ささやかな日々

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2020年08月05日(水) 
蝉がぎょっとするほど大仰に鳴き出した。夏が来た。今年の夏はきっと短いんだろうとそんなことを思いながら青く燃える空を見上げる。がっくりするほど抜けるような青空だ。求めていた空のはずなのに、あまりの暑さに閉口している。
赤紫、紫、水色の朝顔がぱっと咲く朝。植えたすべての色が揃って咲くのは珍しい。そう思いながら見やる。朝顔の弦はもう天井にくっついて縮こまっている。放っておいたらどこまで伸びるのだろうと不思議になる。空を求めて求めて伸びる弦。それは命そのもののような気がする。
息子が夏休みになり、べったり後をくっついてくる。まさしく金魚の糞。コロナまっさかりの頃を思い出す。
違うのは、毎日毎日、虫捕りにつきあうことだ。彼が言う公園や池のほとりに行って、彼がトンボや蝉捕りに興じるのにつきあう。炎天下、毎日毎日よくやるなあと思うのだが、それが子供だと言われれば確かにそうで。それにつきあうのも親の仕事と言われれば確かにそうで。言葉がない。

夜息子が寝付くと、ようやく自分の時間になる。心底ほっとする。ようやく何も考えず、何も余計なことを考えず好きに呼吸できる、と。自分が好きで産んだくせに何言ってるんだと言われるかもしれないが、それが本音だ。
自分が好きで産んだ、自分で選んで産んだ、まさにそうだ。でも、24時間356日、ひたすら付き纏われていると、どうやっても「独りの時間」を思ってしまう。それまで禁じられたらとてもじゃないが息ができない。
ほっと自分の時間を自分の好きに呼吸出来て初めて、私は私の周囲の者を大事に扱える。どっちが欠けても私はバランスを崩す。

夜の闇はいつでも、境界を曖昧にして溶かしてしまう。今目の前に柵があったとしても、それさえも闇に溶かして見えないものとしてしまう。それだからだろうか、自分が自然に抱かれている気持ちになれるのは。だからこそ、無理をしなくて済む。静かに呼吸ができる。
今夜は手紙を書き終えてしまおう。もう二通も溜まっている。ちゃんとお返事を書かなければ。


浅岡忍 HOMEMAIL

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