氷の上のあちこちで繰り広げられる 同時進行のパフォ−マンス 五千人の子どもたちは 目と心を奪われた お姫様たちが軽々と担ぎ上げられ 空を舞う 手前では着ぐるみのスケーターがこちらに手を振っている 空中にはいつの間にやら魔法の絨毯が用意されて 王子様の隣で腰を妙にくねらせながらお姫様が乗り込む
黄色い歓声が上がったのは 観客席からではなく 暗がりの中 その他大勢の出番を待つスケーター達が やんやの喝采を送る その彼女らの出番が来て 氷の上に人が溢れると 暗がりの中にインカムを着け 何やらメモを書き込む 大柄な女性が現れた 厚い氷の上を鮮やかに滑り抜けていく技の持ち主たちの もしかすると足下の氷は思ったより薄いのかもしれない 右に左に大きく差し伸べられる腕は降りかかる火の粉を繰り返し払いのけ つまらない日々を堪え忍ぶ術なのかもしれない
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