ささやかな日々

DiaryINDEXpastwill HOME


2020年11月20日(金) 
朝起きて窓の外を見やれば、劇的な朝焼け。細く棚引く雲の間から橙色に輝く光が四方八方に拡がり、それは刻一刻変化し。私はベランダに出てしばらくじっと見つめていた。ああなんて美しいのだろう。そう、世界は美しい。もっともっと、美しい。

下半身の痛みが酷く、鎮痛剤を飲む。何とか薬を飲まないでやり過ごせないかと数時間戦ってみたけれど、無駄な抵抗だった。このところ、夜になると特にこの痛みが酷い。痛みは本当にしんどい。それだけで気力を奪ってゆく。困ったもんだ。

通院日。カウンセリング室がこれまでの部屋と変わり、それだけで何だか妙にだだっぴろくなった気がする。それだけでお尻がもぞもぞする。
今のカウンセラーは、私の思考のクセをよく指摘してくれる。お陰でそのたび、きょとんとする。そしてしばらく考えて、ああ、そうかもしれない、と納得する。その繰り返し。今日もそんな気づきが二つあった。
診察になって、主治医と向き合う。新しくなった薬についてあれこれ話す。私の睡眠時間が異常に短いこと、少しでも長くしたいこと、私が常に過覚醒状態にあること、そんな私には休息が不可欠であることなどなど。話しているうちに、昔のカウンセラーが描いてくれたイラストを思い出す。私の解離状態は仮死状態のオポッサムみたいだ、とそのカウンセラーは表したのだ。オポッサムって何ですか、と訊ねたら、携帯を取り出して動画を見せてくれた。動画を見て二人してけたけた笑ったのだった。そして、過覚醒の時の私は怒り狂ったハリネズミだ、とも。警報機が四六時中鳴り響いてる、つまり誤作動を起こしている状態だ、と。そのことを思い出し、主治医に伝えると、主治医がくすくす笑って、まさにそれよねぇ、と言った。今なら分かる。本当にそうなのだと。
帰り道、ぼんやりしていたら駅で降り損ねる。はっと我に返って慌てて次の駅で引き返す。そういえば朝も一駅乗り越してしまったんだった。何をやってるんだか、私は。

白か黒か、だけではなく。白と黒の間の何重何百重ものグレートーンを、いい加減覚えたい。そのグレートーンの間を漂えるようなひとになりたい。自転車を漕ぎながら、そんなことを思う。思ったのは今日が初めてじゃない。何年か前にもそう思ったのだ。でもまだまだ、追いついていっていないのが現実。もっと曖昧なところに佇めるようになれたらいいのに。そうなれるように。これからは。

夕飯前。息子は漫画を夢中になって読み、私は父母へ贈ろうと思っているマスクをちまちま縫う。あっという間に一時間が過ぎてしまって、息子と二人吃驚する。二人で笑い合って夕ご飯。ワンコも夕ご飯。
そんな、一日。


浅岡忍 HOMEMAIL

My追加