ささやかな日々

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2020年06月26日(金) 
「人間万事塞翁が馬」「災難に逢った時は災難に逢うのがよいのでしょう。死ぬときには死ぬのがよいのでしょう。これは災難を逃れる妙法です」と。葉書に知人が書いてきてくれた。繰り返し読みながら、本当にそうかもしれない、と思う。

 恩師から電話が入る。皮膚病にかかって九度越えの熱を出した、と。ホームが大騒ぎだった、と。左手しか動かせなくなってからの先生の衰えは激しい。今すぐにでも飛んでいきたいのだが、それが叶わぬ距離。早く息子の学校が午後までになってくれるといいのだけれど。そうしたら何とか行って帰って来ることができる。それまでは、辛抱。
補聴器が壊れて数か月、先生の声はますます大きくなって、かつ聞こえ方が極端になって、おそらくは私の声はほとんど先生に届いていないに違いないと思われ。歳を重ねるというのはそういうことなのだな、と深く頷く。先生とは四十の歳の差。今年先生は九十。長く生き過ぎた、というのが最近の先生の口癖。こんなに生きるとは、と、かかか、と苦笑する先生に、まだ生きててもらわなきゃ困るからね、と畳みかけるのが私の役目。
おまえがもっと近くに住んでたらなあ、近くにいたらなあ、もっと楽しいだろうなあ、と言う先生にかける言葉が思いつかなくて黙り込む。私も、もっと近かったらすぐにでも飛んでいけるのに、と思うけれど、言えない。

S先生と次回の加害者プログラムの打ち合わせ。やはりメールのやり取りだけでなく実際に顔を合わせると新たに生まれるものがあるよねと実感。ここはこうして、あれはああして、と話し合いながら、次回のテーマを絞り込む。前回の別の曜日のプログラムへの返信も頂戴した。読み込んでまたお返事しなければ。

家人と息子が冗談のように「最近母ちゃんの愛が足りない!」と喚いている。しつこく喚くので「愛はあります!愛がなけりゃご飯なんて作りません!」と言い返すとすかさず「ご飯は別物!」と返って来る。いやいや、君たちね、毎日ご飯を作るって大変なんだよ? 栄養考えて、冷蔵庫の中身確認してメニュー決めて作ってって、君たち知らないだろうけど大変なんだよ? 私は心の中、言い返したいのを我慢して呟く。

今朝朝顔が今年初花を開かせた。息子が朝起きて一番に声を上げた。「朝顔咲いた!うわーい!」。待ちに待った花が咲いて嬉しそうな息子の表情。よかった。朝顔よ、ありがとう。

展示の最後、会えると思っていなかったひとたちに立て続けに会うことができた。奇跡のような数日だった。どつぼに落されたと思ったら、直後拾い上げられた、そんな気分だった。
いいこともありゃ悪いこともある。悪いこともありゃいいこともある。生きていれば、そんなもん、さ。


浅岡忍 HOMEMAIL

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