ささやかな日々

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2020年10月02日(金) 
すこんと晴れた。通院日、とことこ電車に乗って出かける。青い空が何処までも青い空が広がっている。車窓からただぼんやり、空を眺める。
先週出されたふたつの宿題のメモを主治医そしてカウンセラーに渡す。カウンセラーは私の感情断裂の有様、記憶の欠落の有様を改めて見て、よくまぁここまで、と唸る。でも、それでもこの二十五年私は娘と共に生き延びてきた。それはすごいことよ、と言われる。私は頭の中、すごいことよ、という言葉を反芻してみるのだがまったくもって実感が沸かない。だから一生懸命さらに反芻する。主治医は、日常的に離人が起きているから、大きな事故につながらないよう気を付けてね、とにっこり笑って言う。ストレスが身体化しやすくもなっているようだから気を付けてね、とも。
帰宅するとアメリカンブルーの葉が乾燥して丸まっており。慌てて水をやる。このところ乾燥しているせいか、すぐアメリカンブルーの葉が丸まってしまう。根が弱っていたりするんじゃなければいいのだけれど。ちょっと心配。
息子と「おおかみこどもの雨と雪」だったか、DVDを観る。息子が「うわー、泣いちゃう、ここで泣かなきゃ嘘だ!」なんて言ったりしているのをぼんやり聞きながら、私は心の中、これは親離れ子離れの儀式の映画なんだなぁなんて思っている。私は、親離れ子離れ、ちゃんとできたんだろうか、できるんだろうか。問いながら。
文通相手から、カミュの異邦人が、「私」ではなく「わたし」と記された箇所が一か所だけあるんだ、見つけてほしい、との手紙が来たので、改めて本を購入する。持っていたはずなのだが本棚に見つからなくて。そうしたら、今のこの本は、鮮やかな紫色の無地のカバーになっていることを発見し驚く。どうして紫なのだろう?よりによって?手に取り感触を確かめながら思う。今これを読んだら、私はどんなことを感じるのだろう?私がこの本を読んだのは、十代の頃だった。
先日、映画「許された子どもたち」を観た。私には描写が激しくてシーンによって目をそらしたりすることがあったのだけれど、見通せた。この映画に参加した子供たちは何度もワークショップを行なったとパンフレットにあった。ああ、ちゃんとケアしながらの現場だったのだなあよかったなあなんて、おせっかいなおばさんのようなことを思う。そして、これは子離れできない親へのメッセージなんじゃないかとも思う。被害者の母の、「ちゃんと罪と向き合いなさい」と淡々と言ったその言葉が、頭の中木霊する。
また、映画「ミッドナイトスワン」も勢いで観た。この監督さんが、この映画は娯楽だからとか宣っていたそうだが。ひどく残念な思いを味わった。とても社会的な映画だし、出演者の演技がとてもよい。そういう意味で、監督の言ったという、この映画は娯楽で社会的映画ではない、という言葉は残念至極。せっかくの映画を台無しにしてしまっている気がした。


浅岡忍 HOMEMAIL

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