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2003年09月26日(金) ひとり地震

北海道の地震は大変でございましたね。
被害に遭われた地域の方々へお見舞い申し上げます。

実はワタシもその地震で目が覚めまして。
4時頃ベッドに入って、ちょうどうとうとした頃に「あれ?」という感じがありまして。

揺れてるのかな?
それとも、例の「ひとり地震」?
でもなんだか、大きそうだな。でも揺れてないしな。

いきなり「ひとり地震」と言われましてもなんのことやらわからないと思いますので、あとで説明することにして。

地震なら犬にリードつけたり猫をキャリーバッグに入れたりと、我が家なりの危機管理マニュアルがありますので(実際大地震来たらまったく役にたたなそうですが、少しでも揺れたらワタシもきょんも起きて、動物のケアをすることになっております)、起きてみましたらもう家中に明かりが。
もしかして朝? と思い、時間を見てみたら4:54頃ですか。
きょんが先に起きていたようです。
「ねえ、地震?」ときょんに訊くワタシ。あまりにも揺れが小さかったので。
「揺れたみたいね。小さかったけど、長かったね」
「ワタシも感じるか感じないかだったけど、なんだか怖いイヤな感じがしたので起きてきたの」
「まだビミョーに揺れてるみたい」
「でも大丈夫そうかな」
「そうだね」
「寝よう」
ということで、寝まして、大寝坊しちまったじょりぃだったのですが。

朝起きてびつくり。
北海道がなにやら大変なことに。ワタシたちが起きた時間とほぼ一緒だったので、あのときに大変な目に遭ってたのか、随分遠いのになと、地震の規模の大きさにゾッとしたりして。
ワタシたちの地域は気付いた人がほとんどいないほどの揺れだったのですけどね。


さて、ここで「ひとり地震」の説明をさせていただきます。

8年ほど前、2つ目の会社に勤めていたときに初めての「ひとり地震」に襲われました。
仕事をしていたらぐらぐらぐらぐらと揺れたので、隣で作業していた後輩に「地震だよ!」と伝えましたら
「は?」 と。
「ゆ、揺れてるよね?」とワタシ。
「・・・揺れてませんよじょりぃさん」
「・・・けっこう揺れてるよ? まだ揺れてる」
「揺れてません」
「え」
「じょりぃさん、まわりを見てみてください。揺れてるもの、ないでしょ?」

確かに。
細長いアーム付きのライトもぴくりとも動いていないし、蛍光灯からさがっている紐も静止したまま。

「・・・ホントだ。 おかしいなあ」
「・・・・だいじょうぶですか?」
「間違えちゃったみたい。はははははは」

しかし、これが一度では済まず。

その後もたびたび「今度は地震? ね?ね?」と真顔で尋ねるワタシに、後輩が本気でビビリだしまして「医者に行ったほうがいいかもしれませんよ。メニエールとかかもしれないですから・・・」と。

ちがーーーーうの!
めまいはしてないの!
揺れてるのよ! ぐらぐらと。
ぐるぐると、でなく、体が振動を感じるんだってば。

きっと微妙な振動をキャッチできる超能力を身につけてしまっただけだろうと勝手に解釈し、「アーイアームエスパーーーー」なんてのんきに考えることに。

が、しかし。

そのうち、家で、しかも深夜にこの騒ぎをやらかすことに。

ぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐらぐら。
はっ。 大きい揺れ。 地震だ。
慌ててきょんを起こしまして。
「地震だよ地震。猫をキャリーバッグに入れなくちゃ!」
きょん「・・・は?」ねむねむ。
「地震だよ」
「揺れてないよ」
「え」
「寝なー」

愕然。

翌日、きょんに今までの「地震」のなりゆきを話しまして。
「めまいじゃないの?」と、心配そうなきょん。
「うん。めまいのめの字もないの。単に揺れるのよ」
「ヘンだよそれー」
「もしかして、ナマズのような能力が身についてしまったのかも。地震予知のできるミュータントなのだー」
「ていうかさ、じょりぃが騒いで一度でも地震が来たの?」
「みんな来てないって言う」
「じゃ、役に立たないからそれ。じょりぃがひとりで揺れてるだけだから」
「しゅん」
「頭がおかしくなっちゃったんじゃないよね?」 お願い。真顔で訊かないで。
「マトモだと思うんだけどね」
「とにかくさ、人前であまり言わない方がいいみたいね」
「う、うん」
「今度からは『地震?』って思ったら、まず目に見えて揺れてるモノを探してから口にするとかさ」
「うん・・・・」

仕方なくそうすることに。

揺れてる!と思ったら(体感的には震度2〜3くらいあるんですよ)、まずは天井から下がってるモノを見るじょりぃ。

会社でも

「あ」

と叫んだきり、蛍光灯の紐をぢっと見つめるじょりぃ。
揺れてない。 ワタシだけか。 仕事に戻る。

これを何度かやっていたら、隣の後輩が何度目かの「あ」の後に
「揺れてるんですか?じょりぃさん」と。
「え」
「確認してるんですね」
「う」
「よしよし。だいじょぶですよ」

慰められてしまいました。
夜中も相変わらず、たまにきょんを無意味に起こすじょりぃ。
まわりを確認して、揺れてないんだ、自分だけなんだ、と言い聞かせても、自分的にはけっこう揺れているので「ここで起きなかったばかりにとりかえしのつかないことになったら・・・」なんて思うといたたまれなくなって、「ね、地震?」なんて起こしてしまう、と。

なんだか脅迫神経症みたいですけど。
一時は自分でもそうなのかな、なんて思いまして、気にしないのが一番、なんても思ったりしたんですが。
気にしなくても揺れる。
ひどいときは、ベッドに入ると必ず揺れました。毎日。

しかしそのうち慣れまして。
特に害もないし、だんだん楽しめるようにもなってきまして。
ある朝目覚めたら、もう「ひとり地震」を体感できなくなってしまうかもしれないんですから、体験できるうちは楽しんでおいた方がトクというものでございます。
騒ぐと「頭おかしい」って感じですし、おとなしく良い子にすることに。

そんな、ひとりぼっちのひとり地震を堪能していた頃に、ナナと再会しまして。
電話するようになり、そのうちたまに会うようになり、やがてて頻繁に会うようになりまして。

そしてある日。
ナナが「地震?」と。

揺れてない。
揺れてないよね?

「揺れてないよ」とワタシ。
「ホント?」
「うん」
「あたし、たまにやっちゃうんだよなー」
「(笑) ひとり地震だ」
「? 何それ?」
「自分だけ揺れて、地震だ地震だって大騒ぎしちゃう、ひとり地震」
「そういう現象があるの?」
「いや。勝手に名前つくったの。ワタシがよくそうなっちゃうもんだから。」
「どんな風に?」

ナナが興味を持ったので、説明。
そしたら意外なことに

「あ、あたしもそれだ」
「え!」
「あたしも揺れるの。で、ひとりで『地震地震!』って大騒ぎして、家族に『揺れてないよー』ってうざがられるの(笑)」
「マジ?」
「うん」
「めまいとかじゃなくて?」
「めまいとは違うなー。地震の揺れなんだよ。横揺れ縦揺れって感じの」

ああ。
やっとわかってくれる人が!
しかも相手はナナ。 このときのワタシのシアワセ具合ったらありませんでしたよ。
テーマは「ひとり地震」というおマヌケなものですけど。

「嬉しい・・・今まで誰もワタシの言ってることわかってくれなくてさ。 頭おかしいくらいに思われちゃったりしたんだ」
「あははははは。思われてもムリはないかも。でもこれって、自律神経の不具合かなんかでしょ?どってことないよ」

なーんだ。そうか。自律神経か。
と、このへんからなんでも「自律神経のせい」にするワタシとナナのはじまりなんですが。

しかも不思議なことに、ナナとこの話をしてから、めっきり「ひとり地震」の頻度が低くなりまして。
とはいえ今でもたまになるんですけどね。

で、ワタシ、ぢっくり考えてみることにしました。
「どうやら頭がおかしかったわけではないらしい」ということもハッキリしまして、ちょっと客観的に「ひとり地震」を考察する余裕なんかも出てきまして。(ワタシとナナとふたり揃って頭おかしいのかもしれませんけど)

まず、立っているとき、ひとり地震は起こらない、という点に着目いたしました。

逆に言えば、立っていないときにひとり地震は起こるわけであります。
椅子に背をつけて座っているときと、仰向けに寝ているときが圧倒的に多い。
というか、それ以外にはないといっていいかも、ということに気付きました。

ということは、体の裏側が何かに接触しているときに、揺れを感じる、ということになります。

ここまで考えたらあとは簡単。

おそらく痙攣しているんでしょう。
自分では感じないほど細かいバイブレーションで。

と、思いついてからは「ひとり地震」らしきものがきたときは、お尻とか腿のあたりとか触って確認してみるのですが、手のひらもビミョーに痙攣しているらしく(見た目はなんともなし)、さっぱりわかりません。
きょんに触って確認してもらったこともあるのですが「うーーーーーーーーーーーーーーーーん。わからん」と言われて、おしまい。
なので、「超細かい痙攣説」も裏はとれていないんですが。
でもたぶんそうでしょう。もうそれでいいや。決定。

どなたか「あ、私もひとり地震持ちかも」というかた、いらっしゃいませんかねえ。仲間募集。
医者に行ってみた方がいいのかなあと思ったこともあるのですが、ホントに鉄格子付きの病院に送られると困っちゃうしなとも思いますしねえ。

じょりぃ、マトモなんですけどね。
揺れるんです。ぐらぐらぐらぐらと。
慣れましたけどね。

あ、でもナナがいるから今は「ふたり地震」か?
って、一緒に揺れることはないので、やっぱりひとりぼっちなのは重々承知しております。 け。


ホントは「危機管理」について書きたかったのに、話がどんどん「ひとり地震」へと傾いてしまいました。
深刻な状況時に、アホな話をスミマセンでした。
いや、ワタシにとってはこれはこれでけっこう深刻だったりするんですが。ぐらぐらぐら。


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