」 「今晩しのんでくるのは、ワタシではないんです」
「どういう意味?」 「ワタシの好いている女がやってきます」
茶碗が飛んできたので上手に避けました。
「何考えてるの?」 「それはその女に聞いてください」 「お客としてくるの?」 「それもその女に聞いてください」 「お金はある人なの?」 「それは大丈夫です」 「あたしのこと、なんだと思ってるの?」
ワタシはK姫の前まで進み、両膝をついてK姫の右手を両手で握り、瞳を見つめて潤んだ目で言いました。
「この世で一番美しい、ワタシの大好きなお姫様だと思ってます」 にっこり
K姫の左手で繰り出されたパンチがワタシの右目にはまり、ワタシはブリッジ状態に倒れました。 覗き部屋から、ひときわ大きなためいきが聞こえてきました。 K姫に聞こえちゃいますよ、ミントお嬢様。
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「全然ダメじゃないの」 と、軽蔑一色の目でミントお嬢様。
「覗き部屋のギャラリーを意識しすぎてしまいました」 「いつもあんな醜態なの?」 「ミントお嬢様の前で、あまり甘い雰囲気を醸し出してもアレかなと思ったんですよ」 「とてもそうは思えなかったけど」 そうでしょうね。
「今晩、あたしがしのんでいったら、あたしまで左ストレート喰らっちゃいそうじゃないの」 「大丈夫です、そんなことにはなりません」 「どうして?」 「だって、K姫はミントお嬢様を知っていますから」 「ち。 そうだったわね」
つまらなそうにそう言いながら「はい、氷嚢」と、やさしいミントお嬢様。
渡された氷嚢を右目に当てながらワタシは言いました。 「約束は守ってもらいますよ」 「あなたの手引きがあの調子だったから、うまくいくかどうかわからないけどね」 「それは大丈夫です」 「どうかしら」 「そろそろ時間ですよ。 行きましょう」 「そうね」
うまくいくかどうかわからない、と言いながら、自信たっぷりにK姫の部屋に向かうミントお嬢様の背中を見送りつつ、 ワタシは約束通り、ふたりの淫らな姿を堪能するために、K姫の覗き部屋へ入っていきました。 氷嚢が冷たくて気持ちが良いです。 いてててて。
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ここから先のミントお嬢様とK姫の絡みについては、ぜひミントさんに☆
ああ、妄想炸裂できて楽しかったです。 超自己満足。 失礼いたしました。
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